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翌朝。
朝食を済ませた俺たちは、馬車へ荷物を積み込み出発の準備を進めていた。
「出発できます。」
クロードが荷物を確認しながら静かに告げる。
俺も軽く身体をほぐし、馬車へ乗り込もうとしたその時だった。
「ご主人様。」
はなが小さな声で話しかけてきた。
「今日は昨日以上に警戒してください。」
「え?」
俺が聞き返すと、クロードも真剣な表情で頷いた。
「実は昨日の夜。」
「野営地を遠くから監視している者たちがいました。」
「……え?」
思わず固まる。
「気付かなかった……。」
「気付かなくて当然です。」
クロードは静かに答える。
「かなり距離を取っていましたので。」
はなも続ける。
「今もこちらを追っています。」
「恐らく盗賊でしょう。」
「えぇ……。」
俺は思わず苦笑いを浮かべた。
(盗賊か……。)
異世界あるあるではある。
でも実際に遭遇するとなると話は別だ。
クロードはロイドさんへ歩み寄った。
「ロイドさん。」
「盗賊と思われる者たちがこちらを監視しております。」
ロイドさんの表情が一瞬だけ曇る。
「やはりですか……。」
「この辺りは時々出没すると聞いていました。」
「申し訳ありません。」
「いえ。」
「護衛が仕事です。」
クロードは落ち着いた口調で答えた。
「このまま警戒しながら進みましょう。」
ロイドさんも覚悟を決めたように頷く。
「お願いします。」
◇ ◇ ◇
馬車は街道を進み続ける。
いつもより会話は少ない。
俺も自然と周囲へ意識を向けていた。
(どこから来る……。)
森。
茂み。
木の上。
何となく視線を感じる気もする。
すると。
クロードが静かに口を開いた。
「止まってください。」
ロイドさんが馬を止める。
その先。
街道の真ん中に、一台の壊れた馬車が横倒しになっていた。
完全に道を塞いでいる。
そして、その周囲には十人ほどの男たち。
剣。
斧。
槍。
思い思いの武器を持ち、こちらを見ながら笑っている。
「……来ましたね。」
クロードが静かに大剣へ手を添えた。
俺の喉がゴクリと鳴る。
(盗賊……。)
異世界ではよくある話。
ゲームや小説なら何度も見てきた。
でも。
目の前にいるのは魔物じゃない。
人間だ。
(下手したら……。)
(人との殺し合いになるのか……。)
背中を冷たい汗が流れていく。
自然と剣を握る手にも力が入っていた。




