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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第2章 出会いと始まり編

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Episode5 - 出会ってしまった


 そうして歩いていく事暫し。

 私は人工物を見つける事が出来た。……但し、


「……明らかに人が住んでるって感じじゃないし、何なら湿地から抜けてもないし」


 遺跡だ。マーテルが居たようなダンジョンと似たような雰囲気を放つ、人の手から離れて何年も経っていそうな遺跡。

 周囲にはネズミが居るものの、それらが中から外へ出てきている様子はない。

 ただの野良だろう。

……うーん、ちょっと面倒かな。

 ただネズミが複数居るくらいならば何体居ても問題はない。

 私と配下だけで十二分に対処は可能である事は確認出来ているからだ。

 だが、問題は別にある。


「……この辺でゴブリンが大量発生してたってギルドは言ってたよね?」

「言ってたけど……スワンプラットしかいねぇぞ?一時的な奴だったんじゃねぇの?」

「イベントの前兆かもよ?ほら、大規模討伐系のイベント」

「確かに正式サービス一発目はそういうお祭り系が来るかもしれないか。あり得そうだな」


 身を隠す事で【隠密】を発動させながら、その会話を……話をしている者達へと視線と耳を向ける。

 人だ。それも、姿からして冒険者。

 内容から察するに、私と同じプレイヤーだろう。それも2人だ。

……あの人達に付いていけば人の居る街には辿り着ける、かな。ただモンスターだってバレた時が面倒か……。

 今の私の姿は、幸いな事に一見だけならば人にしか見えない。

 元々の種族的な特徴が、人の中に紛れるモノであるからこそ見た目だけでバレる心配はない。

 だが、それ以外に問題がある。


「……血、べっとり付いちゃってるんだよねぇ、服に」


 私の取る戦闘スタイル的に、返り血は絶対に身体中に付いてしまうのだ。

 まだ一度死んだばかりや、時間が経っているのならば勝手に消えてくれるが……少し前にネズミとやり合い食事をしたばかり。

 私の着ている布の服には、べっとりとネズミ由来の赤い汚れが消える事なく染みついてしまっていた。

 このまま見つかれば警戒は勿論の事、最悪モンスターとして即バレして戦闘になる事だろう。


「……遺跡の中も少しは気になる。人の街は勿論。だったら……」


 時間が経って、血の汚れが落ちた所で接触するのが一番良い選択だろう。

 遺跡の近くで話している2人は、【隠密】も発動しているからか近くで隠れて観察している私に一切気が付いていない。

 故に、ここで時間が経つまで過ごしていれば良いだけ……なのだが。

……ダメだ。気になる。すっごく気になってきちゃった。

 口の中に涎が溜まっていくを感じる。

 そう、私の今の種族は人喰い。人を喰らうモンスターだ。

 そして少し離れた位置には……その主食である、人が居る。


「ここまでの道は覚えてる。だから、大丈夫。大丈夫ったら大丈夫……」


 じりじりと、身体の向きを変え。未だ遺跡の前で会話している人間プレイヤー2人へと向き直る。

 足に力を溜め、いつでも跳ねられるように体勢をじっと低くして。

 視界が赤く染まっていくのを感じながら、私はそのタイミングを探っていく。


「まぁギルドには何も居なかったって報告しましょ?スワンプラットが居ましたって言ってもいつも通りの湿地過ぎて、ねぇ?」

「それはそうだな。とりあえず帰るか。……ちぇー、大量にモンスター狩れるクエストだと思ったのによ」

「ま、この辺りはまだ私達でも探索出来るくらいモンスターが弱いしね。もしかしたらもっと奥の話だったかもしれないし?」


 1人は、戦士風の男。モンスターを倒したいのか手に持った両刃剣を軽く振り回している。

 防具は軽装……革をメインとしたもので、防御力自体はそこまで高くはないだろう。

 もう1人は、狩人風の女だ。背に木で出来た弓を、腰に複数の矢を入れた矢筒を携えており、恐らくはパーティの斥候役もこなしているのだろう。

 【聞き耳】も持っているのか、時折音のした方向に耳が動くのを確認できている。

……【隠密】があるから気が付かれてないね。本当に感謝って感じだ。

 そして、私。

 2人から少しだけ離れ、2人がこちらに背を向けるのをじっと草の陰から待っている。

 配下はまだ産んでいない。動きを制御自体は出来るが、【隠密】を共有出来る程にスキルの枠に余裕がないからだ。


「よし、帰るか。この後草原の方行こうぜ。経験値稼ぎてぇよ」

「そうね。私もそろそろ新しいスキルとか取りたいし」


 2人が遺跡の前から去ろうとして……私に向けて、背を向けた。

 瞬間、


「――イタダキマス」

「……は?」

「ッ!?【スラッシュ】!」


 私は草の陰から勢い良く飛び出し、女の方へと跳びかかった。

 一瞬で詰められた距離、私の伸ばした手は女のうなじへと到達し……スキルによって生成した口が、それを噛み千切る。

 たった一瞬の出来事。しかしながら、男は私の奇襲にワンテンポ遅れながらも反応し、握っていた剣を青く光らせながら攻撃してきた。

 だが、避ける。避けられる。

……遅い。オーガの一撃よりもずっと遅い。

 どこを狙っているのかも曖昧な、横降りの一撃。それを避けられない程、私の戦闘経験値は低くない。

 軽く足を下げる事で体重を背後へと移しながら、私の身体に届きそうになった剣を避け。

 そのまま背中側に倒れながら転がる事で距離を取る。


『【捕食】が発動しました。バフ『攻撃力強化』が付与されました』

『【カニバリズム】が発動しました。一定時間『全ステータス強化』並びに『視野狭窄』が付与されました』


 私がプレイヤーを……人を初めて食べたからだろう。

 これまで保有はしていたが効果の発揮していなかった、【カニバリズム】がここに来て発動した。

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