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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第11章 サバイバルイベント前編

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Episode18 - それは流石に


 口に触れ、歯と舌に削がれ蜥蜴の果実のような核は私の腹へと落ちていく。

 最初に感じたのは、林檎の様な風味と大量の果汁の様な甘い血潮の味。

 しかしながら、その奥からはこの蜥蜴の元になったであろう食虫植物達の味が舌に乗り、通り過ぎていく。

 蜥蜴が声帯の無い喉から音にならない悲鳴をあげながら私を引き剥がそうとするものの……敵わない。

 既に私の食事は始まっているのだ。地に歯を立て、胴に爪を立て。力押しにも負けない様に構えて更に喰らう。

 『イートリスト』の取得ログは流れない。【存在喰い】の効果自体は発揮しているのにも関わらず、発動しない。その意味を頭の片隅で考えながらも、私は更に核を喰らっていく。


「んっ……良いね。良い水分補給になるよ、君」


 私にこの蜥蜴の魂は視えていない(・・・・・・)

 比喩でも何でもなく、【魂視】を持つ私の眼は、この蜥蜴は魂を持たない存在なのだと映し出していた。

……ゴーレム……それも、モンスターとかじゃない、純粋な人形系のやつ。

 だからこそ、喰らっても喰らっても魂の味は一切しない。

 するのは核と、身体を構成しているであろうモンスター達の後味のみ。

 それが意味することは1つ。


「君、モンスターとか配下とかじゃなくて、単純にタレットとか、そっち系の物なんだね」


 だからこそ、意味がないのに。核を喰われているのに一定の動作を繰り返す。

 先程から度々見えていた感情の様なものは……恐らく、この蜥蜴を操っていた者のモノ。

 現状、それが意味する事を考えるのはやめておいて……私は核をひとしきり味わって。


「ゴチソウサマでしたっと」


 光の粒子にはならず、身体が崩れていく蜥蜴に手を合わせてそう言った。

 それと共に、私のHPは底をつき、


『スキル【再誕】が発動しました。最大HPの50%を回復、一定時間ステータスが強化されました』

「はい、起動っと」


 【再誕】が発動したのだった。

 核を喰らっている間に発動しなくて良かったと思いつつも、この先に進むべきかは悩み所だ。

……蜥蜴1体なら余裕があった。『イートリスト』は使ったけど……それも相手の出方を見てたからだし。

 ある程度の力量が分かった今ならば、自前のスキルと立ち回りだけで倒せるであろう相手。

 しかしながら、それは1対1の場合だ。

 相手がモンスター……スポーンする類のモノではなく、何者かによって生み出された物である以上、ここから先に進めば……大群と戦う可能性だって考えられる。


「こっちを見てる視線も……消えてないしなぁ」


 それに、何処からか私へと向けられている視線はまだ外されていない。

 今の戦闘を一通り見られた後で、このまま先に進むのはあまり賢い選択だとは思えなかった。

 だが、


「……ん、まぁ戻るにしても……私じゃあ正解の道とか分からないんだよね。困った事に」


 ここで、この森のいやらしいギミックが効いてくる。

 正しい道を通らねば更に迷うこの森は、フレデリカの様に植物との意思疎通が出来なければ容易に抜ける事は出来ないのだから。

 だからこそ、私は前に進むしかない。

 『飢餓』の解除された私にとって、先に進む事で発生するデメリットは、集団に囲まれる可能性がある事以外は何も無い。

 よく考えればもっと他にもあるのかもしれないが……それにしても、今思い付かないのだから無いのと同じだ。

 故に前へ出る。足を動かす。駆けていく。


「さぁてと、何が出てくるかな。藪蛇になるか、それとも……虎穴かなぁ?」


 どちらにしたって敵は居る。未知なる相手がそこに居るのは確実なのだ。

 ならば進む。今は味方である数多くのプレイヤー達の為に、少しでも情報を集める為に。

 そう考え、森の中を駆けていけば。


「げぇ……」


 私から見て、前方。そこから……波の様な何かが迫ってきているのが見えた。

 否、波ではない。蜥蜴だ。

 蜥蜴以外にも、獅子や馬、狼と様々な動物の形をした繊維の人形達が明らかに私へと向かって駆けてきている。


「さぁーすがにこれは無理」


 1体、無理をしたとしても……3体まで。

 それ以上は『イートリスト』内のスキルを全解放したとしても倒し切れない。

 だからこそ、


「これ、砂浜まで行かないと良いなぁ」

『あなたは死亡しました:全ステータス低下30分が付与されます』


 私はそのままデスペナルティとなった。



―――――



 私が戻ってきてからのプレイヤー達は、その報告を受けて夜でありながらも2つの目的に沿って行動を開始した。

 1つは、仮拠点の強化。フレデリカや大規模に地形の変動を行う事が出来るプレイヤーが中心となり、後方支援系のプレイヤー達が安心してアイテムなどの製作や、バフデバフを付与出来る様な部屋。そして防壁などを作り出し、一種の砦の様な拠点を建設していく。

 そしてもう1つはと言えば……こちらは、単純に戦闘部隊の再編制だ。

 私が出会った繊維の人形。1体ならば数人……凡そ3人から4人がかりで挑めば安全に倒す事が出来るだろう。

 しかしながら、最後に見たソレはその程度の規模の話ではない。

 故に、広域殲滅班と単独でもある程度の生存、そして戦果を期待出来るプレイヤーに分かれて戦うワンマンプレイ班の2つに分けたのだ。

 そして、それ以外にも変化はあった。

 反対側に居たプレイヤーの1人であるヒルマが、そのスキルを駆使して森の浅い部分だけを通る事で私達の元へと辿り着いたのだ。これからは反対側ともより密に情報を交換しつつ森の攻略を行う事が出来るようになったのは大きいだろう。

 こうして、2日目……そして3日目の朝方に掛かるまでの時間は過ぎていった。



――――――――――

プレイヤー:イヴ

合計スキルレベル:91

 戦闘カテゴリレベル:45

  保有スキル:【噛みつき】Lv5、【捕食】Lv9、【カニバリズム】Lv2、【部位破壊】Lv2、【ヒットボックス拡張】Lv5、【魂喰い】Lv5、【背水の陣】Lv5、【座標攻撃】LV1、【暴食】Lv5、【再誕】Lv1、【存在喰い】Lv5


 探索カテゴリレベル:2

  保有スキル:【地獄耳】Lv1、【影法師】Lv1


 その他カテゴリレベル:44

  保有スキル:【恐怖耐性】Lv2、【口腔生成】Lv5、【多産】Lv5、【配下指示】Lv5、【主従共有】Lv5、【バフチェイン】Lv5、【旧共通語】Lv1、【狂気耐性】Lv2、【骨鎧生成】Lv3、【光合成】Lv5、【霊体化】Lv1、【魂視】Lv1、【尊き身体】Lv1、【防御増加】Lv1、【麻痺耐性】Lv1、【萎縮耐性】Lv1


『イートリスト』:『忌夜狩獣 レストート』、アイランドハエトリ、アイランドカズラ、アイランドゴケ、アイランドドロソ

――――――――――

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