Episode4 - ちょっとした調整を
準備、と言ってもやれる事は少ない。
アイテムは勿論、装備すらも持ち込めないのだ。ならばやれる事は1つ。
「スキルの獲得と、レベル上げかな」
自室に戻った私は、スキルの一覧を眺めながら考える。
レベルを上げる候補は何個かある。
『飢餓』に耐えられるようにする為の【光合成】。
HPが減ったとしてもある程度以上に戦う事が出来るようになる為の【背水の陣】。
そもそもとして『飢餓』のダメージ率を下げられるかもしれない【暴食】。
新たに手に入れ、まだ手を付けていない【存在喰い】。
全てが全て、今の私のスタイルに噛み合っているものの、力不足だったり、まだ更新する余地があるモノだ。
「んー……いや?」
と、眺めていると気が付いた。
【捕食】を始めとした、レベル5になっているスキルのレベルを上げる事が出来る。
……前まではここまでしか上げられなかったよね?えーっと……あぁ。
思い返すのは、先のレストート戦。
その中で存在昇華を行った際に流れたログだ。
「なんか上限を撤廃とか書いてあったな……もしかしてこれかな?」
確かめてみると、レベル5以上に挙げられるのは捕食系のスキル及び、【噛みつき】と【口腔生成】。
どれも喰らう事に特化した効果を持つスキルだ。
試しに【捕食】のレベルを上げてみようとすれば、
「げっ、必要経験値1万?一気に跳ね上がったなぁ……余ってるけどさ」
現状、私の持つ経験値量は日々の遺跡攻略やレストート戦で獲得したものも合わせて約5万。
十二分に上げる事が可能な範囲だ。
……ふむ。悩みどころかな。
確かに【捕食】などのレベルを上げれば、戦闘能力は上がるだろう。
しかしながら、元々レベルを上げようとしていたスキルや、他の……それこそレアスキルに分類されるスキルを獲得するとなると、流石に考え無しに上げる事はできない。
「……よし、とりあえず元々の候補は全部上げちゃおう」
手元を操作してスキルのレベルを上げていく。
薄々分かっていた事だが、【暴食】、そして【存在喰い】はレベル5以上に上げられるようだが、一旦止めて。
特にスキルが進化する事も無く、無事に4つのスキルのレベルを5に上げる事が出来た。
【光合成】なんかは進化してもおかしくはないなと考えていたのだが……どうやら何かがまだ足りていない様だ。ステータス強化系のスキルと同じ様に、他のスキルを要求する類だろうか。
「で、効果を確かめる前に……【捕食】も上げちゃおうか。一気に」
色々考えたが、私の軸になっているのは【捕食】というスキルだ。
これのレベルが上がり、色々と今以上に便利になるのならば……それに越した事はない。
故に、凡そ残っている経験値4万を注ぎ込んでいくと。
『【捕食】のスキルレベルが一定に達しました』
『スキルのカスタマイズが解放されました』
「……うぇ?」
何やら変なものが解放された。
「スキルのカスタマイズ……いやまぁ言葉の意味は分かるけども」
始まったチュートリアルに従いながらウィンドウを開いていけば、大体どういうモノなのかは理解出来ていく。
他のゲームにもその手のカスタマイズ要素はあったりするが、KFOにおけるそれは簡単に言えば何に特化させるかを決める為のモノだ。
スキルのカスタマイズが解放されているのは今の所【捕食】のみ。レベルが6以上となったスキルでのみ可能なコンテンツであり、何かしらの要因でスキルレベルの上限突破が出来ている事が前提となっている。
「えぇっと……成程、【捕食】は今レベル9だから4ポイント分割り振れる、と」
カスタマイズ出来る項目はそれぞれ、『主性能向上』、『副性能向上』、『持続性』、『発動時バフ獲得数増加』、『発動時デバフ付与率低下』の5つだ。
『主性能向上』、『副性能向上』は【捕食】ならば、スキルの性能自体を向上させるか、もしくはスキルによって付与されたバフの効果量を増加させるかどうか。
『持続性』は付与されたバフの効果時間が向上する。
『発動時バフ獲得数増加』、『発動時デバフ付与率低下』に関しては……読んで字の通りだ。たまに私が相手を喰らった時、相手によってはデバフが付与される事がある。それが確率で防げるようになるのは地味ながら良い効果だ。
「んー……いやまぁ、これだよね」
『『発動時バフ獲得数増加』に4ポイント使用します。よろしいですか?』
「よろしいよー」
『適用中……完了』
私が選んだのは、単純に【捕食】のバリューを上げる為のモノ。
私がこれまで手に入れたスキルの中で、【捕食】はモノを喰らう系にしてはシンプルかつ、今では少しばかり物足りない性能になってしまっていた。いやまぁ十分強いのだが。
だが、だからこそ。それが発動した時に得られるバフが増えたならばどうなるか。
それを確かめてみたいのだ。
「ポイントの振り直しは……1日1回か。課金すればいつでも振り直しが出来るアイテムが買えるけど……まぁ別に困らなさそうだしいいや」
貯まっていた経験値もほぼ使い切った為に、もう何も出来ない。出来る事があるとすれば……ここから遺跡の攻略に出向いて『イートリスト』に新しいスキルを保存しに行く事くらいだろう。
ダキニからも特に何かをするように言われている訳でもない。
ゆっくりやっていく事にしよう。





