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世界を救った英雄は平穏を望んだ。だけど転生した俺は強くなりたい  作者: sai


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ベア種の討伐を終えた俺たちは、リーベルの町へ戻った。


ギルドで討伐完了の報告を済ませると、受付嬢が笑顔で頷く。


「依頼達成を確認いたしました。」


「こちらが報酬になります。」


革袋を受け取り、思わず笑みがこぼれる。


「よし!」


「少しずつだけど稼げるようになってきたな。」


その様子を見ていたギルドマスターがクロードへ声を掛ける。


「クロード。」


「もう一件頼みたい依頼がある。」


「どのような内容でしょうか。」


「護衛依頼だ。」


ギルドマスターは一枚の依頼書を差し出した。


「王都方面へ向かう商人の護衛だ。」


「目的地はダンジョン都市グランベル。道中の魔物討伐も兼ねている。」


「ダンジョン都市……。」


その言葉を聞いた瞬間、俺の目が輝く。


「ダンジョン!?」


「異世界と言えばダンジョンじゃん!」


「行きたい!」


「絶対行きたい!」


一人で盛り上がる俺を見て、クロードとはなが苦笑する。


「葵が行きたいのであれば、私は問題ありません。」


クロードがそう答えると、ギルドマスターも頷いた。


「よし。」


「依頼成立だ。」


◇ ◇ ◇


翌朝。


約束の時間にギルドへ向かうと、一人の男性が待っていた。


年齢は四十代くらい。


物腰は柔らかく、優しそうな笑顔を浮かべている。


少しふくよかな体型で、どこか安心感のある雰囲気だった。


「初めまして。」


「今回護衛をお願いする商人のロイドです。」


「よろしくお願いいたします。」


クロードが丁寧に頭を下げる。


俺も慌てて頭を下げた。


「葵です!」


「よろしくお願いします!」


簡単な挨拶を済ませると、荷物を積んだ馬車へ乗り込み、目的地へ向けて出発した。


◇ ◇ ◇


旅は順調だった。


街道は比較的整備されており、大きな魔物も姿を見せない。


ロイドさんも気さくな人で、旅の話や商売の話を色々聞かせてくれた。


気付けば夕日が沈み始める。


「今日はこの辺りで野営にしましょう。」


クロードの提案で、街道から少し外れた開けた場所へ馬車を停める。


焚き火を囲み、簡単な夕食を済ませた。


「それでは見張りの順番を決めましょう。」


クロードが言う。


「最初は葵。」


「次に私が担当します。」


「了解。」


すると、はなが口を開いた。


「ご主人様。」


「私が周囲を警戒しておりますので、お休みいただいても問題ありませんよ。」


しかし俺は首を横に振った。


「いや。」


「こういうのも経験だろ。」


「俺もちゃんと見張りをやるよ。」


はなは少し嬉しそうに微笑む。


「承知しました。」


夜は静かだった。


焚き火がパチパチと音を立てる。


俺は周囲へ意識を向けながら、暇潰しに体内の魔力をゆっくり循環させる。


最近では無意識に近い感覚でできるようになってきた。


「少しずつだけど、慣れてきたな。」


そんなことを考えているうちに、交代の時間がやってきた。


「お疲れ様です。」


クロードと交代し、俺は寝袋へ潜り込む。


その夜は何事もなく。


俺たちは静かな夜を過ごした。

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