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世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


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翌日。


俺達は十階の転移石から探索を再開した。


今回はクロード、はな、セレナに加え、青龍と六合も同行している。


「それじゃ、行こうか。」


「はい。」


「了解。」


クロードに教わりながら探索は順調に進み、気付けば二十階層のボス部屋前へ到着していた。


「ここで昼食にしましょう。」


クロードの提案に全員が腰を下ろす。


昼食を食べ始めると、猫姿の青龍が俺の膝へ飛び乗ってきた。


「ご主人様。」


「ぶどう食べたい。」


「ぶどう?」


「持ってないよ。」


「俺も久々に食べたいな。」


その言葉に、青龍は不思議そうに首を傾げた。


「え?」


「ご主人様の倉庫には果実園を作ってましたよね?」


「ぶどうなんて山ほどあるじゃない。」


「あー……。」


俺は苦笑しながら、はなの方を見る。


はながため息をついた。


「ご主人様は現在、封印状態です。」


「そのため、前世のご主人様が作られた次元倉庫へ接続できません。」


「ですよね……。」


青龍は肩を落とした。


その時だった。


「あ。」


はなが何かを思い出したように六合を見る。


「そういえば……。」


「次元倉庫への接続権限は、六合の管理する封印にも含まれていましたよね?」


六合は静かに頷く。


「はい。」


「私が管理している封印を解放すれば、次元倉庫への接続は可能になります。」


「本当!?」


思わず立ち上がる。


「ついにアイテムボックス!」


嬉しさのあまり拳を握る俺。


しかし、はなと六合は顔を見合わせた。


「ですが、そのまま解放するのは危険です。」


六合が真剣な表情で言う。


「次元倉庫の中には、前世のご主人様が集められた神器や危険な魔道具、禁術に関する品なども保管されています。」


「今のご主人様では扱えない物も数多くあります。」


「下手をすれば、触れただけで命に関わる物もございます。」


「ですよね。」


はなも頷く。


「前世のご主人様も、そのような事態は想定されていました。」


「そのため、ご主人様自身が安全装置を作られております。」


「安全装置?」


「はい。」


六合が説明を続ける。


「次元倉庫は用途ごとに区画が分けられています。」


「果実園や食料庫、日用品、素材庫。」


「武器庫。」


「神器庫。」


「禁術庫。」


「それぞれ独立した封印で管理されています。」


「ですので、今回は果実園や日用品など、安全な区画だけを解放することが可能です。」


「危険な区画は、私の許可が無ければ開くことはできません。」


「また、中の物を取り出す際も私が確認いたします。」


「危険と判断した物は、お渡しできません。」


俺は少し残念そうな顔をしたあと、すぐに笑った。


「いや、それなら十分だ!」


「果物食べ放題!」


「アイテムボックスも使える!」


「最高じゃん!」


その様子を見て、


青龍は「やっとぶどうが食べられる!」と尻尾を振り、


六合とはなは苦笑しながら顔を見合わせた。

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