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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第1章 ゲームスタート編

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Episode15 - VS 『悪母鬼 マーテル』2

 

 マーテルの動きを止める事は出来ない。

 今も周囲のゴブリン達を倒し続けているのもあるが、そもそもとしてマーテルにはダメージをゴブリンに肩代わりさせる何かしらのスキルが存在している。無理矢理止めようとして、それがダメージ判定になった瞬間にアウトになる可能性があるのだ。

 それに、そもそも私は何かをしようとしている肉塊の止め方なんて人生の中で一度も学んだ事が無い。


「止めたくても止められないってのは歯痒いね……ッ!」


 そうして、マーテルが何をしようとしているのかを理解する。

 その肉塊の身体の一部が大きく割けるように、ゴブリン達を産む時よりも多くHPを減らしながら……巨大な何かを産み始めたのだ。

 せめてもの抵抗として、手あたり次第にゴブリン達を投げつけてみるが止まらない。止められない。

……あれもしかしてオーガか!?面倒なんだけど!?

 オーガというだけならば問題はない。今の私ならば、誇張なく前回よりも簡単に倒せるだろうから。

 問題はただ1つ。


「複数産むのはルール違反でしょうが、本当に!」


 マーテルがオーガを1体ではなく、複数体……私が見える範囲では3体も産み落とそうとしている点だ。

 流石の私も、3体のオーガを相手取って無傷で勝てるとは思えない。ましてや、【口腔生成】を隠し通す事なんてもっての外だろう。

 故に、駆ける。

 マーテルが止められないのであれば、今まさに産み落とされようとしているオーガが動き出す前に仕留めるだけだ。

 等身の上がった身体、【筋力増加】及び存在昇華によって上がったステータスによって、自分の想定よりも幾分か早く、ゴブリンの群れの中を抜け。今まさに産み落とされようとしているオーガの中の1体の元へと辿り着き、


「イタダキマスッ!」

『……へぇ、触れるだけで。悪食ねェ』

「褒め言葉褒め言葉!」


 無防備な頭を思いっきり蹴り上げながら、【口腔生成】によって足の甲に生成した口を使って喰らう。

 オーガの身体が逆方向に折れ曲がるのを確認すると共に、足先から伝わるオーガの肉と血、そして内臓の味。

 【捕食】によって瞬間的に私の身体にバフが掛けられたのを感じながらも、すぐさま背後から迫ってきているゴブリン達の群れへと背中を向けたまま軽く跳んだ。

……多少のダメージは仕方ないとして……バフが貰えるなら十二分に立ち回れる訳だ!

 既に【口腔生成】は見せてしまった。だが、逆に言えば……それをこれからは隠さず使って良いと言う事。

 出来ればマーテル本体に対して初めて使いたかったものの。

 それが出来ないのであれば仕方がない。現状出来る最高の動きを、アドリブの中でしていくだけの事。


「味の数が少ないのが難点だけど、食べ物の数だけ言えば最高だねここのバイキングは!」


 ナイフを私の身体に突き立てようとしてきたゴブリンの、その顔面を撫でる様に触れ喰らう。

 下から這い寄る様に迫り拘束してこようとしたゴブリンの、私に触れた手を喰らう。

 一度距離を取り再度跳び掛かってこようとしたゴブリンに、こちらから一気に距離を詰め殴り喰らう。

 一度喰らうと共に、私の身体には異なるバフが付与されていく。1つ1つのバフ自体は持続時間や効果量が少ないものの……それも数が積み重なれば関係ない。

……『攻撃力増加』、『ダメージ軽減』、『全ステータス強化』、『敏捷力強化』。主なバフはこの辺かな?十分十分!

 オーガ1体と、無数のゴブリン達だけでもこれだけのバフが手に入るのだ。

 ステータスだけ見れば既にここで戦い始めたどのタイミングよりも今が強い。

 だからこそ、取った距離を再度詰める。詰めて詰めて詰めて、


「――ッァ!」

「残り2体のオーガか!」


 ここで、ちゃんと産まれ落ちる事が出来た2体のオーガが私へと手を伸ばしてきているのが見えた。

 両手。それもそれぞれの手が別のタイミングで私の身体へと触れるようにとズレを生じさせた上で、だ。

 こちらの【口腔生成】のスキルレベルがあまり高くないと踏んだのだろう。

 一時的に生じた口に食べられ、バフを与えるリスクよりも確実に手を届かせ拘束する事を選んだのだ。

……産まれたばかりにしては……いや、これやっぱりマーテルが操ってるな!?

 これまでのゴブリンの様子や、産まれ落ちたばかりにしては私の持つスキルに対する対応の早さ。

 ダメージの肩代わりに加え、指揮や洗脳などといった類のスキルも持っているのだろう。

 予想はしていたが……頭が良い。産めるのがゴブリンやオーガでなかったらもっと厄介だった筈だ。


「さっきまでの私だったらダメだったかも、ねッ!」

『……』


 バフを得ていない私ならば拘束されていた事だろう。だが、今は無数のバフの上に私は立っている。

 こちらへと一番最初に迫ってきたオーガの左手を、バフによって強化された四肢の動きだけで上に跳ね上げて。次いで迫ってきたもう1体の左手は、上からこちらの左手を被せる様に置き喰らう。

 凝りぬ様に迫る右手に対して、私はその場から軽く跳ぶ事で進路上から避け。

 最後の1本の右手に着地する事で……全てを回避した。


『でも、アナタは私に触れても怪我をさせられない』

「そうだね。そのスキルかな?それとも君の種族的な特性かな?どっちにしろ、ゴブリンとかが居る以上、ダメージは与えられない訳だ。……でもさぁ?」

『……?』


 マーテルはまだ、ここに来て私の事を下に見ている。

 オーガを産み終わり、ゴブリンを新たに産んでいるからだろうか。それとも、私の知らない切り札的な何かがあるのだろうか。

 だが、それらに関してはどうだって良い。本当に。

 私は何も理解出来ていなさそうなマーテルの雰囲気に、にっこりと笑った。

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あの肉塊のナメた態度を驚愕させる行動は果たして?
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