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「うわぁぁぁぁぁっ!!」
俺は全力で森の中を駆け抜ける。
後ろから聞こえる足音。
「ギャギャッ!」
「うるせぇぇぇ!」
何なんだよあいつ!
異世界に来て最初に出会った奴が、いきなり棍棒振り回して襲ってくるとか聞いてない!
「マジで無理だって!」
「初対面だぞ!?」
「普通はまず自己紹介からだろ!」
もちろんゴブリンにそんな常識はない。
「ギャギャァァァ!」
「だから何言ってるか分かんねぇって!」
全力疾走。
幸い、小さい頃からバスケを続けてきたおかげで運動神経には多少自信がある。
足場の悪い森の中でも、木を避けながら走るくらいなら何とかなる。
少しずつだが距離が開いてきた。
「はぁ……はぁ……。」
よし。
少し考える余裕ができた。
(能力は……。)
さっき試した限りじゃ、ステータスも魔法もスキルも全滅。
(でも、女神は成長しやすくなるとか言ってたよな。)
(だったら身体能力くらいは上がってたりしないか?)
走りながら足元へ視線を落とす。
石だ。
俺は走りながら拳大ほどの石を拾い上げる。
「くらえっ!」
野球経験はない。
勢いだけで投げる。
ビュン!
全然違う方向へ飛んでいった。
「ダメか!」
もう一個。
「おりゃっ!」
スカッ。
「くそっ!」
さらに拾う。
「これなら!」
ゴブリンとの距離を確認し、思い切り腕を振る。
ゴッ!
「ギャッ!?」
石が見事にゴブリンの額へ命中した。
「おっ!」
思わず声が出る。
ゴブリンは額を押さえながら数歩よろめく。
「効いた!」
……と思った次の瞬間。
「ギィィィィィッ!!」
さっきより何倍も大きな声で叫び始めた。
「……あ。」
完全にキレた。
鬼のような形相で棍棒を振り上げ、さらに速い勢いで突っ込んでくる。
「ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」
俺は迷うことなく再び全力で逃げ出した。
「やっぱり漫画みたいに『おっ、倒せるじゃん!』とはならねぇぇぇ!!」




