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冒険者  作者: sai


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4

黒い扉が現れた。


……いや。


よく見ると、それだけじゃなかった。


扉の前には白い台座が現れ、その上には人の頭ほどの大きさの水晶玉が静かに置かれている。


「こんなの、さっきまで無かったよな?」


四人で顔を見合わせながら、水晶へ近付く。


「触ってみましょうか。」


そう言ったのは田中さんだった。


誰も止める間もなく、水晶へ手を置く。


次の瞬間――


『個体を確認しました。』


機械のような、感情のない声が部屋中に響いた。


「しゃ、しゃべった!」


俺が驚いて後ずさる。


しかし声は構わず続ける。


『これより説明を開始します。』


『あなた方は既に死亡しています。』


空気が止まった。


誰一人として言葉を発しない。


『現在、魂の転移処理を行っています。』


『触れた者の魂の情報及び生前の経歴を読み取り、最も適した転移先を決定します。』


『決定後、この扉は対象者が進むべき世界へ接続されます。』


俺は思わず口を開く。


「つまり……異世界ってこと?」


『基本的には、別世界への転移、または転生となります。』


『魂は世界を巡り循環することで、それぞれの世界の均衡が維持されています。』


「つまり俺たちは、その循環の一部ってことか。」


『肯定。』


田中さんが落ち着いた様子で質問する。


「質問してもよろしいですか?」


『許可します。』


「行き先は一つだけなのでしょうか?」


『複数の世界が存在します。


対象者に最も適した世界へ接続されます。』


「自分で選ぶことは?」


『原則、不可能です。』


「例外はありますか?」


わずかな間を置いて、水晶が答える。


『ごく稀に、魂の循環へ適応できない個体が存在します。』


『その場合は別の措置が取られます。』


「その措置とは?」


『該当者のみに説明します。』


「確率は?」


『極めて低確率です。』


それだけ言うと、水晶は静かになった。


「なるほど……。」


田中さんが頷いた、その時だった。


水晶が再び光を放つ。


『生前情報の読み取りを開始します。』


「え?」


『対象者。


田中 竜司。』


田中さんの表情が固まる。


『職業。


武器・麻薬を主に扱う闇ブローカー。』


「……。」


『殺人、人身売買、違法取引など、多数の犯罪行為を確認。』


『自己利益を最優先とし、利益のためであれば手段を選ばない。』


『部下及び仲間との関係は金銭による利害のみ。』


『死亡原因。』


『部下の裏切りにより敵対組織へ情報が流出。』


『取引現場において襲撃を受け死亡。』


部屋が静まり返る。


さっきまで優しそうに笑っていた田中さんは、ゆっくりと目を閉じた。


そして――


「……全部、本当ですよ。」


誰も言葉を返せなかった。

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