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町の中心部へ向かうにつれて、人の数が増えていく。
石造りの建物。
行き交う人々。
剣を腰に下げた者。
杖を持った者。
見たことのない装備を身につけた冒険者らしき人達。
「……本当に異世界なんだな。」
改めて実感する。
そして目的地へ到着する。
大きな看板。
そこには剣と盾の紋章が描かれていた。
「ここが冒険者ギルドです。」
黒崎さんが教えてくれる。
「おぉ……。」
思わず声が漏れる。
異世界定番。
冒険者ギルド。
まさか本当に来る日が来るとは思わなかった。
期待しながら扉を開け、中へ入る。
その瞬間だった。
「……あれ?」
「クロードじゃないか?」
「嘘だろ……。」
ギルド内にいた冒険者たちの視線が一気に集まる。
「誰?」
「知らないのか?」
「クロード・ヴァルディアだ。」
「このガルドの町じゃ有名だぞ。」
「Aランク冒険者だ。」
「Aランク……?」
聞き慣れない名前に、周囲を見る。
そのまま俺の冒険者登録を進めることになる。
「新規登録ですね。」
受付のお姉さんが笑顔で対応してくれる。
「では、こちらの水晶へ手を置いてください。」
言われた通り手を乗せる。
すると淡い光が浮かび上がった。
「これは?」
「魔力測定です。」
「魔力……?」
その言葉に反応する。
「魔法ってあるんですか!?」
思わず声が大きくなる。
「火を出したり?」
「水を操ったり?」
「空を飛んだり!?」
受付のお姉さんが少し驚いた顔をする。
「え、ええ……ありますが。」
「本当にあるんだ……。」
異世界。
魔法。
想像していたものが、本当に存在する。
「落ち着いてください。」
黒崎さんが静かに言う。
「いや、無理ですよ。」
「だって魔法ですよ!?」
「子供の頃から一度は憧れるやつじゃないですか!」
自分でも分かるくらいテンションが上がっていた。
受付のお姉さんは苦笑しながら説明を続ける。
「冒険者ランクは依頼達成数や実績によって決まります。」
「最初はFランクから始まります。」
「依頼をこなし、信頼を積み重ねることで上昇します。」
「ただし、依頼失敗が続いた場合は降格することもあります。」
「命に関わる仕事ですから。」
ランクは、
SS → S → A → B → C → D → E → F
の八段階。
Cランク以上へ昇格する場合は、実績だけではなく試験も必要になる。
「なるほど……。」
ゲームみたいに簡単ではない。
でも、その現実感が逆に面白い。
登録を終えた後、俺は先ほど聞こえた名前について尋ねた。
「すみません。」
「クロードって人、有名なんですか?」
受付のお姉さんは少し驚いた顔をする。
「ご存じなかったんですか?」
「クロード・ヴァルディアさんは、このガルドの町でもトップクラスの冒険者ですよ。」
「Aランク冒険者です。」
「Aランク……。」
改めて黒崎さんを見る。
「普通に一緒に歩いてましたけど……。」
とんでもない人だったらしい。
本人はそんな評価など気にした様子もなく、いつも通り静かに立っている。
でも、俺の中の興奮は止まらなかった。
異世界。
魔法。
冒険者。
これから始まる新しい生活。
「……楽しみすぎるだろ。」
自然と笑みがこぼれた。




