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封印した最強の前世が、普通に生きたい俺を放っておいてくれない  作者: sai


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34

翌朝。


俺たちはギルドで依頼内容を再確認し、そのまま森へ向かっていた。


目的はベア種の討伐。


リーベル近郊では比較的危険な魔物らしく、最近は冒険者や行商人への被害も出ているらしい。


「ベア種は力も防御力も高い魔物です。」


道中、クロードが説明してくれる。


「正面から力比べをする相手ではありません。」


「なるほど。」


俺は真面目に頷いた。


「ちなみに俺でも勝てます?」


「今は難しいでしょう。」


即答だった。


「ですよね。」


少しだけ期待した俺が悪かった。


「ですので。」


クロードは穏やかに笑う。


「今回は私がベア種を担当します。」


「葵は周囲にいる魔物の討伐をお願いします。」


「了解です。」


しばらく森を進む。


すると、クロードが足を止めた。


「いました。」


その視線の先。


体長三メートル近い巨大なベア種が木陰でこちらを睨んでいる。


「で、でかっ……。」


思わず声が漏れる。


すると、その周囲の茂みが揺れた。


ガサガサッ。


現れたのは三匹のウルフ。


低く唸りながら、こちらを囲み始める。


クロードは静かに大剣を抜いた。


「予定通りです。」


「ベア種は私が引き受けます。」


「ウルフはお願いします。」


「え?」


三匹?


一匹じゃなくて?


「ご主人様。」


横からはなが声を掛ける。


「落ち着いてください。」


「身体強化は維持。」


「囲まれないよう立ち位置を意識してください。」


「わ、分かった!」


ウルフが一斉に飛び掛かってくる。


「うおっ!」


慌てて横へ回避。


「遅いです!」


「もっと早く反応してください!」


「はい!」


一匹目が牙を剥く。


剣で受け流す。


「受けるだけでは押し負けます!」


「足を!」


「足を狙ってください!」


俺は言われるまま足元へ剣を振る。


ウルフが体勢を崩した。


「今です!」


「ファイヤ!」


小さな火球。


直撃はしなかったが、ウルフが一瞬怯む。


「その隙です!」


「はぁぁぁっ!」


渾身の一撃。


剣が首元へ食い込み、一匹目が倒れる。


「やった!」


「喜ぶのはまだ早いです!」


「あと二匹!」


「ですよねぇ!」


再び戦闘。


身体強化。


魔法。


剣。


必死に動き続ける。


「右!」


「左!」


「避けてください!」


「魔力が乱れています!」


「集中です!」


「はいぃ!」


はなに怒られながら戦うこと数分。


ようやく最後の一匹が倒れた。


「はぁ……。」


「はぁ……。」


その場へ座り込み、大きく息を吐く。


「終わった……。」


「お疲れ様です。」


はなが微笑む。


「細かい反省点は山ほどありますが。」


「初めての多数との戦いとしては、十分及第点でしょう。」


「厳しいなぁ……。」


苦笑しながら立ち上がる。


その時だった。


ズバァァンッ!!


森全体へ衝撃音が響く。


思わず振り向く。


そこには。


巨大なベア種を真っ二つにしたクロードが立っていた。


大剣を肩へ担ぎながら、こちらを見る。


「討伐完了しました。」


「……。」


「……。」


俺はベア種を見る。


真っ二つ。


俺はウルフを見る。


三匹相手に必死だった。


「……。」


「クロードさん。」


「はい。」


「強すぎません?」


クロードは首を傾げる。


「そうでしょうか?」


「そうですよ。」


俺は肩を落とした。


「俺、三匹相手に死にそうだったんですよ?」


「クロードさん、一撃じゃないですか。」


「鍛錬の差ですね。」


穏やかに笑うクロード。


俺は空を見上げた。


「……。」


「もしかして。」


「前世がすごかったのって。」


「俺じゃなくて、クロードさんだったんじゃないですか?」


その場に沈黙が流れる。


はなとクロードは顔を見合わせ――


思わず苦笑していた。

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