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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第11章 サバイバルイベント前編

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Episode13 - 周りの反応と内心の差は激しい


 甘い。樹皮を歯で削り、舌でこそぎ取りながら得た感想は……以前喰らった事がある樹皮とは似ても似つかないモノだった。

 まるで菓子の様な、砂糖で出来ているのかと勘違いする程の甘さ。

 だが、それ故に分かる事がある。というか、私が喰らい付いた瞬間から既に私の視界の隅では動き出しているモノがあった。

 木の枝だ。


「ッ、とォ!」

「イヴさん!」

「んぐ。問題ない!」


 見えているならば避けられる。

 軽く、その場から跳び退きながらも改めてそのクヌギの木をまじまじと観察してみれば。

……所謂、トレント……とかいう奴かな?

 木のうろが2つ、その内側から青白い光が目の様に見えて。

 複数の枝、そして地面の下の根を器用に使う事でその場から徐々に動き出す。その姿は……モンスター系のRPGなどではよく見かける事がある、樹人やトレントと呼ばれるモンスターに近いものだった。

 だが、違う点も勿論ある。

 それは、


「――!――!!」

「「「――ッ!」」」

「げぇ……任せていい?フレデリカちゃん」

「勿論勿論!」


 トレントに果実の様に、ウツボカズラ達がぶら下がっていたのだ。

 これまで気が付いていなかった、という訳ではない。先程まで、動き出すまでは本当に居なかったそれら。

 瞬間的に転移してきた訳ではなく、今このタイミングでスポーンした訳でもない。

 トレント自体が、今、この場で【多産】の様にウツボカズラ達を枝からぶら下げるような形で生み出したのだ。

……モンスタースポナー系のモンスター!それも……こうして攻撃を仕掛けない限りは基本的に非アクティブ、もしくは隠密系のスキルを常時使ってる類かよ……!

 だが、これで答えが割れた。

 森の奥に進むほどに食虫植物のモンスターが増えている訳ではなく。恐らくは各地に配置されているこのトレントの所為でモンスターが定期的に生み出され、私達へと襲い掛かってきていたのだ。

 もしかしたら拠点襲撃に関しても、森の中に居るモンスターの総量が一定値に達したら発生するイベントなのかもしれない。


「皆!周囲の木々にも攻撃!トレント系のモンスターが居る!――モンスタースポナーだ!」

「「「了解!」」」


 声を張り上げて、私達と共に行動しているプレイヤー達に向けて情報を共有しつつ。

 私は目の前のトレントへと向けて、再度距離を詰めるべく駆け出した。

 ぶら下がっているウツボカズラ達に関しては、既にフレデリカが根を、蔦を操る事で縛り上げる事で結果的にトレント自体も身動きが出来なくなっている。

 恐らくは自衛の為にぶら下がる形で生み出したウツボカズラ達が、想像以上の力で拘束されてしまったが故の事だろう。

 自分から切り離さない事から、そこまで頭が回らない知性が低めのモンスター、もしくは……何か自切出来ない理由があるのか。どちらにしても好機。


「あは、ここに来てからマトモな味がするモノを食べてないんだよこっちはッ!」


 喰らう。それが菓子の様な甘さをしていようと関係なく、豪快に喰らい付き噛み千切る。

 樹皮を、そしてその内側を。自身の口で大きく喰らい……そして、反撃が来ないのを良い事に、更に喰らい付く。

 甘い。本当に甘い。

 リアルで喰らい続けていれば、胸焼けを起こしてしまいそうな程に甘く、その奥に珈琲の様な苦みと風味も感じる。試しに低い位置で拘束されているウツボカズラの胴体部と共に食べてみれば……果実の砂糖菓子の様な味へと変化した。

 ゲーム内でも食べた覚えの無いデザート類。その一発目がまさかモンスター、それもトレントとウツボカズラという凡そデザートからは想像できないモンスター達の食べ合わせで作り出す事が出来るとは思わなかった。


「イヴさん!仮称トレントが集まってきています!恐らく今戦っているモノとリンクしたものかと!」

「把握!フレデリカちゃん、足止め……いや、ごめん!見せられる(・・・・・)範囲(・・)でやって良いよ!」

「ッ、了解了解です!」


 私の声にフレデリカが真剣な声を出して返事をしたものの。

 申し訳ないが、目の前のデザートに集中したいが為に頼むのだ。

……まぁある程度見せたなら、戦闘能力も見せちゃった方がいいからね。

 彼女の種族、そしてスキル構成の強さはその万能さだけに留まらない。最初の最初、私と初めて出会った時の彼女の時から、フレデリカ自身の強さの方向性は変わっていないのだ。

 そして、今。様々な事が出来る様になった彼女はと言えば。


「な、なんだァ?!突然地面が歪んで……!?」

「お、おい植物系!?なんかやってんのか!?」

「いや、私達じゃない!これ……フレデリカさん何やってるのコレ?!」


 周りのプレイヤー達がトレント達の相手をしながらも、突然起きた森の中の変化に気づき始めた。

 フレデリカを中心に、地面が、その下にある根が。周囲の植物が、モンスターではない植物達が徐々に1つの動きを作り出していく。


「……蛇だ」


 誰かがぽつりと言った。

 根などの堅い部分を骨組みとして、土や葉などで身体が作られて。そうして出来上がるのは、何体もの意思のない壌土の蛇。

 フレデリカが自身のスペックを攻撃的に用いて作り出した攻撃用の配下達だった。


「行ってください」


 静かにフレデリカが言った瞬間。

 トレント達と壌土の蛇達の戦争が始まった。

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