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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第11章 サバイバルイベント前編

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Episode1 - 諸々が済んでから


 タラッセイアが冒険者……プレイヤー達への支援を断ち切るという声明を出して数日。

 掲示板では何故そうなったかの経緯や、その原因となった者への糾弾。それ以外にも、その場でレストートを倒し、被害をそれ以上広げなかった者達への称賛する声もあった。

 今回プレイヤーを集め、かつ封印を解いたのは討伐派だ。

 前者に関しては、妨害派が居たとしてもメントゥムを討伐出来たのだから問題ないと思ったと。

 そして後者に関しては……メントゥム戦からある程度経っており、あの頃とは違って100人程度も居れば討伐出来ると考えたらしい。

 結果として討伐は出来た。しかしながら、その場に居た討伐派はほぼ全員が耐性スキルなどの準備不足によってほぼ戦闘に参加すら出来ていなかったとの事で……その辺りも、他のプレイヤー達が怒りを燃やす原因になっているようだ。

 とは言え。

 ここで、プレイヤー達の考え方に差が出てくる。

 確かに全体で見れば、今回の出来事は良くはない。今後同じ事が起きないようにすべき事柄だろう。

 しかしながら、憤慨や糾弾する程に怒りを燃やしているのは人間アバターのプレイヤーが殆ど。モンスターアバターのプレイヤーは、元より国から支援を受ける事が出来ていない為ほぼ関係がない事柄なのだ。


「それに、私は別だけど……タラッセイアは元々モンスターに対して全体的に忌避感を持った国って訳じゃなかったからねぇ」

「ふむふむ。モンスターであっても、害となる様な存在でなければ港にも、場合によっては船の中にも入れるわけですもんね」

「そうだねぇ。だからこそ、モンスターアバターと人間アバターで反応に差が出た訳だ」


 今回起きた出来事のあらましをフレデリカに話しながら。

 私は首へと迫る扇子を振り払い、死角から心臓を貫こうと伸びてきている狐の尾を掴み取る。

 現在、私が居るのはダキニの遺跡。いつもの組手用に作られた部屋の中。

 しかしながら、相手をしているのはダキニではなく……この遺跡にて私達の世話や、環境の整備を行ってくれている人狐の中の1体だ。おかっぱの黒髪を揺らしながら、こちらを睨みつけてくるその姿は……正直言えばそこまで威圧感は感じない。

 しかしながら、油断も出来ない。理由は簡単。


「……お、幻影。じゃあ……ここかな?」

「ッ!?」

「本当本当に、なんで分かるんです?それ。端から見てる私でも幻影使われたら対応出来ないんですけど」

「んー……勘と、種族的な感知的な?」

「あぁー……」


 幻影だ。以前、ダキニから借り受けた【幻生成】。私はアレを自分の身代わりとして使ったが……人狐達は自然に組手の中に織り交ぜ、いつの間にか奇襲を仕掛けてくる。

 普通の……それこそ、外から侵入してくる野良のモンスターや冒険者、そこまでスキルの合計レベルが高くないプレイヤーならば人狐達だけで対処出来てしまう程度には厄介な技術。

 だが、まぁ。私にとってはそこまで怖いモノでもない。

 魂喰いを経て、存在喰いというモンスターにまで登り詰めた私にちょっとやそっとの視覚的詐欺は効かない。

……魂感知は出来なくなっちゃったけどね。

 魂喰いであった頃と違い、既に魂を感知する事は出来ない。アレは魂喰いだからこその感知法だったからだ。

 しかしながら、存在喰いは相手の存在を感知する。

 どういう事か、と言われれば……ある程度、私の周囲に何が居るのかを感覚的に理解出来るのだ。

 遺跡の中、適当な通路を歩いていれば、次の通路の先にこちらへ歩いてくる存在がいるなぁ、だとか。

 探索中、こちらから見えないように待ち伏せしている存在が数体と、それとは別にそれらを土の下から狙っているのが1体居るなぁ、とか。そんな風に自分の周囲に居る存在についての感覚が鋭敏になっている。そしてこれは魂感知の時とは違い……無生物にも適用出来る。

 私の周りを構成する物質……土、石、泥、槍、ナイフ、鉄……今挙げたのは一部だが、それ以外にも感じようと思えば感じる事が出来る。但し、私がこのKFOをプレイしている間に触れる、もしくは知り得たモノでなければ詳細には分からないのだが。


「でもでも、十分便利ですねその感知。だって……ほら」

「っと、危ないじゃんかフレデリカちゃん」

「イヴさんなら対処出来ると思ってるので!でも、普通だったら今のも完璧に命中してるはずですよ?ちょっとした感知には引っ掛からないように地中通してますもん」

「殺意高いねぇ。でも、そういうのも分かるのが存在喰いって訳だね」


 人狐の幻影と本体による攻撃を捌きながら、股下から生えてきた木の枝を蹴り砕く。

 凄まじい速度。来るのが分かっていなければ対処出来なかったであろうソレ。だが、それすらも私の感知範囲内には入ってしまっていた。

 つまるところ、


「もう私には隠密系スキルで奇襲を狙うのは無理になった、って訳だね!」

「無法過ぎるだろ……それ俺の罠も含まれてるだろ?」

「うん。フータくんが突然罠を作って仕掛けてきても、その瞬間に感知して破壊とか出来るよ。こんな風に」

「……マジじゃねぇか。今の【付与】も使って感知系スキルに引っ掛かりにくくした罠だぞ……」

「あは、次はもっと分かりにくくしてよね」


 とは言え、私自身は存在喰いの強みはその感知能力ではないと考えている。

 確かに、この感知能力があれば奇襲は基本的には受けないし、【地獄耳】も合わせれば一定範囲内の動くモノ全てを把握、対処する事が出来るだろう。

 だが、それはこの種族の強みを活かす為のモノであって、強みの本質ではない。

 私が思う、この存在喰いという種族の強みは……ただ1つ。種族名と同じ名前を持つ、【存在喰い】というスキルの性能だった。

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