Episode8 - 話し合いは必要
海岸へと戻った私達は集まっていたプレイヤー達に誘われ、作戦会議へと参加した。
と言うのも、やはりというか何と言うか。
私達以外にも森に入り、食虫植物達に倒され、迷い、死に戻ってきたプレイヤーが大勢いたのだ。
そんな中、私達は目立った傷もなく普通に談笑しながら帰ってきたのだから……まぁ注目されても仕方ない。
「で、メンバーは……まぁ見覚えある面々なもので」
「……仕方ないだろ、前回のイベントである程度目立ちすぎた」
「それに、メントゥム戦でも指揮とか取ってたしな」
「まぁ、ここでイヴやフレデリカちゃんと合流出来たのは運が良かったね。やっぱりモンスターアバターの子は数が少ない分、知り合いが少なくてさ」
私とフレデリカの近くに居るのは3人。
スオウに、ケント、そしてロートのいつもの知り合いメンツだ。
彼らも彼らで森を探索はしたものの、戻るためのルートが分からずにデスルーラして戻ってきたらしい。
「今んとこのメンバーはここの海岸に集まってるので全員?」
「一応反対側にもいるらしいぞ。大体半々で分かれてるらしい」
「……全員一緒だと、まぁ窮屈だからな」
恐らくこの場にいないフータも反対側なのだろう。
ゲーム内の掲示板は主に反対側にいる面々との連絡用に使われており、向こうでも同じ様に作戦会議が行われている様だ。
「で、どうする?イベントで過ごすだけなら……まぁこの海岸で遊んでたっていいけど、流石に1週間それは飽きるっしょ」
「って言ってもなぁ……」
ケントが言い淀む。
既に私達が無事に戻って来れた理由は話してあるし、何なら私とフレデリカが感じた異常についても共有済みだ。
ちなみに、流石に焼き払うのは却下された。
統率が取れるプレイヤーだけがいるならまだしも、ソロで楽しんでいるプレイヤーもいるのだ。流石にそれをやっては彼らを巻き込む可能性が高い。
「合流自体は後回しでも良いんじゃない?イヴが言いたいのって、今後の拠点と……7割くらいご飯をどうするかって話でしょ?」
「失礼な、9割だよ」
「……それはほぼ全てだ」
そう、何をするにも拠点や食糧は必要となってくる。
今は1割しかないHPを回復するには1回死ぬか、それか回復系のスキルを持っている者しか行えない。通常マップであれば一度安全な場所で寝るか、何かしらの回復効果のあるモノを食べる事で回復出来るが……生憎と、この無人島にそのような場所もモノも無い。
だからこそ、まずは寝床や食糧を集めるべきではあるのだ。
……食虫植物達が砂浜の方まで出てこないとは限らないしね。
正直、拠点を作るのは……こちらにフレデリカが居る時点で簡単だ。
彼女が周囲の木々を操れば、それらしい建物を作り出す事は容易。そこに他のプレイヤー達が家具を設置したりすれば拠点として使える様にはなるだろう。
しかしながら、食糧の方が問題だ。
「すいませんすいません。流石に砂の上で育つ様な作物とかの種は今の所森の中で見つけられてなくて……」
「そりゃまぁ仕方ないでしょ。ケントくん、スオウくん。君らの所の討伐派のメンバーってどれくらいいるの?」
「ん、大体それも半分くらい……こっちに居るのが大体400人、その内の50人くらいがメンバーだな」
「ん?400人……って事は合計800人くらい?少なくない?参加者」
別段、今回のイベントに参加制限などは存在していない。しかしながら、800人しか参加者がいないのは少しおかしい。
「あぁ、それならサーバー分けてるみたいだよ。それぞれ大体同じくらいのプレイヤーがいるっぽい」
「成程成程。まぁ流石に無人島全体を使うとしても参加プレイヤー全員が同じ島に居たら……1週間も経たずに人海戦術だけで開拓も情報収集も終わりそうですしね」
「ほーう」
ちなみに詳しく話を聞いて見れば、現在見れる掲示板は私達が居るサーバー用の掲示板のみらしい。
つまりは、他サーバーの進捗や情報は見る事が出来ない訳だ。
「で、なんで人数聞いたんだ?」
「いやね。とりあえず森の中で探索する組と、海で食糧調達する組で分かれた方がいいかなって。建築系のスキルを持ってる人は拠点作成で」
「そうだね。それが良いと思う。数は少ないけれど翼持ちのモンスターアバターのプレイヤーも居るし、空からの探索もお願いしよう」
「おし、じゃあ1日目は大体そんな感じでいくか。……時間は……」
全員が空を見上げた。
雲1つ無い空。太陽が輝いている。位置的に……大体正午くらいだろうか?
「とりあえずは夕方まではそれぞれの作業する事にするか。班分けは……」
「はいはーい。私とスオウくんでやっちゃうよ。イヴやフレデリカちゃんは人間側の実力とかもあんまり分かってないだろうし、それなりに顔が広い2人でそこら辺はやっておく」
「……担がれてるだけなんだがな、俺は」
と、言う事で。
こうして私達はしっかりと協力してサバイバルをしていく事になった。
久々の人間プレイヤー達とのちゃんとした協力。今の所、この無人島に何が待っているかは分からないが……出来れば、美味しいモノがあれば良いなと思いながら。
私は割り振られた班のメンバーの元へと向かって歩き出した。





