表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れながら成長する組織 ― これは普通の会社の話じゃない!  作者: 御堂 仁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/28

企業文化

深夜一時。


全社司令室


照明は半分落ちていた。


モニターには各店舗の速報値。


売上


買取件数


滞留数


深夜帯稼働


佐伯が倒れてから三日


池袋店は、まだ落ちていない。


黒沢は、その理由を理解していた。


東堂一人ではない。


既に、各エリア長が動いている。


池袋バックヤード


見慣れない責任者たちが立っていた。


渋谷エリア長


横浜エリア長


大宮エリア長


全員、現場上がり。


数字だけの管理者ではない。


店舗を回し続け、成果を出し、東堂に引き上げられてきた人間たち。


そして。


全員が異常に強い。


「査定ラインこっち寄せろ!」


「その商品、寝かせるな!」


「DM優先順位変えろ!」


指示が速い。


迷いがない。


現場スタッフが即座に動く。


黒沢は、その光景を見ていた。


この会社は、

場当たりで動いているわけじゃない。


有事を前提にしている。


誰かが倒れる。


店舗が崩れる。


人が足りなくなる。


その瞬間。


別エリアから、

最強クラスの責任者を投入する。


それが、この会社の構造だった。


東堂は、その中心にいる。


エリア長たちは、

東堂のやり方を理解している。


現場を止めない。


数字を落とさない。


熱量を下げない。


その思想が、

全員に浸透していた。


黒沢は気づく。


この会社は、

属人的でありながら、

同時に異常な再現性を持っている。


東堂個人の力だけじゃない。


東堂が育てた人間たちが、

同じ思想で動いている。


だから強い。


その時。


モニターに池袋の速報が流れる。


売上維持


滞留改善


査定回転率上昇


黒沢は静かに息を吐く。


普通の会社なら、

エースが抜ければ崩れる。


だが、この会社は違う。


東堂の代わりがいる。


いや。


“東堂になろうとする人間”が、

何人もいる。


それが、この組織の強さだった。


同時に。


最も危険な部分でもあった。


バックヤード。


渋谷エリア長が、

エナジードリンクを片手に笑う。


「東堂さん、昔もっとヤバかったですからね」


横浜エリア長も笑う。


「三日徹夜で棚替えしてましたよ」


「池袋なんて、まだ全然軽い方です」


軽く言っている。


だが。


黒沢は寒気を覚える。


これが、

この会社の成功体験だ。


限界を超える。


壊れる寸前までやる。


それを乗り越える。


その記憶が、

評価になっている。


だから。


誰も止まらない。


いや。


止まる発想がない。


黒沢は全社司令室へ戻る。


ホワイトボードを見る。


店舗数推移


出店計画


売上目標


右肩上がり。


だが。


その土台を支えているのは、

人間の熱量だった。


御堂は、それを理解している。


東堂も理解している。


神谷も、

崩壊の未来として見えている。


そして。


黒沢は、

ようやく自分の役割を理解し始めていた。


この会社は、

膨張フェーズを終えなければならない。


次に必要なのは、

“制御された拡大”だ。


熱量だけで回る組織から。


構造で持続できる組織へ。


だが。


その変化は、

外から押し付けても意味がない。


東堂自身が。


エリア長たち自身が。


「このままでは持たない」


そう理解しなければ、

組織は変わらない。


黒沢は静かに資料を開く。


『三ヶ年運営移行計画』


カーソルが点滅する。


全社司令室が、

初めて動き始めようとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ