Episode2 - オーダーは蹂躙及び侵攻で
拠点班はこちらに居るフレデリカの存在を羨ましそうに見た後、大量の木材や何処から作り出したのかガラスなどの建材を使い、拠点を今の倍以上の大きさにする為に。
警備班はいつ何が来ても良いように、森の方……だけでなく。今まではプレイヤー達のメインの食糧である魚を捕るだけしか役割の無かった海の方にも視線を向けている。当然だ。無人島、そしてモンスターや魔法の様な力が存在する世界だ。海に人を襲撃する様な存在が居ないとは限らないのだから。
そして、私達開拓班は。
「ではでは、始めます。規模としては過去最大。周辺の土、植物を軒並み巻き込むので……植物系モンスターの方は全力で成長促進を。スキルで土を作り出す事が出来る人は随時生成し続けてください」
「りょ、了解!」
「ほら、皆!全力で木や草生やすよぉー!」
「違う意味にも聞こえるなそれ」
フレデリカが昨日森の中で行使した壌土の蛇。
それが合計5匹、私達の目の前に出現した。数としては森の中を行くには少ないだろう。しかしながらこれで良い。
何故ならば、
「えっとえっと、森の木々を破壊しながら巻き込み巨大化させていきます。途中で制御を外れ、自壊が開始するのでその時は少しだけ離れてください。自壊後、次は10匹の蛇を作り出して……と何度も何度も反対側の拠点に辿り着くまで繰り返します。では、開始」
この壌土の蛇は増えていく。
そも、材料は土と粘土と植物のみ。それらが用意出来るのであれば幾らでも出現させる事が出来るのだから……数について今考える意味はない。
こうして、私達開拓班のプレイヤー合流作戦……もとい、フータ回収作戦が開始したのだった。
―――――
「だぁああ!?モンスター達が入れ食いだなぁオイ!イヴ!お前サボってないで喰ってくれよ!?こういうの大好きだろ多分!?」
「ヒルマくん女性に沢山食べろって……ちょっとデリカシーないよ?気を付けた方がいいかも」
「うるせぇなぁ!?」
壌土の蛇による森の破壊活動は大変スムーズに進んだ。
そも、蛇が触れる端から取り込んでいくのだから、ただの破壊や伐採よりもスムーズにいくのは間違いないのだ。
それはそれとして……問題になったのは食虫植物系のモンスター達の存在だ。
どうやら、しっかりとこの森のボス的存在の指示を受けているらしく。あからさますぎる破壊活動を始めた私達を止める為に、襲撃レベルの集団で襲い掛かってきたのだ。
当然、こちらもこちらで今更襲撃に対応出来ない訳もない。
ロートを始めとした広域制圧系のプレイヤー達が動きを止め、スオウやヒルマを始めとした個人戦闘系のプレイヤーが各個処理していく流れがいつの間にか出来ていたレベルでスムーズに処理出来ている。
では、そんな中私が何をしているか、と言えば。
「いやぁ、良い眺めだねぇフレデリカちゃん」
「そうですねそうですねぇ」
フレデリカと共に、1匹の壌土の蛇の胴の上に陣取っていた。
サボっているかと言われれば勿論サボっている。【暴食】の関係上、私がここで暴れてしまえば後半には『飢餓』によってHPが削り切られてしまう。幾ら【光合成】があると言っても、襲撃と同規模でモンスターに襲われている今、もしかしたら後半まで保たない可能性だってあり得るのだ。
だからこそ、私は今戦闘に参加するのは配下達だけに留め。バフの共有によって徐々にステータスの強化を行っていた。
それに、確認しておきたかった事も1つある。
「……やっぱり歪んでるね。高い所から見るとよく分かるや」
「あのあの、あっちの……すごく歪んでる所が中心部ですかね?」
「多分ね。ボスが居るとしたらあそこかな。行くのは明日以降にはなると思うけどさ」
高い位置から見た森の状態だ。
私には生憎と翼はない。空を飛ぶ事が出来なければ、空高く自身を打ち出す様な技術も無い。
だからこそ、今回巨大な壌土の蛇を扱う作戦中に確認しておきたかったのだ。
……【魂視】的には……見えない。いや、これ見えてるけど大きすぎて見えてないだけだ。それに。
イベントボスになるような存在の魂が小さいとは思えない。だから、ここで確認しきれないのは別に良い。
だからこそ、私の眼を惹いたのは別の部分だ。
「あそこ、魂が集まっていってる」
「魂が?……あ、もしかして」
「そうだね。森の植物とかの魂が薄い理由だコレ」
森全体から、魂が中心部に向かって飛んでいき吸収されていくのが視えてしまったのだ。
あまり時間を掛けていると、集めた魂で何をしでかすか分からない。だが、これが視えているのは私の様な【魂視】を持つ者か、魂系の要素を持ったモンスターアバターのプレイヤーのみ。
故に、未だ参加者達の中に危機感を持っている様子はない。
後々ロートに伝えておくにしろ、これについては……分かっている者が出来る限りの警戒をするしかないのだろう。
「さて、戦闘するにしても……やっぱり私達的にはフータくんが居た方が色々と便利だからね」
「ですねですねぇ。フータくん、このイベント始まる少し前に、私と戦う為の罠を何個か考えた!って言ってたんですよ。楽しみです」
「それは上々。知り合った頃の事を考えると中々良い成長の仕方だねぇ」
そんな事を言いながら。
下から聞こえてくる喧噪を肴に、私とフレデリカはまったりと今回の作戦に参加しているのだった。





