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世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


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「そういえば。」


はなが六合へ視線を向ける。


「お二人とも、こちらへ来て大丈夫なのですか?」


「大丈夫よ。」


青龍が軽く頷く。


「最近は暇だから遊びに来ただけ。」


「特に大きな問題も起きてないしね。」


「へぇ。」


「そうなんだ。」


俺が納得すると、六合が説明を始めた。


「ご主人様が現在いる世界は『アルディア』。」


「そして、ご主人様が生まれ育った『地球』。」


「この二つが表の世界です。」


「それぞれには対となる裏の世界が存在します。」


「地球の裏側に存在するのが『隠世かくりよ』。」


「妖怪や神獣など、人には知られることなく生きる者達の世界です。」


「そして、アルディアの裏側に存在するのが『魔界』。」


「魔族や強力な魔物達が暮らしています。」


「つまり。」


「地球。」


「隠世。」


「アルディア。」


「魔界。」


「この四つで世界は成り立っています。」


「へぇ……。」


思わず感心する。


六合は続けた。


「それぞれは異なる次元に存在しているため、本来であれば自由に行き来することはできません。」


「ですが、ごく稀に次元の裂け目へ迷い込んだ者が、偶然世界の壁を越えてしまうことがあります。」


「ご主人様がこちらへ来られた事故も、それに近い現象でした。」


「一方で、空間そのものへ干渉できる存在であれば、自ら世界の壁を越えることも可能です。」


「もちろん、そのような存在はごく僅かですが。」


「そして、その力を悪用し、世界を渡ろうとする者も存在します。」


「私達十二柱は、そのような者達を監視し、必要であれば対処する役目を担っています。」


「これは、かつてのご主人様から託された使命でもあります。」


「なるほど。」


「だから皆、それぞれの世界を見守ってたんだ。」


六合は静かに頷く。


「……前世の俺って、本当に規格外だったんだな。」


苦笑する俺を見て、


青龍とはなは「今さらですか。」という表情を浮かべ、


六合だけが小さく微笑んでいた。


◇ ◇ ◇


その後もしばらく皆で談笑し、気付けばすっかり夜になっていた。


「今日はこのくらいにして休もうか。」


俺がそう言うと、皆も頷く。


それぞれ休む準備を始める中、


はなと青龍は再び犬と猫の姿へ戻る。


「やっぱり、この姿が落ち着きますね。」


「私も。」


二匹は当然のように俺のベッドへ飛び乗り、


はなは右側へ、


青龍は左側へ丸くなった。


「完全に定位置だな。」


苦笑しながら布団へ入る。


二匹を軽く撫でると、気持ち良さそうに目を細め、そのまま眠り始めた。


部屋の明かりを消し、静かな時間が流れる。


コンコン。


控えめなノックが聞こえた。


「どうぞ。」


扉が静かに開く。


そこには六合が立っていた。


「ご主人様。」


「一つお願いがあるのですが……。」


「どうした?」


六合は少し照れくさそうに微笑む。


「白虎と青龍が少し羨ましくて……。」


「私も、ご一緒に眠ってもよろしいでしょうか。」


「俺はいいけど……。」


ベッドを見る。


「ちょっと狭いな。」


「ご安心ください。」


六合が優しく微笑む。


次の瞬間。


身体が淡い光に包まれ、どんどん小さくなっていく。


光が消えると、


そこには小さな麒麟がちょこんと座っていた。


「この姿でしたら問題ありません。」


「おぉ。」


思わず感心する。


俺は既に眠っている犬姿のはなと、猫姿の青龍をそっと右側へ寄せた。


「ほら、こっち空いたぞ。」


六合は嬉しそうに頭を下げる。


「ありがとうございます。」


そう言うと、小さな身体で布団へ潜り込み、安心したように目を閉じた。


その姿を見ていると、


胸の奥から、不思議と懐かしい気持ちが込み上げてくる。


(……何だろう。)


(初めてのはずなのに。)


まるで、昔からこうして皆で眠っていたような。


そんな温かな感覚に包まれながら、


俺は小さく微笑み、静かに目を閉じた。

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