表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/76

39

「じゃあ、まずはその子を助けようか。」


葵は穏やかにそう言うと、軽く人差し指を振った。


次の瞬間。


少女の首に付けられていた隷属の首輪が音もなく消え去る。


同時に、柔らかな光の幕が少女を優しく包み込んだ。


少女の表情から苦痛が消え、首輪の跡も傷も見る間に癒えていく。


続けてもう一度、指を振る。


少女の手に握られていた爆裂結晶がふわりと宙へ浮かび、同じ光の幕に包まれながら葵の手元へと移動する。


「これで安心だね。」


葵は小さく微笑むと、盗賊たちへ視線を向けた。


「もう君たちとは、同じ場所にいることすら嫌なんだ。」


「……さようなら。」


静かに目を閉じ、語りかけるように言葉を紡ぐ。


「美しく舞い。」


「儚く咲き誇れ。」


「おいで――胡蝶。」


その瞬間。


一匹の蝶が現れた。


透き通るような羽。


七色に輝く幻想的な姿。


あまりの美しさに、その場にいた誰もが息を呑む。


次の瞬間。


一匹だった蝶は光となって分かれ始める。


二匹。


三匹。


四匹――。


やがて盗賊の人数と同じ数の蝶が空を舞っていた。


幻想的な光景に、誰もが目を奪われる。


まるで世界から音が消えたように。


時間だけが止まってしまったかのようだった。


蝶たちはそれぞれ一人ずつの盗賊へ舞い降りる。


誰一人、その美しさから目を逸らすことができない。


そして。


全ての蝶が盗賊へ止まった、その瞬間――。


轟ォォォォッ!!


無数の灼熱の炎柱が一斉に天へ噴き上がった。


悲鳴は一つも聞こえない。


盗賊たちは炎に包まれた瞬間、肉体ごと蒸発する。


灰すら残らない。


数秒後。


炎は静かに消え去った。


そこには盗賊たちがいた痕跡は何一つ残っていなかった。


まるで最初から存在しなかったかのように。


葵は少女の前まで歩くと、その様子を見て小さく頷く。


「うん。」


「ちゃんと解呪も回復も効いてるみたい。」


そう言って苦笑する。


「久々だったから少し心配だったんだよね。」


葵ははなの方を見た。


「白虎。」


「この子の経過を見てあげてね。」


はなは慌てて頭を下げる。


「分かりました!」


葵は少し照れくさそうに笑う。


「さて。」


「僕の普通の感覚で術を使っちゃったからさ。」


「反動で、多分三日くらい寝込むと思う。」


「だから心配しないでね。」


そう言ってクロードへ視線を向ける。


「白虎も……えーっと。」


「今はクロードだっけ。」


「二人とも色々聞きたいことはあるだろうけど。」


「そろそろ限界かな。」


「寝ている間に、葵とは少し話しておくよ。」


そして最後に、いつもの優しい笑顔を浮かべた。


「じゃあ。」


「二人とも、またね。」


その言葉を最後に。


葵の身体から力が抜ける。


ドサッ。


「ご主人様!!」


「葵!!」


はなとクロードは同時に駆け寄り、倒れた葵を抱き支えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ