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人を喰らう、味方も喰らう。両方やらなくちゃならないのが屍人喰いの辛いところだね  作者: 柿の種
第8章 新たな犠牲者編

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Episode6 - アポイントメントは大切に


「ふむふむ。結構な回数の出入りをフータくんは見た訳だ」

「そう!そうなんだよイヴ姉ちゃん!だから俺はそこのフレデリカって奴に勝負を挑もうとしてさ!」

「うんうん。でもダメだぜ?フレデリカちゃんはここの関係者であって所有者じゃあないからね」

「えぇ!?そ、そうだったのか……?」

「えっ、あっはいはい!そうですそうです!何度も言ったんですけどね……」


 話す、というよりは私が話を聞いてある程度相手のテンションを下げてから。

 名前と種族、そして何故ここに訪れフレデリカに絡んでいたかを改めて確認した。

 彼の名前はフータ。やはりプレイヤーであり、珍しいモンスターアバターだ。自力で攻略した遺跡を所有しており、湿地帯にたまに存在している所有者の居ない遺跡を取り込みダンジョンマスターの真似事の様なプレイをしていたようで。

 そんな中見つけた、見るからに難しそうな遺跡。そしてそこに何度も出入りする見るからに戦闘には向かなそうな種族のプレイヤー。

 裏を取る為に何度も何度もフレデリカを遠巻きから観察し、支配権のリンク……遺跡が遺跡を取り込む様子も確認した上で今こうして絡みに来た……との事だった。

……私の所為じゃーん!

 所有者の居ない遺跡。

 完全に私がボスを狩って、もしくは核となっていたアイテムを破壊してから放置していた遺跡だろう。

 私はダキニの遺跡に出入りする事は実はそんなに多くない。最近は外回りに従事していたし、何なら帰ってくる時も『飢餓』によって死に戻りをしていた為、入る事はしていなかったのだ。

 対して、フレデリカは私が攻略した遺跡の情報を基に逐一移動しては支配権をダキニに丸投げする仕事をしていた。

 攻略に掛かる時間や、移動時間などで自由にフレデリカが活動出来る時間もあったのだろう。彼女だったら遺跡内の自分の庭園の手入れや、新種の栽培法などを探っていた可能性だってある。

 故に、私よりも出入りする頻度は多く……その分だけ、他プレイヤーに見つかる事も多かった。

 その結果が、今。フータという存在の来訪だったと言う事だ。


「でも、会わせるってよりは……フータくんの話が通るかどうかは聞いた方が良いかもしれないね」

「話が通る……?どういう事だ?」

「良いかいフータくん。ここは現実じゃあないけど、お願い事や何か相手に用事がある時は事前にアポイントメント……簡単に言うと待ち合わせだね。それをしないと帰されちゃうんだよ」

「なっ……そうだったのか?!」

「そうそう。だから、一旦そこの狐のお姉さんに聞いてみよう。遺跡の支配権の取り合いをしたいんですが、それを行うかどうかの交渉がしたいですどうすればいいですかって」

「そうだな!……よし!」


 突然私に話を振られたダキニが凄い表情でこちらを見てくるが気にしない。

 支配権云々は私の管理外の話であるし、そこにフレデリカも絡めない。

 完全にダキニの領分……ではあるが、一応攻撃しないように身振り手振りで伝えておくと彼女は呆れたように大きく溜息を吐いた。


「き、狐のお姉さん!ここの管理者と支配権の取り合いがしたいんだ!話をさせてくれないか!?」

『……良いでしょう。客間の方に案内しますので、そこの甲冑娘についていってください。……イヴ、貴女には後で説教(お話)があります』

「お、おぉ!ありがとう!」

「あれぇ?私今回悪い事何もしてないよ?!」


 人狐に化けているからか、丁寧な口調のダキニに少しだけ笑っていたら名指しで後ほど呼び出される事が確定した。理不尽な。



―――――



 フータと共に、遺跡内を進む。

 と言っても、彼が変な事をしないように私が前を、フレデリカが後ろに付く形でほぼ連行に近い状態ではあるのだが。

 さて、客間に関しての知識は私には一切ない。そもそもこの遺跡の中に客間の様な場所は存在していないのだ。何故なら、この遺跡内に侵入してくる身内以外は基本的にサーチアンドデストロイの対象。

 だからこそ私達以外のプレイヤーがきちんと中に入ったのはこれが初となる。

……あぁ、そういう感じね。ダキニちゃんさっすがぁ。

 適当に遺跡内を私の部屋がある方へと進んでいると。私の視界内に1匹の黄金の色をした狐が入り込んできた。ちら、と他2人の様子を確認しても……その狐の存在に気が付いた様子はない。

 そも、ここは遺跡内。モンスターである黒狐、白狐は居るものの、それ以外の種類の狐が居るなんて情報はダキニから共有されていない。では、あの狐は何なのかと言えば……十中八九、ダキニが作り出した幻の狐だろう。

 私にしか見えていないのも案内役だからだろうし……ダキニだからこそ出来る誘導方法だ。

 素直にその狐の後を追う様に他2人を伴って進んでいくと、


「さ、ここが客間だ。ゆっくりしていっておくれよ」

「お、おぉ……」


 1つの、巨大な宴会場が姿を現した。

 丁度私達が居るのは下座に当たる位置であり、席代わりなのか座布団が1枚置かれている。

 そして上座に当たる位置には……これまた1枚の座布団に、何人かの人狐がこちらを……フータを観察するような目付きで見つめていた。

 私とフレデリカはゆっくりと彼から離れるようにして、人狐達の近くへ移動して。


「じゃ、後は頼むぜダキニちゃん」

『はぁ……全く。面倒事を。なんじゃあの茶番は……』

「ッ!」


 この遺跡の主を呼び込んだ。

 すると、だ。空気に溶けていたのかと思う程に自然に、そして突然に。

 いつの間にか、ダキニは座布団の上に胡坐を掻いた状態で出現したのだった。

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