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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第12章 サバイバルイベント後編

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Episode8 - 休憩日


 3日目夜を越え、4日目朝。

 私達が戻ってきた頃には、拠点の拡大は終わっており、次いで食糧に関しても魚だけでなく一部の酔狂なプレイヤー達のおかげで砂浜の一角にちょっとした農園のようなものが出来ていた。

 土を生成し、海水ではなくスキルで作り出した水、そして潮風の影響を受けない様にと作り出された小屋の中での栽培だ。

 成長スピードに関しても、植物系モンスターのプレイヤー達が協力した結果1日1回は収穫出来る程になっていた。

 そして、そんな中私達はと言えば。


「ふぃー……」

「平和だなぁ」

「平和平和ですねぇ」


 海の近くでのんびりと過ごしていた。

 森の中のボスや攻略についての会議については、依然拠点の中でロート達が進めている。

 では、何故私達3人はそこに参加していないかと言えば、理由は簡単。私達3人は能力が偏り過ぎているからだ。

 私は戦う事と食事以外に能が無い個人戦闘型。

 フレデリカは拠点などの拡張も行えるが、その本質は大規模な土地の掌握と制圧、殲滅。

 そして、最後に合流したフータは……専守防衛を主とする罠設置を得意とするプレイヤー。

 森に攻め入ると考えるならば、私達は作戦を立てるよりも運用される側で参加した方が良く。

 尚且つ、実力者達が会議をしている間に襲撃があった際に対応出来る面々として、約丸々1日の休憩時間を手に入れることができたのだった。


「あ、フータくん。今のうちに1回リスポーンしとく?こっちに復活地点上書きしたんでしょ?」

「あー、確かにそうだな。喰われるなら今か」

「ん?ん?え、イヴさんフータくん食べるんですか?なんで?」

「「あー……」」


 フータからの『お前言ってなかったのか?』と言う視線と、私の『忘れてた』と言う視線が交差した。


「実は色々あってね?」


 そこから周囲にプレイヤーが居ない事を確かめつつ、【聞き耳】の様な聴覚強化系のスキルにも拾われない様にとフレデリカにチャットで説明を行っていくと。

 彼女は納得した様に頷いた。


「成程成程、確かにそれは今の内にやった方がいいですね。フータくんも弱体化掛かりますし……1回食べておくくらいだと……現在の『飢餓』はどんな感じです?」

「今は……うん、全然余裕あるね。人形達くらいだったらあと3体は喰っても問題無いくらい」

「うし、じゃあ喰われておくか」


 そうして、以前のセツナの様に設定にて様々な感触をオフにした状態になったのを確認してから、喉元や腹といった柔らかい部位を中心に喰らっていく。

 フータの肉を喰らうのはこれが2回目。1回目は敵として、今回は身内の……それこそ、私の可能性を広げる為に喰らい飲み込んでいく。

 残念ながら、美味いとは言い難い。上位種と言っても、ボギーという種自体がゴブリンに近いモノだからなのだろう。散々喰らった事のある獣の臭みと、独特な苦み。しかしながらその先にある……魂と存在を喰らう上で味わえるこの世のどれとも似つかない旨味が舌の上に残っていた。


「……フータくんフータくん。その状態で食べられてるのってどんな感じなんです?」

「んー、まぁくすぐったい?極端に触覚鈍くしてるからなぁ。あ、でもどんどん力とかが入らなくなって……精神的に眠くないのに瞼が落ちていく感じ――」

「ゴチソウサマでした」

『行動ログ確認……可能性の鍵が1つ埋まりました』


 丁度フータが何かを語りだそうとしたタイミングでHPが底をついたのか、光の粒子となって消えてしまう。

 少しして、デスペナルティを負いながらもこちらに戻ってきたフータは苦笑いを浮かべながら、


「まぁ前に食べられた時と比べるとマシだったな」

「あの時は全力で抵抗してきたもんね、フータくん」

「そりゃそうだろ、敵だったんだから。で、どうだ?進んだ?」

「うん、しっかり進んだよ。ありがとう」


 やはりというか。

 【強欲】を持ったフータを喰らったからか、可能性の鍵とやらはしっかりと埋まったようだった。

 セツナを喰らった時はまだ確信がなかったが……これで確定だ。

……大罪系スキルを持った相手を喰らう、もしくは私が取得するの2つかな。埋める方法は。

 進化スキルである為に取得する難度は経験値的な意味で高い。

 それでいて、どのスキルから進化するかも分からない。持っているプレイヤーを探すのも一苦労だろう。


「フレデリカちゃんはまだ持ってなかったよね、大罪系」

「持ってないです持ってないです。私も欲しいんですけどね」

「まぁ持ってても結構デメリット強いんだけどな、これ」


 どんなスキルがそれに進化するかは予想出来ない。

 フレデリカならば……スキルで補っている植物の操作や成長促進などの部分を大罪系スキルでブースト出来れば良いかもしれない。

……私以外は存在昇華もそろそろするだろうし……その分だけ選択肢も広がるだろうからなぁ。

 アバターによって存在昇華可能な回数は異なる。

 私はすでにそれなりに回数を重ねてしまっている為、次があるかは分からない。

 しかしながらフレデリカとフータはまだまだ可能性はある。


「目標はイベント中に存在昇華するか、新しいスキルを手に入れることだっけ、フレデリカちゃん」

「はい。存在昇華の条件的に……もうそろそろだと思うんですよね」

「まぁそれだったらまだ3日はあるし達成できそうだな」


 と、そんな話をしていると。

 拠点の方からロート達が歩いてくるのが見えた。

 どうやら会議が終わったようだ。

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