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冒険者  作者: sai


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「……ん。」


ゆっくりと意識が浮かび上がる。


重かった瞼を開けると、見慣れない木目の天井が目に入った。


「ここは……。」


少しずつ記憶が戻る。


下水道。


老人。


スライム。


そして、体の奥から溢れ出した白い光。


「そうだ……。」


起き上がろうとすると、


「無理はしないでください。」


聞き慣れた落ち着いた声がした。


横を見ると、椅子に座っていたクロードが立ち上がる。


その表情には珍しく安堵の色が浮かんでいる。


「目が覚めましたか。」


「……クロードさん。」


「心配しました。」


「丸一日眠ったままでしたから。」


「一日!?」


思わず起き上がろうとするが、クロードに制される。


「落ち着いてください。」


「ギルドの治療師にも診てもらいました。」


「外傷もなく、魔力にも異常は見当たりません。」


「原因は分かりませんが、身体に異常はないそうです。」


「そう……なんですね。」


自分の腕を見る。


服は新しいものに替えられている。


溶けたはずの肌にも傷一つ残っていない。


夢でも見ていたかのようだった。


「老人は?」


「無事です。」


「命に別状はありません。」


その一言で胸をなで下ろす。


「よかった……。」


その時だった。


部屋の隅から、小さな気配を感じる。


「……?」


ゆっくりと視線を向ける。


そこには、小さな白い柴犬がちょこんと座っていた。


つぶらな瞳。


ふわふわの毛並み。


見覚えのある姿。


「……。」


「まさか。」


葵は思わず目を見開く。


「はな……?」


その瞬間、小さな柴犬が嬉しそうに立ち上がった。


「ご主人ーー!!」


元気いっぱいの少女のような声が部屋に響く。


次の瞬間、はなは勢いよくベッドへ飛び乗り、そのまま葵の胸へ飛び込んできた。


「うわっ!」


思わず受け止める。


柔らかな毛並み。


甘えるように顔を擦り寄せる仕草。


間違いない。


家族みんなに愛され、自分が一番可愛がっていた愛犬――はなだ。


「なんで……。」


「なんで、お前がここにいるんだ……。」


嬉しさで胸がいっぱいになる。


だが、その直後。


「……って。」


「今、喋ったぁぁぁぁぁっ!?」


部屋中に葵の驚愕の叫び声が響き渡った。

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