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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第12章 サバイバルイベント後編

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Episode6 - 最後のピースは遅れてやってくる


「戻りました戻りました!無理矢理突破して回収してきましたよー!」


 壌土の蛇を操るフレデリカが笑いながら戦場に現れる。

 そもそもとして、私たちの勝利条件はここで繊維の人形達を殲滅することではない。

 フータを始めとした、残されていた拠点にいるプレイヤー達の回収だったのだから。

 見れば、フータとフレデリカを乗せた蛇の後方には、胴体部を檻のようにして複数のプレイヤー達を運ぶ壌土で出来た人型のゴーレムがいた。

……あ、アレも見せたんだ。

 壌土を操る能力は、別に蛇の形に限定されているわけではない。

 フレデリカが変えようと思えば何にだって変えることも出来るのがあの能力の本質であり、蛇の形にしていたのは侵攻や敵を倒すのに丁度良かったからに過ぎないのだから。


「イヴ姉ちゃん、こいつらは?」

「多分この森のボスが作った奴らだね。魂なし、味も核以外ほぼなし!」

「味の感想はいらねぇなぁ!」


 フータは蛇から私に向かって飛び降りつつも、罠の展開を続けている。

 周りのプレイヤー達は何がなんだかと言った風で、半ば混乱しながら罠に掛かった人形達を倒し続けているものの……彼の本気はこんなものではない。

 確かに拠点の防衛ではかなりの罠を展開し、要所要所で指示を出しながら被害を出さないようにと立ち回っていたのだろう。

 しかしながら、本領はそこではない。

 彼が本領を発揮するのは……彼自身が戦場に立ち、守るべきものが他にない時。つまりは……自身以外の事を考えなくて良い時だ。

 その点、


「はいキャッチ。いつも通りで良いね?」

「おう、いざとなったら使わせてもらうぞ、イヴ姉ちゃん」

「あはは、まだあれはクールタイム中だから……1回限りになるよ」

「は?マジで?使ったの?」


 私との相性は凄く良い。

 罠に掛かってしまおうが、敵に囲まれようが関係がない。目の前のモノを喰らい進む事が出来、尚且つ【再誕】や【光合成】を始めとした死を遠ざける様なスキルを持っている個人戦闘型の私は、戦場にて彼を高速で運ぶ乗り物となる。

 フータの身体をしっかりと受け止め、衝撃を殺しながらも背中に背負う。

 レストートとの戦闘の時と同じスタイルだ。


「ちょっと食べ過ぎてさ」

「あー……うん。そこら辺の対策も後で考えねぇとなぁ……」

「ま、イベント終わってからだね。所でフータくん」

「んあ?なんだ?」


 大量に罠を展開し続けるフータを流石に脅威だと判定したのか、人形達のヘイトが一気に私とフータに向いた。


「どうする?流石の私でも一気に5体以上は無傷で切り抜けるのは難しいんだけど」

「5体は無傷で行けるのかよ……でも問題ねぇ」


 一息。


「――もう終わった」


 声と共に、私とフータから見て一定の範囲内に入った人形達の動きが一斉に停止した。

 見れば……鋼鉄製のワイヤーの様なモノが全身に巻き付いている。だが、それだけではない。半透明の杭が四肢に打ち込まれ、地面に固定されると共に。人形達の首には全て半透明の断頭台の様なモノが出現していた。

……大盤振る舞いだなぁ。しかも……まぁこれは見せちゃっても関係ないか。対策とかの話じゃないし。

 静寂。

 戦場であるにも関わらず、今も人形達が近付いてきているのにも関わらず、私とフータの周囲だけが音が無くなったかのように静かだった。

 そして、フータがゆっくりと指を鳴らした。


「「「――」」」


 瞬間、断頭台によって人形達の首が落ちていく。

 勿論、これはただの【罠作成】による罠ではない。事実を言えば、断頭台も……それから、人形達に打ち込まれている杭も……1つのスキルによって生じた、副産物に過ぎないのだ。


「ふぃー……イヴ姉ちゃんが言ってた通り、全くダメだなこいつら。相手をするだけ無駄だぞ」

「だろう?こっちの【暴食】も全くでね。でも核狙いなら話変わるんじゃない?核食べたら色々発動出来たし」

「へぇ?」


 フータの声に合わせるように、戦場で変化が起きる。

 他の罠に掛かっている、もしくは攻撃されている人形達に向かって、大量の半透明のナイフが飛来し始めたのだ。

 1つ1つのダメージは少ない。それこそ、最初は人形達の身体の繊維にすら傷が付かなかった程に。

 しかしながら、それが何本も何本も……1本が10本に、10本が100本に増えていけば事情が変わってくる。

 傷が付かなかった筈の身体に傷が付き。その傷から更に深く内側へと届いていく。

 そうして、やがて……半透明のナイフ達は人形の核へと辿り着く。


「ははッ、確かに核自体には色々詰まってるみたいだな。オーケィ、次からこっちを狙う事にする」

「いいねぇ。もしかして色々と検証もしてた?反対側でさ」

「まぁな。イベント直前に進化したから試す時間も無かったからな。その点、襲撃はかなり助かった。向こうから実験相手が来てくれたし」


 核にナイフが突き刺さると同時。大きく核の内側から光が弾け……フータの身体へと集まり吸収されていく。

 彼がこのサバイバルイベント直前に進化させ、そしてその仕様や検証を行う事が出来ていなかった1つのスキル――【強欲】。

 私やセツナの持つ、大罪の名を冠するスキルと同等のモノを彼は手に入れていた。

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じゃあそのうち食われるな…
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