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世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


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白虎。


こっちへおいで。


その一言に、はなの身体がビクリと震えた。


(この話し方……。)


(まさか……。)


様子の変わった葵を見て、はなは息を呑む。


葵は静かにはなを抱き上げ、優しく頭を撫でた。


「確か、白虎の鍵は十番までの封印だったよね。」


「僕の鍵を使うと全部外れちゃうから……少しだけ借りるね。」


その言葉を聞いた瞬間、はなの目が大きく見開かれる。


「ご主人……様……。」


声が震える。


涙が溢れそうになるのを必死に堪えていた。


葵は優しく笑いかける。


「色々助けてくれてありがとう。」


「まだ迷惑を掛けると思うけど……よろしくね?」


その笑顔を見た瞬間、はなの瞳から涙が零れ落ちた。


「もちろんです……。」


「迷惑などではありません。」


「ずっと……お待ちしておりました。」


盗賊が苛立ったように怒鳴る。


「うるせぇ!」


「動くんじゃねぇ!!」


その声を聞いた葵は、ゆっくりと盗賊へ視線を向けた。


その瞳から感情が消える。


クロードも、その変化に気付いた。


(この雰囲気は……。)


(まさか……。)


葵は盗賊たちを見つめ、静かに呟く。


「君たちは……許せそうにない。」


「本当なら魂ごと消し去りたい。」


「でも……十番までじゃ無理なのが悔しいよ。」


その瞬間。


ドクン――。


葵から放たれた圧が辺り一帯を包み込む。


空気が凍り付く。


盗賊たちはもちろん。


クロードも。


ロイドも。


誰一人として声を発することができない。


息をすることすら苦しい。


ただ立っているだけで精一杯だった。


葵は静かにはなを見つめる。


「白虎。」


「封印式限定解除を申請する。」


「第一封印式より第十封印式まで。」


「限定解除権限を使用。」


「……いいかな?」


はなは涙を流しながら、それでも嬉しそうに微笑んだ。


「はい。」


「喜んで。」


「ご主人様。」


葵は静かに頷く。


「申請を確認。」


「白虎の鍵による限定解除を承認。」


「第一封印式より第十封印式。」


「――解錠開始。」


その瞬間。


世界が、眩い白い光に包まれた。

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