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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第11章 サバイバルイベント前編

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Episode2 - 強さの理由


 【存在喰い】。

 私はこれまでも、【魂喰い】の様に種族名を冠したスキルを取得してきた。

 人喰いの時に取得した【カニバリズム】も広義では種族名とほぼ同じ様なモノだろう。そして、それらはそれぞれ、私に違った強みを提供してくれた。

 【カニバリズム】は対象を人間に絞っている代わりに、今でも発動を狙いたくなる程度には強い強化を。

 そして【魂喰い】は、相手の魂を喰らい最終的には弱体化させるという、戦闘中に役に立つ効果を齎した。

 では、【存在喰い】は?


「人狐ちゃん、避けられなかったら……すぐに降参するんだよ?んぐ――『イートリスト』解放。対象……【瘴気生成】、【瘴気纏い】」

「ッ!?」

「あれがこの前討伐したっていう……」

「そう、レストートの使ってたスキルらしい。俺は【恐怖耐性】持ってたから効かなかったけど……持ってない場合はそれなりにヤバいらしいぞ?」


 答えは簡単。私の取れる択を広げてくれるのだ。

 他の捕食系スキルと同様に、ステータスの強化。そして【魂喰い】の様に、名前の通り相手の存在を喰らう事で、相手の最大HPを減らす弱体化効果に加え、このスキルには任意でオンオフ可能な『イートリスト』というバフを私に与えてくれる。

 この『イートリスト』が正直に言って壊れた性能をしているのだ。

……残り適用回数は……うん、8回ずつ。抑えて使っていけば良い所で使えそうだね。

 何かを食べる事で私に付与されるそれは、独自の記憶領域を内蔵している。言ってしまえばUSBメモリの様なものだ。

 そして、その中に保存されているのは……私が喰らった対象の保有するスキル。


「ほーら、剣、槍、斧、槌、弓に……こんな感じで丸太の雨~」

「ちょ、おいイヴ姉ちゃん!?こっちにも来てるって!?幾ら俺らが【恐怖耐性】持ってるからってダメージはあるんだぞ?!」

「あ、あぶ、危ない危ないっ!危ないですよぅ!?」

「あは、ごめんごめん」


 『イートリスト』内に保存されたスキルは、私の意思1つでオンオフ……つまり使用するか否かが選択出来る。

 だからこそ、今もこうしてレストートが保有していたであろうスキルの2種を使って遊ぶ事が出来ている……のだが。とは言え、永遠にそれが使える訳ではない。

 『イートリスト』に保存されたスキルは使用可能回数がそれぞれ個別に決められており、それが尽きると共に『イートリスト』から削除される。

 そして、一度適用したスキルはゲーム内時間で約5分間しか連続して使用する事が出来ない。再適用に関してもゲーム内時間で30分と、それなりに掛かってしまう。


「うん、やっぱこのバフが本体だね。色んなものを食べれば食べるだけ強くなる。手が付けられなくなる。魂喰いと違って国が積極的に討伐しようとするのも納得だよ」


 そして初期使用回数は相手の格によって左右される。

 レストートの様にワールドボスであれば、10回から。

 そこらを歩いているゴブリンやネズミの様な雑魚であれば、1回のみ。

 考えて使わねばすぐに手数を使いきってしまう。だが、考えて組み合わせて使えば、その分だけ対応出来る場面が増えていく。そんなスキルなのだ。


『ふむ。イヴ、見た所そのスキルは何かを喰らわねば発動出来ぬな?』

「ダキニちゃんの言う通り。今はそこらで適当に拾ってきた石を食べて発動させたけどね」

「でもでも、石とかを食べるだけで発動出来るって考えるとかなり強くないですか?」

「だな。それが4次種族って奴なのか」


 当然、【存在喰い】も捕食系スキル。

 『イートリスト』を自身に付与するには何かを食べないといけないものの……そこについてはかなりハードルが低い。

 今、私が人狐相手に石を喰らって発動させたように、何でもいいから口に含み嚥下すれば付与されるのだから。

 これが普通の戦場ならば、飲み込む事でバフ効果を与えるアイテムなどを喰らえばいいだろうし……乱戦などであれば相手の身体を。どうしようもないならば、自身の舌などを噛み切って飲み込んでしまえば良い。

 当然、私には【口腔生成】というどこにでも口を生成出来るスキルがあるし、そのハードルもそれなりに低いのだ。


「2人も早めに4次になれると似たような感じになるんじゃない?ログ的には……ワールドボスと接触するのが最低限必要そうだったけどさ」

「んんー……そこがネックですよね。特に今だと」

「だな。俺はレストート、フレデリカ姉ちゃんはメントゥムの戦闘には参加してるけど、他に関しては参加出来てない。再戦用のコンソールに行こうにも……人間の国の中ってのがな」

「そこら辺は仕方ないよ。私は今度、メントゥムのスキルを確保しにガスフロスに行ってこようとは思ってるけどね。ちょっと必要になりそうだし」


 さて、こうして私達が集まって組手……というよりも。

 人狐を人柱に、私を囲んで攻撃を仕掛け続けているのには理由がある。というか、組手に関しては本当に暇潰し以外の何物でもない。

 今回私達が集まっている理由。それは、1つ。


「なんたって、2回目の大型イベントが迫ってるんだからさ」


 公式主催、第2回目の大型イベントの告知がされたからだった。

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