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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第2章 出会いと始まり編

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Episode10 - 辿り着いた先は


 探索自体は順調に進んだ。

 元より【聞き耳】によって音による広範囲の索敵を行う事が出来る私と、スキルによって狭い隙間でも入り込み、罠などがあるかを確認できるフレデリカ。

 そして、


「ほい、また来たよ」

「了解了解です!」


 戦闘面でも特に支障が出る事は無い。

 私もフレデリカも近距離を主とする戦い方をしているからか、射線などの管理をする必要がなく。

 フレデリカが身体全体を使って拘束した相手を、私が全力で殴り倒すという流れがすぐに出来たほどだった。

……それにしても、この遺跡のモンスター達は本当に虫しか居ないな。……あれ?虫で良いんだよね?

 ムカデ、カブトムシ、キリギリスにヤスデ。その全てが巨大で、大体平均的な女性程度の大きさである私と同等程度の大きさを持っていた。

 巨大であるが故に恐怖があるが、それはそれ。

 そこまで強くもなく、何ならフレデリカが拘束してくれている為にあまり忌避感無く倒す事が出来ている。


「今回のは……またムカデだね」

「結構結構探索してきましたけど、もう新しい種類は居ない感じですかね?」

「多分?変な音も聞こえてこないし……後はボスくらいかな」


 ダンジョンの支配権を持っているが故に、スポーンしているモンスター達からボスがどのような存在なのかは薄っすらと理解出来ている。

 虫ばかりがスポーンしているのだ。少なからず、ボスに虫の要素が無ければおかしいだろう。

 それに、だ。


「あくまで予想だけど、ボスは蜘蛛とかなんじゃないかなぁ」

「ほうほう?」

「まぁそう考えた理由は簡単というか。ほら、そこら中にあるじゃん?蜘蛛の巣」

「確かに確かに、奥に進むにつれて増えてきましたねぇ」


 私達が進んでいる方向。通路の構成としては、遺跡に入った時から変わらずに石造りを基本としたモノだ。

 しかしながら、その通路の所々には蜘蛛の巣や糸らしき白い塊が転がっている事が多くなってきていた。私のダンジョンには一切見られなかったモノであり、ボスによる影響と考えれば……ある程度は理解出来る。

……問題は、どんな蜘蛛か、だよね。

 蜘蛛は小さくとも毒を持つ。

 種類によってその強弱は様々だが、大抵の場合、巣に捕えた獲物の中身を溶かし啜る為の毒を持っているものなのだ。とはいえ、基本的にリアルの家に出てくる様な蜘蛛は毒を持っていない事の方が多いらしいが。

 このゲームにおける蜘蛛が、果たして毒を持っているのか。それとも、持っておらず……物理的な攻撃をしてくるに留まるのか。それによって、私達の攻略の難度は上下するだろう。


「おっと」

「どうしましたどうしました?」

「いやね、どうやら私達の目的地に着いたみたいだからさ」


 そんな事を考えていれば。

 マーテルとの戦いを思い出す、巨大な鉄の扉を発見する事が出来た。

 中からは何かが微かに動くような音が聞こえている為……十中八九、ここがボス部屋で間違いないだろう。


「さて、フレデリカちゃん。この扉の先が恐らくボスの部屋だ。準備は良いかい?」

「大丈夫大丈夫です!ボスが予想以上に強かった場合は逃げるのを最優先、ですよね?」

「うん、合ってるよ。――それじゃあ行こうか」


 ここに来るまでに話していた内容の擦り合わせを簡単に行った後。

 私が先頭に、その後ろをフレデリカが音を立てずに着いていく形で鉄の扉を開き中へと入る。

 すると、だ。そこにあったのは……一面の白。

……ッ、ちょっとコレは予想外かもしれないなぁ……?!

 薄暗い遺跡の中でも、更に暗く。

 しかしながら、暗闇の黒ではなく白。蜘蛛の糸によって染め上げられたその部屋の中に、ソレは居た。

 巨大な8本の足。身体中にまばらに生えた毛。こちらをはっきりと捉えた赤い4つの目。そして、人程度ならば頭から喰らえるであろう、巨大な口。


「ッ、フレデリカちゃん!逃げるから私の背中に!」

「はいはいッ!?」


 巨大な蜘蛛が、私なんかよりもずっと巨大な蜘蛛が、じっと私達の事を見つめていた。

 瞬間、私はフレデリカが背に乗ったのを確認すると共に全力で地面を蹴って引き返す。

 分が悪い。悪すぎる。

……相手の土俵で戦うとかそういう次元じゃあないでしょアレは!

 蜘蛛にとって、蜘蛛の巣は自宅であり要塞であり、狩りの為の道具だ。

 その規模によってはあの場で戦う事も考えていたが……どう考えても、あれはダメだ。どこにどう動いたとしても蜘蛛の巣に引っ掛かり、その密度によって呆気なく動けなくなってしまう。

 火を扱えるのならば変わったかもしれないが、生憎と私もフレデリカもそんな大層な事は出来ない。

 故に、逃走。部屋から出る事で一瞬見られたとしてもターゲットから外されて欲しいという願いから来るものだった……のだが。


『『貪食蜘 クナト』との戦闘を開始します:参加プレイヤー数2』


 背後から何かが破壊されたような音が聞こえ。

 2人して振り返って見れば。


「に、逃げるよッ」

「うひゃぁ?!」


 クナトという名の、巨大な蜘蛛が鉄の扉を壊し部屋の外へと出てきていた。

 そして、時は現在へと追いついた。

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