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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第12章 サバイバルイベント後編

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Episode7 - ここから先は


「あ、そうだ。ちょっと色々真面目にあとで身体の一部食べさせてもらっていい?フータくん」

「はぁ?!なん……いや、真面目な話?」

「うん、ちょっと私の強化に必要な感じのやつ?多分」

「真面目って割にふわっとしてんな……まぁ、後でな。その感じだと……あとでフレデリカ姉ちゃんにも頼むのか?」

「んー……」


 フレデリカはまだ大罪系のスキルを手に入れていない。

 しかしながら……手に入れる可能性はなくはないだろう。


「多分。でもまだ先かな」

「ん……あー、大体察した。そういう事か」

「あ、分かった?」

「まぁ俺とフレデリカ姉ちゃんの違いってなるとこれ(・・)くらいだろ」


 彼は私にも見える様に近くに1本の半透明のナイフを出現させた。


「うん、それ」

「了解」


 本当に察しが良い子だ。

 彼が出現させている半透明の物体達は、彼の持つ【強欲】によって出現させている品々だ。

 私の持つ情報的には、【強欲】は自身……今回で言うならばフータの持つスキルを参照し、それに纏わる物品を出現、操ることが出来るという操作系のアクティブスキル。

 その出現させた品々で対象のHPを0にする事が出来たならば、その分だけステータスの強化が出来る、というスキル……だったはずなのだが。


「で、どう?検証した感じ」

「使い勝手は良いけど悪いな。確かに攻撃手段も増えたし、ステータスの強化はデカい。でも『物欲』とか言う時限式のデバフのせいで、ボスや1対1には向かねぇスキルになってる。使わなければ良い話ではあるんだが……戦闘中に使わないと、それはそれで強制発動する様にはなってるんだよなコレ」

「うわ、こっちとまた違ったデメリット」


 『物欲』。

 フータによれば、【強欲】を使って対象をキルした場合に付与されるデバフらしい。

 効果としては、一定時間内に【強欲】を使ってキル数を稼がなければ、【強欲】によって得たステータス強化が反転。スタック数にもよるが、今の所最大で……1時間は弱体化されたままになるらしい。

 制限時間自体は目標キル数が更新される度に増えていく。しかしながら……そのキル数は倍々ゲームの如く増えていくそうなのだ。


「ま、こうして敵が延々来てる状況だったら全然気にする必要はないんだけどな」

「狩る敵を求め続ける……ある意味は強欲であってるのかなぁ。ん、まぁ……今回はフータくん達を回収したら戻るつもりだからね。程々で対処は終わりだよ」

「了解、ここの指揮をしてるのは?」

「――私ッ!」


 ロートの声が響くと同時、大量の白い煙が波の様に戦場全体を覆っていく。

 それはプレイヤー達と人形達の視界を遮ると共に……戦場に静寂を齎した。

……へぇ、『鎮静』……成程、一時的に精神を落ち着かせる……成程、NPC用のやつか。

 KFOに存在するバフ、デバフの中にはプレイヤーに対しては一切効果を発揮しないモノが存在する。『鎮静』はその中の1つであるデバフだ。

 効果としては……単純に、付与された相手の戦闘の意思を一時的に……付与されている間だけなくす事が出来る、というモノ。

 PvPを行う上では使わないモノであるし、なんなら普段モンスター達と戦う上でもこの手のデバフに関しては抵抗力が高めに設定されているのか、付与される試しがない。

 今回で言えば……デバフが発揮される範囲をこの煙の中に居る者だけに設定し、そのデバフ自体の持続時間も極端に短くすることで効力を高め、抵抗を突破しているのだろう。


「はい、皆撤収するよ!このまま戦ってても埒明かないからね!」


 その声を聞くと共に、煙の中で私達は行動を開始した。

 1つ、フレデリカは壌土の蛇、そしてゴーレムを動かし先導を。

 2つ、戦闘を行っていた私達を含めたプレイヤーは、フレデリカについていく様に撤退を。

 そして3つ。フレデリカ以外の植物系、もしくは地形変化が行えるプレイヤーが、人形達が追ってこれないように土や植物を操る事で即席の壁を形成した。

 全員が全員、素早く行動していく。そこに迷いは一切ない。

 分かっていたのだ。幾ら有利に事が進んでいようとも、それが永遠に続くわけではない。そして、相手側は……今の所、人形の数の底が見えない。ゴールの見えないマラソンを走っている様な感覚。それを味わい続けたくはなかったのだ。


「……ふぃー……」


 当然、私も私で戦闘を続けたくはなかった。

 これ以上戦いが続く場合、『イートリスト』に保存されているスキルを使わねばならない可能性があったし、何なら何処かのタイミングで自分自身が我慢できなくなり『飢餓』によってHPが底をつく可能性だってあったからだ。

 故に、撤退自体に異論は一切ない。

 フータを背中に背負ったまま、私はフレデリカの居る壌土の蛇の頭の上へと駆けのぼると、その場で胡坐をかいて休憩する事にした。


「おかえりなさいおかえりなさい~」

「ただいま。いやぁ、結構ハラハラしたねぇ」

「掲示板では情報見てたけど、あんな感じなんだな、人形達。……ボスがアレ生み出してるって中々ヤバくねぇか?」

「まぁヤバめ。早めに決着付けないと……最終日とか暮らせる場所も無くなってる可能性あるね」


 だが、こうしてプレイヤー達を1つに集める事が出来たのは大きい。

 これまでは探索によって情報を得る事を重視してきていたが……ここからは明確に、『攻略』を行う事が出来るようになってくる。

 その為にもまずは、


「情報交換、やっていこうか」


 戻ろう、拠点へと。

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― 新着の感想 ―
 暴食(飢餓)、憤怒(憤怒)、強欲(物欲)。七大罪のうち三つは確認できましたよと。  どれもキツめのデメリットが付くし使用がほぼ強制されるしで、使い勝手はとてもじゃないが良いと言えないのよねぇ…… …
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