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「……じゃ、行きますか。」
俺は深呼吸を一つすると、水晶へそっと手をかざした。
『個体を確認。』
『生前情報を――』
ピッ。
『Error』
「え?」
水晶の光が激しく点滅する。
『Error』
『Error』
『警告。』
『対象者情報の照合に失敗。』
『管理権限を要請します。』
部屋全体が眩い光に包まれる。
無機質だった機械音声が途切れ、代わりに優しそうな女性の声が響いた。
「もう……本当に驚かせてくれるわね。」
光が集まり、一人の女性の姿を形作る。
長い銀髪に白い衣。
神々しい雰囲気を纏った女性は、困ったように笑った。
「はじめまして。」
「私は、この転生管理を担当している女神の一人よ。」
「女神……。」
「ええ。」
女神は小さく頷く。
「まず結論から言うわ。」
「あなたは死んでいない。」
「……はい?」
俺の思考が止まる。
「本来なら、あなたはここへ来ることはなかったの。」
「あなたが最後にいた場所は、地球では非常に珍しい『魔力だまり』だった。」
「そこへ、一瞬だけ別の場所で発生した超高エネルギーが空間を越えて流れ込んだの。」
「二つのエネルギーが衝突し、大爆発を起こした。」
「半径百メートルは跡形もなく消滅するほどの威力だったわ。」
俺は息を呑む。
「そんな……。」
「本来なら、あなたも消滅していた。」
「でも、あなたには守護霊がいた。」
「あなたの愛犬、はなちゃん。」
「!」
「あの子が、自分の霊体を盾にしてあなたを守ったの。」
胸が熱くなる。
「……はな。」
「ただし、その爆発は空間そのものを裂いてしまった。」
「あなたはその亀裂へ吸い込まれ、この場所へ迷い込んだの。」
俺は何とか状況を整理する。
「ちょっと待って。」
「その高エネルギーって、どこで発生したんですか?」
女神は少し言いづらそうに視線を逸らした。
「……さっきのおじいさん。」
「源三さん?」
「ええ。」
「八岐大蛇との戦闘で、最後の一撃を放った時に発生したエネルギーよ。」
「その衝撃が次元を越えて、たまたま地球の魔力だまりと繋がってしまったの。」
数秒、沈黙。
そして。
「じーーーーーーーさんっ!!」
思わず絶叫した。
「何してくれてんだよーーー!!」
「世界救うのはいいけど巻き込まないでくれよ!!」
女神は苦笑いを浮かべる。
「……本当にごめんなさい。」
「謝るのそこじゃない!」
「というか、本人もう異世界行っちゃったじゃん!」
「文句言えねぇ!」
俺はその場に膝をついた。
「うわぁぁぁ……。」
「俺、完全にとばっちりじゃねぇか……。」




