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黒鎧の男は葵から視線を外さないまま、小さく笑った。
「中々、魔物共が進まないと思って見に来てみれば……。」
肩を竦める。
「大当たりだ。」
視線がゆっくりと三人へ移る。
「青龍。」
「白虎。」
「六合。」
「十二柱が三人も揃っていやがるとはな。」
男は周囲を見回す。
「なら――」
「ゼノスはどこだ?」
少し考えるように顎へ手を当てる。
「あぁ……。」
「地球では晴明と名乗っていたんだったな。」
「名前なんざどうでもいい。」
「いるんだろ?」
その一言で、戦場の空気がさらに重くなる。
青龍が一歩前へ出た。
「……貴様。」
「ベルゼル。」
黒鎧の男――ベルゼルは口元を歪める。
「久しぶりだな、青龍。」
「相変わらず堅苦しい顔してやがる。」
視線は次にはなへ移る。
「白虎もいるとはな。」
「その姿は初めて見るが……。」
「ずいぶん可愛らしくなったじゃねぇか。」
「だが、その目だけは昔のままだ。」
はなは静かに睨み返した。
「ベルゼル。」
「相変わらず品のない話し方ですね。」
ベルゼルは楽しそうに笑う。
「それでこそ白虎だ。」
六合が一歩前へ出る。
「あなた達がここにいる理由は。」
「魔王の命令ですか?」
ベルゼルは鼻で笑った。
「命令?」
「そんなもんじゃねぇ。」
「俺達はずっと探してた。」
「ゼノスをな。」
その言葉に六合の表情が険しくなる。
「まだ……諦めていなかったのですね。」
「当たり前だ。」
ベルゼルから笑みが消える。
「借りは返す。」
「それだけだ。」
漆黒の槍を持つ男が静かに口を開く。
「だが……。」
「肝心のゼノスの気配が見当たらん。」
妖艶な女も葵へ視線を向ける。
「おかしいわねぇ。」
「十二柱は揃っているのに。」
「ゼノスだけがいないなんて。」
最後まで黙っていた老人が、ゆっくりと杖を鳴らした。
コン――。
「……いや。」
「違う。」
老人の濁った瞳が細くなる。
「微かだが……。」
「感じる。」
「この場にいる。」
その瞬間。
四人の視線が、一斉に葵へ集まった。
「…………。」
葵は思わず息を呑む。
(なんだ……。)
(この人達。)
(なんで……俺を見てるんだ……?)




