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世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


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暴走したコアガーディアンは、ゆっくりと四人を見下ろした。


全身から溢れる赤黒い魔力。


その圧力だけで空気が震え、大地が軋む。


「来ます!」


六合が鋭く叫ぶ。


次の瞬間、コアガーディアンが消えた。


「右です!」


六合の声を信じ、葵は迷わず右へ飛び込む。


ドォォォォォン!!


巨大な拳が、今まで葵が立っていた場所を粉々に砕いた。


「速っ……!」


あの巨体からは想像も出来ない速度だった。


「今です!」


六合が両手を前へ突き出す。


足元へ黄金色の魔法陣が展開され、コアガーディアンの動きがほんの一瞬だけ鈍る。


「クロード!」


「はい!」


クロードが一気に間合いを詰める。


「はぁぁっ!」


鋭い斬撃。


続いてセレナの風魔法。


「ウィンドランス!」


無数の風の槍が装甲へ突き刺さる。


「葵!」


「分かってる!」


三人の攻撃に合わせ、葵も懐へ飛び込む。


「はぁぁぁぁ!!」


全力で胸部を狙う。


ガキィィィィン!!


だが。


装甲を浅く斬っただけだった。


「硬い!」


ガーディアンが腕を薙ぐ。


「下がって!」


六合の声。


三人は同時に飛び退く。


次の瞬間。


横薙ぎの一撃が空気を裂いた。


もし一瞬でも遅れていたら。


間違いなく全員まとめて吹き飛ばされていた。


「今度は左!」


六合は戦場全体を見渡しながら、次々と指示を飛ばす。


「セレナさん、後方!」


「クロードさん、三秒後に正面!」


「葵様、今です!」


その指示は驚くほど正確だった。


四人はまるで一人のように連携し、ギリギリで猛攻を捌き続ける。


しかし。


決定打がない。


時間だけが過ぎていく。


「ぐっ!」


クロードの肩へ拳が掠めた。


鎧ごと吹き飛ばされる。


「クロード!」


「まだ……大丈夫です!」


立ち上がる。


その直後。


セレナも衝撃波をまともに受け、地面を何度も転がった。


「きゃっ!」


「セレナ!」


「私は平気!」


そう答えるものの、肩からは血が流れている。


葵も傷だらけだった。


息が上がる。


腕が重い。


それでも剣を握り直す。


「まだ……終われない!」


四人は必死だった。


互いに支え合い。


六合の補助を受けながら。


ただ、生き延びるために剣を振るう。


しかし。


徐々に押され始める。


(まずい……。)


(このままじゃ。)


その時だった。


――葵。


どこか懐かしく。


どこまでも優しい声が頭の中へ響いた。


(……晴明。)


自然とその名が口をついた。


――よくここまで頑張ったね。


――君、本当に強くなった。


その声だけで、不思議と胸が軽くなる。


(でも……。)


(全然勝てる気がしない。)


晴明は少し笑った。


――大丈夫。


――今の君なら、届くかもしれないよ。


――六合の封印をもう一つ。


――青龍の封印を一つ。


――そこまで解放出来れば、この相手とも戦える。


葵は目を見開く。


(本当か?)


――うん。


――でもね。


晴明の声が少しだけ真剣になる。


――青龍が持つ封印は、まだ少し強い。


――今の君だと、身体が耐え切れないかもしれない。


――最悪……壊れてしまう可能性もある。


少しの沈黙。


それでも晴明は急かさなかった。


――どうする?


ガーディアンが再び拳を振り上げる。


クロードが受け止める。


「ぐあっ!」


吹き飛ばされながらも、何とか勢いを殺す。


「葵様!」


「考え事をしている暇はありません!」


セレナも魔法を放ち続ける。


「ウィンドカッター!」


しかし、次々と弾き飛ばされる。


二人とも限界が近い。


葵は拳を握り締めた。


「……頼む。」


「俺に力を貸してくれ。」


晴明は優しく笑った。


――うん。


――それじゃあ。


――六合。


――青龍。


――頼めるかな。


結界の中。


二柱が静かに目を開く。


六合は微笑んだ。


「ようやく、この時が来ましたね。」


青龍は苦笑する。


「正直、もう少し先だと思っていました。」


はなが心配そうに二人を見る。


「本当に大丈夫なの?」


青龍は首を横へ振った。


「大丈夫とは言えません。」


「ですが。」


「葵様が選ばれた道です。」


六合も静かに頷く。


「私達が信じず、誰が信じるのです。」


二人は向かい合う。


同時に目を閉じた。


六合の足元へ、幾重にも重なる黄金の魔法陣が浮かび上がる。


青龍の身体からは蒼い龍のような魔力が溢れ始めた。


黄金。


蒼。


二つの光がゆっくりと共鳴し始める。


「契約を司る理よ。」


六合が静かに詠唱する。


「主へ託された封印。」


「第一階層──開錠。」


同時に青龍が右手を胸へ当てた。


「龍王が守護せし力。」


「我が魂へ刻まれし枷。」


「第一封印──解除。」


ゴォォォォォ……


蒼き龍が六合の黄金の魔法陣を取り囲む。


二つの魔力は空中で巨大な紋章を描き始めた。


まるで世界そのものへ刻まれた古代文字。


眩い光がダンジョン全体を照らす。


その光はゆっくりと葵へ向かって降り注いでいった。

皆様のおかげで2000PV突破しました!

読んでくださっている皆様ありがとうございます。

チマチマ更新していきますのでこらからも読んで頂けると嬉しいです。

後もし良ければブックマークと評価頂けるとモチベ上がります。よろしくお願いします。

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