30
食事も終わり、部屋には穏やかな時間が流れていた。
はなは湯飲みに口をつけると、俺へ視線を向ける。
「ご主人様。」
「ん?」
「今後は、どのようになさるおつもりですか?」
「今後?」
「はい。」
「目標と言いますか、この世界で何をしたいのかです。」
俺は少し考えた。
「まずは、お金を稼ぎたい。」
「魔法ももっと上達させたい。」
「ある程度は強くなりたいな。」
「せっかく異世界に来たんだし、この世界を楽しみたい。」
「色んな町を見て、美味い飯も食って、冒険もしてみたい。」
そこまで話して、一度言葉を切る。
「……それと。」
「もし帰る方法があるなら、地球には帰りたい。」
「親父や母さん、茜も心配してるだろうし。」
「何だかんだ言って、俺が生まれ育った世界だからな。」
はなは静かに頷いた。
「承知いたしました。」
「その願い、私も全力でお手伝いいたします。」
すると、部屋で静かに話を聞いていたクロードさんが口を開いた。
「でしたら、私からも一つ。」
俺とはながクロードさんを見る。
「私は、これからもお二人と行動を共にするつもりです。」
「え?」
思わず聞き返した。
「元々、そのつもりでおりました。」
「お二人だけでは、この世界で分からないことも多いでしょう。」
「私にできることがあれば、お力になりたいと思っています。」
俺は少し戸惑う。
「でも、俺たちと一緒にいて大丈夫なんですか?」
「私は冒険者です。」
「依頼さえこなせれば、誰と行動するかは自由です。」
「それに。」
クロードさんは穏やかに微笑んだ。
「お二人と旅をするのも、悪くないと思っています。」
俺は思わず笑った。
「ありがとうございます。」
「正直、すごく助かります。」
クロードさんは静かに頷く。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
「はい。」
「俺も、よろしくお願いします。」
はなも嬉しそうに頭を下げる。
「改めまして、よろしくお願いいたします。」
三人は自然と笑い合った。
こうして俺たちは、改めて三人で旅を続けることになった。




