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世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


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晴明は優しく微笑んだ。


「じゃあ。」


「伝えたいことは、大体伝えたし。」


「僕は葵の中へ戻るよ。」


少しだけ寂しそうに笑う。


「前にも言ったけど。」


「僕は君の前世。」


「だからと言って、君に成り代わるつもりはない。」


「君が望むなら。」


「僕は完全に消えることだってできる。」


少しだけ間を置く。


「でも。」


「もし君が良ければ。」


「これから先も、一緒に楽しませてほしいな。」


静かな沈黙。


葵は照れ臭そうに頭をかいた。


「そんな。」


「消えろなんて言うわけないだろ。」


晴明が少し驚く。


葵は笑った。


「俺と晴明って、同じ魂なのか。」


「その辺はまだよく分かんねぇ。」


「でもさ。」


「たとえ前世だったとしても。」


「俺は俺。」


「晴明は晴明だろ?」


「俺はまだ晴明のこと全然知らない。」


「だから。」


「これから教えてくれよ。」


「……友達として。」


晴明は目を見開いた。


しばらく何も言えない。


やがて、小さく笑う。


「……ありがとう。」


「葵。」


「本当にありがとう。」


目元が少し潤んでいた。


葵は照れ隠しに笑う。


「泣くなよ。」


「泣いてないよ。」


晴明も笑う。


「それと。」


「この前、少し出過ぎちゃったから。」


「しばらく表には出られないかな。」


葵が吹き出す。


「なんだよ、それ。」


「結局、無茶してたんじゃねぇか。」


「ごめん、ごめん。」


二人は笑い合う。


その様子を見ていたはな達も嬉しそうに微笑んだ。


「良かったですね。」


「本当に。」


「ご主人様。」


晴明は身体が少しずつ光になっていく。


「あと一つだけ。」


「多分。」


「そのうち女神が一人押しかけてくると思う。」


「判断は葵に任せるよ。」


葵は嫌な予感しかしない。


「……何で?」


晴明は悪戯っぽく笑った。


「僕の奥さんだった人だから。」


「…………。」


その場が凍る。


「いや待て。」


「今、何て言った?」


晴明は笑顔のまま続ける。


「僕と葵は別人かもしれない。」


「でも、向こうからしたら同じだからね。」


「とりあえず。」


「色々ごめんって伝えておいて。」


葵は頭を抱える。


「いやいやいや!」


「そんな爆弾を最後に置いてくな!」


晴明は楽しそうに笑う。


「後は任せた!」


「じゃあね!」


そのまま光となって葵の中へ消えていった。


静寂。


葵は天井を見上げる。


「……。」


「俺。」


「絶対これから苦労するよな。」


はな達は全員、目を逸らした。


「……否定はできません。」

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