↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/91

58

紅蓮の炎がゆっくりと収まる。


その中から現れたのは、一人の少女だった。


燃えるような赤い髪を揺らし、大きな瞳を輝かせている。


姿を確認した瞬間――


「ご主人様ーーーーっ!!」


「会いたかったぁぁぁぁ!!」


「うわっ!?」


朱雀は一直線に葵へ飛び込み、そのまま勢いよく抱きついた。


「ちょっ!」


「苦しい苦しい!」


「えへへ~♪」


「本当にご主人様だぁ!」


満面の笑みを浮かべる朱雀。


葵は苦笑しながら頭を掻いた。


「えっと……。」


「初めまして、になるのかな?」


朱雀は首を傾げる。


「?」


「ごめん。」


「俺は前世の記憶がないんだ。」


「君のことは覚えていないんだよ。」


「でも、晴明からは話を聞いてる。」


朱雀は少しだけ目を丸くした。


しかし、すぐに笑顔へ戻る。


「そんなの関係ないよ!」


「ご主人様はご主人様だもん!」


「また会えたんだから、それで十分♪」


その言葉に、葵も自然と笑った。


「ありがとな。」


「さて。」


「早速だけど、お願いしていい?」


葵は氷に覆われた通路を見る。


「これ、何とかできる?」


朱雀は氷の壁を眺めた。


「あれ?」


「これ……。」


「青龍がやったの?」


その言葉に青龍が少し顔を逸らす。


「……はい。」


朱雀は納得したように頷いた。


「そっか!」


「大丈夫!」


「私が溶かすね!」


朱雀は両手を前へ向ける。


「いっくよーーー!」


ゴォォォォォォッ!!


凄まじい炎が放たれる。


一瞬で氷が溶け始め、視界が蒸気で白く染まる。


「おお……。」


葵が感心した次の瞬間。


ゴォォォォォォォッ!!


炎はさらに勢いを増した。


「……。」


「朱雀?」


葵が声をかける。


「え?」


朱雀が振り返る。


「あ。」


「やりすぎた♪」


朱雀の炎が収まる。


氷は完全に消え、通路は開けた。


「よし!」


「これで進めるね!」


満足そうに笑う朱雀。


しかし――


「……。」


葵は足元を見る。


「ん?」


「なんか……暑くない?」


先ほどまで氷に覆われていた床。


そこには朱雀の炎の余波が残り、赤く熱を持っていた。


「……。」


「朱雀。」


はなが静かに名前を呼ぶ。


「はい。」


朱雀の笑顔が少し引きつる。


「加減してくださいと言いましたよね?」


「ご、ごめんなさい……。」


「氷を溶かすだけのつもりだったんだけど……。」


「途中から楽しくなっちゃって。」


葵は苦笑する。


「やっぱり……。」


「六合以外、何かしらやらかしてない?」


その言葉に青龍が反応する。


「……。」


はなも少し目を逸らす。


「わ、私は――」


「いや、青龍の氷の件で煽ってたよね?」


「……。」


はなが黙る。


青龍も咳払いをした。


「……失敗は誰にでもあります。」


「青龍も?」


「……。」


答えない。


その様子を見て、朱雀が笑う。


「あはは!」


「やっぱりみんな変わってないね!」


その時。


はなが前へ出る。


「話は後です。」


「このままでは通れませんから。」


はなは地面へ手を向ける。


「少し冷やします。」


次の瞬間。


周囲へ冷たい空気が広がった。


パキ……。


熱を持っていた地面の温度が徐々に下がっていく。


赤くなっていた床も、元の状態へ戻っていった。


「おぉ……。」


葵は感心する。


「溶かすんじゃなくて、ちゃんと調整できるんだ。」


はなは小さく頷く。


「当然です。」


「氷も炎も、扱い方次第ですから。」


その言葉に青龍が少し反応する。


「……。」


「今の言葉、私に向けたものでは?」


「気のせいです。」


即答するはな。


葵は思わず笑った。


「本当に仲良いな。」


「良くありません。」


「良くありません。」


また二人の声が重なる。


その様子に、全員が笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。