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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第12章 サバイバルイベント後編

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Episode1 - 本格的に始めよう


 3日目、昼。

 イベントの折り返し地点であり、反対側のプレイヤー達と足並みを揃え森の攻略を始めようとするタイミング。

 私とフレデリカはと言うと、


「フータくん居た?」

「居ません居ません。多分ですが、戦闘班からは外れてるのかなって」

「あー……まぁ、そうだよねぇ」


 姿の見えないもう1人の身内を探していた。

 ヒルマ、そしてスオウが主体となり、建築系のスキルを持つプレイヤー達が作った、プレイヤー運搬用のトロッコによって集められた攻略チーム。

 当然ながら、私達2人もその中に含まれている、のだが。

 フータの姿が一切見つからないのだ。


「うーん……ヒルマくーん」

「っ、なんだよ?どうした?喰わないでくれ」

「食べないよ。そっち側に1人、ゴブリンっぽい見た目のプレイヤー居なかった?罠作るのが得意な子」

「罠?……あー、居るな。フータだろ?ウチの方の拠点の防衛班の班長してる」

「「あー……」」


 考えてみれば当然だ。

 彼の持つスキルはどれもが専守防衛に特化したもの。私達の方に居たプレイヤー達が各個の戦闘能力で対応していた襲撃を、彼ならば1人で、尚且つ大した被害も出さずに処理することくらい造作もないだろう。


「ちなみに、その子をこっちに呼ぶのって……だめ?私達の身内なんだけど」

「すまん、そりゃ無理だな。向こうはあの子が居るから成り立ってる部分がある。こっちに生産系が少ないだろ?向こうに固まってんだよ」

「転移の悪影響出ちゃったか……」


 話を詳しく聞けば、向こうはヒルマと何人かが中心となって戦闘面と探索面を。

 フータが防衛面を担当し、拠点内の非戦闘員を保護するという形でここまで耐えてきていたらしい。

 こっちに戦闘系、それも第一回イベントの上位陣が固まっているのだ。それくらいの偏りが出てしまうのは仕方ないだろう。


「……んー……ロートちゃん」

「うん、話は聞いたよ。ちなみに、そのフータくんが居ると戦闘面でどれくらい楽になる?」

「私と2人でタラッセイアのワールドボスのヘイト取ってた」

「……そりゃ防衛に専念させとくのは勿体無いねぇ」


 だが、そうなると反対側の拠点を守る者がいなくなる。

 ならば、


「うん、良い機会だし全員合流しちゃおうか」

「ま、そうなるよね。どうする?フレデリカちゃんと……スオウくん、ヒルマくんがいれば大体はなんとかなるとは思うけど」

「んー……リットンちゃーん」

「はーい!」


 ロートが少し離れた位置で反対側にいた検証班の面々との情報交換を行なっていたリットンを呼び、事情を説明すると。

 彼女は何枚かのウィンドウを展開しつつ、他の検証班と二、三相談した後に。


「恐らく問題ないかと。フレデリカさんの能力の影響範囲にも寄りますが、その辺りは私達がバフを掛ければ十分現実的な範囲です」

「おっけおっけ。じゃあフレデリカちゃんちょっといい?……あ、イヴは一旦待機。多分この後やる作戦で色々頑張ってもらうから、今は適当に休んでて」

「はーいよ」


 漏れ出る会話を聞いていると、何やら『薙ぎ倒す』、『強行突破』などという本当に作戦を考えているのかどうか心配になる言葉が聞こえてきたものの。

 私は大規模に大人数を動かす様な作戦は立てられない。だからこそ成り行きに身を任せるか……それか、指示を出す人間に素直に従っている事にしているのだ。

 何か気に入らない事があれば、その相手を喰らってしまえばいいだけなのだから。


「……はいはい。成程。確かに出来るかと。問題はロートさんも言う通り、道中ですね」

「うんうん。イヴが言ってた魂がないっていう繊維の人形達も気になるけど……ボス本体じゃあないっぽいし。それならまだ人数での力押しで大丈夫でしょう!」


 ある程度の話がまとまったのか、フレデリカと共にロートがこちらへと近寄ってきた。

 手にはいつの間にかちゃんと作り直したらしい木製の無骨な煙管が。既に白い煙を纏っていると言う事は……そろそろ作戦開始の時間が近い、と言う事だ。

 彼女は煙管を口に咥え一服した後。


「じゃあ皆!これよりプレイヤー合流及び、拠点統合作戦を開始する!拠点班はこちらの拠点の増設を!警備班は襲撃があったら後の事を気にせず、全力を尽くして拠点を守り抜いてほしい!そして合流の為の開拓班!」


 一息。


「君達はフレデリカちゃんによって作られた道を行く!こちらは森の端、比較的浅層を切り拓いて進んでいく予定だが……既に詳細の分からない強力な敵も出現していると報告を受けている!道中襲われたとしても、1人で戦う事はせず、周囲と協力するように!以上、作戦開始!」

「「「応!」」」


 それぞれのプレイヤーが動き出した。

 ロートが苦笑いしながらこちらに向かって歩いてくるのを見ながらも、私は近くのフレデリカに対して個人チャットで連絡を入れておく。

 ここで見せるのは、昨日使った壌土の蛇、それだけでいいと。

 私の連絡を見たフレデリカは少しだけ考える様な素振りをしてから、私の方にそっと微笑んだ。どうやら理解してくれたらしい。

……昨日はまだ一定範囲、一定のプレイヤーだけにしか見せなかったから良いけど、今日はそうじゃないからね。フレデリカちゃんの性格だと……もしかしたら蛇以外も使いそうだし。

 あくまでも手の内を明かすのは最小限で。

 私という隠したくても隠せない存在がいるのだ。ならば、出来る限り他の……フレデリカやフータの使える手札は隠しておきたい。


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