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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第11章 サバイバルイベント前編

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Episode3 - 新たなイベント


 第2回となる公式大型イベント。

 その名も、


「『ドキッ★真夏の無人島でサバイバル?夢の1週間を生き残れ!』……もしかして、前回のイベントと名前考える人変わった?」

「多分多分、単純にイベントの企画担当の人が複数いるだけじゃないですか?」

「にしたって、ガラッと変えすぎだろ空気……」


 今回はPvPなどを積極的に行うようなイベントではなく、特殊なマップにて1週間過ごすというだけのモノ。

 無人島である為か、インベントリに入っているアイテム、そして装備すらも持っていく事は出来ないらしい。

 とは言え、私達には正直あまり関係がない。

 今装備しているアリス風の装備も無くて困る様なものではないし、何なら【骨鎧生成】で甲冑をどこでも作り出す事が出来てしまう。フレデリカとフータに関してはそもそもが装備らしい装備を持っていないのだから、まぁ本当に関係がないのだ。


「えーっと……『参加申請をしたプレイヤーのみが対象です。また、イベントマップでは時間を加速させています。イベント体感時間は1週間になりますが、実際の現実時間に直すと約1時間程度になる予定です』……VRの良い所出してきたねぇ」

「まぁ今の時代、その辺りの時間加速は普通になったよな。寧ろ、KFOはあんまり使ってないのが不思議なくらいだ」

「そうですねそうですね。他のゲームだと、それこそ通常プレイでも通常の3倍とか5倍とかの時間加速を入れてるのもありますし」


 そして時間加速。

 こちらに関しては、1週間という時間をフルに使ってほしいが為の采配だろう。

 リアル時間で約1時間ならば、ある程度忙しい社会人でも参加出来る可能性があるし良い考えだと思う。


「……で、どう見る?このイベント」

「……十中八九、ただサバイバルするだけじゃあないだろ」

「……絶対絶対、何かしらの厄ネタ出てきますよね」

『汝らは警戒し過ぎではないか……?』


 ダキニが呆れたような声を投げてきているが……正直今回においては運営が悪い。


「いーや、警戒しておいて損はないよダキニちゃん」

『だからダキニちゃんはやめろと』

「これまで私達が相手にしてきたモンスター達、特にワールドボス!あそこらへんのモチーフ元を考えると……流石にただの無人島だとは思えないんだよね」

『いつも通りこっちの話は無視じゃなお主』


 このゲーム、Kaleidoscope Frontier Onlineにて登場したワールドボス……『拷掠審獣 メントゥム』並びに『忌夜狩獣 レストート』。

 ただただこのゲームをプレイしているプレイヤーならば、そこまで警戒する事もないだろう。

 しかしながら、なまじ様々なゲームに触れている所為か……彼らのモチーフ元について、ある程度の予想が付いてしまっているのだ。


「無人島に居そうな神話生物とかって何が居たっけ?」

「何でもいそうだけどな。TRPGの方ならシナリオによっては何でもありだろ、正直」

「外なる神が居なければいいですけどねぇ」


 その名も、クトゥルフ神話。

 灰色の肌をしたぶよぶよの蛙や、羽根が生えた巨大な蝮、それ以外にも鋭角から飛び出してくる犬や、触手の付いた甲殻類など、架空の様々な化け物やホラー体験が共有された一種のシェアードワールドだ。

 そんなクトゥルフ神話をゲームとして楽しむ為に、TRPGとして落とし込んだのが昨今でも広く遊ばれているクトゥルフ神話TRPGであり……そのシナリオの中には、無人島を舞台とするものも少なくはない。


「リゾートを舞台にしてるよりはマシですかね?」

「無人島なら……まぁ変な狂信者とかが居るよりはマシじゃないか?」

「その分、なんか変な遺跡とかがあるのがあるあるだよねぇ」


 どちらにせよ、今回のイベントがその手の類のモノであるならば……ある程度の心構えはしておかねばならない。

 まぁ人間アバターのプレイヤーよりはマシではあるだろうが。

……んー、生成系のスキルである程度戦闘面は大丈夫。問題があるとすれば……このメンバーだと私だけか。

 フレデリカもフータも、どちらもサバイバル自体は問題ない。

 フレデリカは植物系の知識と、操作を。

 フータはフータで、もしも食糧が必要になった時に有用となる罠を扱う事が出来る。

 だが、私は……モノを喰らう事自体がデメリットとなりかねない。


「……断食、もしくは必要な場面が来るまで何も食べないのも視野かな……」

「「え!?」」

「なんだいなんだい君達は。そんな意外なモノを見たみたいなリアクションをしてさ」

「いやいやぁ……だって……」

「イヴ姉ちゃん、熱でも出たんか?具合悪いならゲームはやめといた方がいいぞ?」

「割と嘗めてる事自体は分かったよ」


 とは言え、『飢餓』をどうにか対策出来ない限りは私は何も喰らう事が出来ない。

 ある程度の『飢餓』だけならば【光合成】や配下達が何かを喰らう事で得られるHPによって釣り合いが取れるかもしれないが……それにしたって、限界があるのは確かなのだ。

……自分のスキルだし、取った事に後悔は微塵もしてないけど……にしたって面倒なスキルだよね本当に。

 スキルレベルを上げる事で『飢餓』のダメージ量減少などの効果があるかもしれないが……今後試してみるしかないだろう。

 どちらにしても、


「イベントまであとどれくらいだっけ?」

「2週間ですね。参加申請自体は1週間前から始まります」

「多分一緒の場所に居れば一緒に飛ばされる筈だよな?どうする、一緒じゃなかったら」

「んー……まぁ、各自分かりやすい目印を打ち上げるとかかな。フレデリカちゃんだったらめちゃくちゃ大きい樹を生やすとか」

「ですね」


 イベント開始までに準備出来るモノは準備しておく事にしよう。

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