表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/91

51

朝。


葵達は朝食を終え、今日の予定について話していた。


「今日は倉庫の確認をしたい。」


昨日、六合から聞いた次元倉庫。


前世の自分が残したものが、どれほどのものなのか。


葵は気になっていた。


「では、私がご案内いたします。」


六合が答える。


「ただ、その前に説明を。」


「この次元倉庫は、外から物を出し入れするだけではありません。」


「内部へ入ることが可能です。」


「……中に?」


葵は聞き返す。


「倉庫の中に入れるってこと?」


「はい。」


六合は頷く。


「ご主人様が作られた特殊空間ですので。」


「普通の倉庫とは違います。」


葵は嫌な予感がする。


「……また規格外なやつ?」


はなが小さくため息をついた。


「恐らく。」



六合が空間へ干渉する。


目の前に扉が現れる。


その先へ進んだ瞬間。


葵は言葉を失った。


「……。」


そこに広がっていたのは、巨大な果樹園だった。


整えられた道。


広大な土地。


数え切れないほどの果実。


「……これ、本当に倉庫?」


「はい。」


六合が答える。


「まずはこちらからご案内いたします。」


「果実園です。」


青龍が嬉しそうに周囲を見る。


「懐かしいですね。」


「ここのぶどうは、本当に美味しいんですよ。」


はなも静かに辺りを見渡す。


「昔のままですね。」


その時だった。


「久しぶり。」


聞き覚えのある声。


葵は振り返る。


そこに立っていたのは、一人の男性。


白い衣。


穏やかな表情。


以前、セレナを助けた時。


そして意識の中で会話した時に見た人物。


「……晴明。」


葵が名前を呼ぶ。


「また会ったな。」


晴明は優しく笑った。


「うん。」


「この空間なら、僕は少しだけ姿を保ちやすいんだ。」


葵は周囲を見る。


「ここも、お前が作ったのか?」


「そうだね。」


晴明は果樹園を見渡す。


「この空間は僕の魔力を基に形成されている。」


「維持に必要な魔力は自動で取り込まれて、循環しているんだ。」


葵は目を丸くする。


「……それって。」


「永久機関じゃん。」


晴明は苦笑する。


「言い方は少し違うけど……近いかな。」


「いや、十分すごいだろ。」


葵が呆れていると、晴明が笑う。


「せっかくだし、僕が案内するよ。」


その瞬間。


「晴明様!」


「お会いしたかったです!」


「本当に……。」


はな、青龍、六合が一斉に晴明へ駆け寄る。


三匹は嬉しそうに抱きつく。


晴明は優しく受け止める。


「相変わらずだね。」


その様子を見て、葵は少し複雑な気持ちになる。


(俺も一応いるんだけどな……。)


そんな葵に気付き、晴明が笑う。


「葵。」


「?」


「この子達が会いたかったのは、過去の僕だけじゃないよ。」


「今ここにいる葵も、大切な存在だから。」


葵は少し照れながら笑う。


「……まあ。」


「それならいいけど。」


晴明は三匹を見る。


「それに。」


「僕も葵だからね。」


三匹は少し驚いた後、嬉しそうに笑う。


葵は苦笑する。


「いや、俺が葵だからな?」


「そこは譲らないぞ。」


晴明も笑った。



マジックバック


その後。


倉庫内を案内してもらっている途中。


葵は自分の持っていたマジックバックを見る。


「これ、もう必要ないよな。」


「セレナ。」


「これ使う?」


「え?」


セレナが驚く。


「いいんですか?」


「俺が頑張って貰った物だけど。」


「今は次元倉庫があるから。」


セレナは嬉しそうに受け取る。


その様子を見ていた晴明が、マジックバックを見る。


「……少し小さいね。」


「貸して。」


晴明が受け取る。


すると数秒後。


淡い光が収まった。


「はい。」


葵は目を見開く。


「……もう!?」


「今、何したの?」


晴明は不思議そうに首を傾げる。


「少し調整しただけだよ。」


「容量を増やして、使いやすくした。」


葵は呆れる。


「数秒で?」


はながため息をつく。


「昔からこうなのです。」


「ご自身の規格外さを理解していません。」



晴明は少し考える。


「でも、これだけだと少し勿体ないかな。」


「葵。」


「少し魔力を借りてもいい?」


葵の表情が変わる。


「……少し?」


「前回も少しって言われたけど。」


「全然少しじゃなかったからな?」


「あの時、本当にしんどかったんだから。」


晴明は申し訳なさそうに笑う。


「ごめん。」


「そこまで負担になるとは思ってなかったんだ。」


「どうせ俺は弱弱ですよ。」


葵は少し拗ねる。


晴明は慌てて否定する。


「違うよ。」


「本当に必要な量は少しだけ。」


「術式を追加して、この空間の一部を共有できるようにするだけだから。」


「それなら……。」


葵は許可する。


「ありがとう。」


数秒後。


「終わったよ。」



「葵の知識で例えるなら……。」


晴明が説明する。


「25メートルプールくらいかな。」


「この倉庫の一部を使えるようにした。」


「時間経過はない。」


「重さ制限もない。」


「葵が許可した物なら、倉庫内の物も使える。」


「それと、セレナ専用として登録してあるよ。」


葵は固まる。


「……。」


「いや。」


「どんだけだよ!!」


あまりにも普通に言う晴明。


セレナは全て理解できているわけではないが、凄いことだけは分かる。


「えっと……すごいんですよね?」


クロードは驚いているが、言葉が出ない。


はな達は呆れた表情を浮かべる。


「本当に昔から変わりませんね。」


「限度というものを知らないのですから。」


晴明は首を傾げる。


「そうかな?」


全員が同時に答える。


「そうです。」


その後、葵達は改めて倉庫内の案内を続けることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ