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冒険者  作者: sai


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森から戻った俺とはなは、そのままギルドへ向かった。


さすがに今日は疲れた。


魔法の練習に、身体強化。


それに……最後のあれ。


はなの規格外すぎる魔法を思い出し、少し遠い目になる。


でも。


「お金、稼がないとな。」


異世界に来たからといって、生活費が必要なのは変わらない。


宿代。


食費。


これから必要になる物。


何をするにもお金は必要だ。


「ご主人様は真面目です。」


「いや、普通だろ。」


そんな会話をしながら、俺たちは冒険者ギルドへ向かった。


そこで簡単な依頼を探す。


「薬草採取……。」


今の俺でもできそうな依頼。


「これにするか。」


受付へ向かう。


「こちらの依頼ですね。」


受付のお姉さんが説明してくれる。


「森の浅い場所に生えている薬草を、指定数集めてください。」


「分かりました。」


すると、受付のお姉さんが見本の薬草を取り出してくれた。


「こちらが対象の薬草です。」


「似た植物も多いので、注意してくださいね。」


「ありがとうございます。」


俺は薬草をじっと見る。


そして、こっそりスマホで撮影する。


「……。」


スマホを見つめる。


まさか異世界に来て、役立つとは思わなかった。


「持ってきてよかった……。」


◇ ◇ ◇


森へ入り、薬草を探す。


最初はなかなか見つからなかったが――。


「あった。」


幸先よく発見。


はなが確認してくれる。


「間違いありません。」


その後も順調に採取は進んだ。


「思ったより簡単かもな。」


そう思った瞬間だった。


ガサッ。


茂みが揺れる。


俺とはなの視線が向く。


姿を現したのは――。


二足歩行の魔物。


コボルトだった。


はなが静かに呟く。


「敵ですね。」


その言葉を聞いて、俺は首を傾げる。


「……あれ?」


「はな。」


「もしかして……仲間じゃないの?」


数秒の沈黙。


はなの表情が固まる。


「……ご主人様。」


「はい。」


「今の発言は……。」


少し低い声。


「怒りますよ?」


俺は思わず心の中でツッコむ。


(いや……。)


(もう怒ってるじゃん。)


「いや、犬っぽかったから……。」


「見た目だけで判断してはいけません。」


「……すみません。」


コボルトが唸り声を上げる。


俺は剣を抜く。


「今回は、ご主人様一人で戦ってみてください。」


はなが一歩下がる。


「危険になれば、私が必ず助けます。」


その言葉に頷く。


俺は剣を構えた。


コボルトが走り出す。


「っ!」


剣で受け止める。


重い。


だが、前とは違う。


身体強化のおかげで動きについていける。


攻撃。


防御。


回避。


一進一退。


「……戦えてる。」


少しずつ自信が戻ってくる。


ゴブリンに何もできなかった俺とは違う。


「俺でも……やれる。」


距離を取り、右手へ魔力を集める。


「ファイヤ。」


小さな炎が飛ぶ。


コボルトは横へ避ける。


だが、その瞬間。


「そこ!」


避けた先へ踏み込む。


剣を振り抜く。


コボルトが倒れる。


「……。」


静寂。


「勝った……。」


「はい。」


はなが頷く。


「ご主人様自身の力で勝利しました。」


その言葉を聞いた瞬間。


「……やった。」


自然と笑みがこぼれる。


◇ ◇ ◇


だが、少し時間が経つと。


倒れたコボルトを見る。


「……。」


「うっ。」


さっきまで夢中だった。


でも今は違う。


これはゲームじゃない。


本当に命を奪ったんだ。


俺は少し離れた場所へ座る。


ポケットからタバコを取り出し、火をつける。


煙を吐きながら、ゆっくり考える。


「……。」


勝った。


本当に俺が勝ったんだ。


まだ怖い。


まだ慣れない。


それでも。


少しだけ、この世界で生きていける気がした。

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