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四人の視線が、一斉に葵へ集まる。
静寂。
誰も動かない。
最後まで黙っていた老人が、ゆっくりと目を閉じた。
そして――。
「……なるほど。」
小さく呟く。
「これは……。」
「力の残滓だけか。」
周囲の空気が張り詰める。
老人は葵を真っ直ぐ見据えた。
「だが、間違いない。」
「確かに感じる。」
「ゼノスの力だ。」
その一言で、ベルゼル達の表情が変わる。
「何?」
槍使いが目を細める。
老人は静かに頷いた。
「そうか……。」
「そういうことか。」
「転生。」
「ゼノスは転生していたのだ。」
その言葉に、ベルゼルの口元が吊り上がる。
「ハッ!」
「そういうことか!」
「だから気配だけだったのか!」
妖艶な女も妖しく微笑む。
「しかも……。」
「まだ完全には戻っていない。」
老人は杖を強く地面へ突いた。
コンッ!!
「好機だ。」
その一言だけで空気が変わる。
「今のゼノスは。」
「まだ前世の力を取り戻していない。」
「今ならば――。」
濁った瞳が鋭く光る。
「我らでも討てる。」
杖を掲げる。
「今しかない。」
「死力を尽くせ!!」
「おおっ!!」
四人同時に膨大な魔力を解放した。
ゴォォォォォォォォッ!!
大地が震え。
空が揺らぐ。
今まで感じたことのないほど濃密な魔力が、戦場全体を覆い尽くした。
「……っ!」
葵の背中を冷たい汗が流れる。
(なんだ……この威圧感。)
(息が……。)
クロードも歯を食いしばる。
「これが……。」
「魔界最強クラス……!」
セレナは震える手で杖を握り締めた。
「怖い……。」
「でも!」
四人の魔将が同時に地を蹴る。
「行くぞ!!」
「ゼノスを討つ!!」
「「「「おおっ!!」」」」
その瞬間。
「葵様!」
青龍が前へ飛び出した。
「ベルゼル!」
雷を纏い、黒鎧の巨体へ突撃する。
「ようやく本気か!」
ベルゼルも大剣を振り上げた。
轟音と共に二人が激突する。
反対側では。
「白虎。」
「久しぶりに遊びましょう。」
妖艶な女が笑う。
「その趣味はありません。」
はなが冷たく言い放ち、凍てつく冷気を放つ。
一瞬で二人の周囲が白銀の世界へ変わった。
六合の前には老人。
「六合。」
「相変わらず面倒な術を使う。」
「あなたも変わりませんね。」
六合は静かに結界を展開する。
幾重もの魔法陣が重なり、老人の魔法とぶつかり合う。
三柱は、それぞれ宿敵と対峙した。
しかし。
残る一人――。
漆黒の槍使いは、そのまま葵へ一直線に突っ込んできた。
「ゼノス。」
「貴様だけは、この手で討つ。」
「来るぞ!」
クロードが盾を構える。
「セレナ!」
「援護を!」
「はい!」
三人は同時に動いた。
槍使いの一撃をクロードが受け止める。
その衝撃だけで地面が砕け散る。
「ぐっ……!」
「重い!」
セレナの魔法が放たれ。
葵がその隙を逃さず飛び込む。
剣と槍が激しくぶつかり合う。
火花が散る。
衝撃が大地を揺らす。
十二柱。
十二魔将。
そして――
ゼノスの転生体である葵。
世界を救った戦いの因縁が、時を超えて再び幕を開けた。




