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嫁に浮気されたら、大学時代に戻ってきました!  作者: 万和彁了
シーズン・4.x Cidade do Rei

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第193話 Chamado

 街の方からサンバの旋律が流れている。激しくもどこか情緒的な物悲しさ。それはこの国が刻んだ歴史の痛みに喘ぐ人々の声。狂騒と争乱の中で俺はやっとコルコバードの丘の上に辿り着いた。


「やあ。待っていたよ。王様」


「よう。ミリシャの王様」


 誰もいない広場。街を見下ろすキリスト像の足元にミリシャの王がいた。白い六ボタンのダブルのスーツを着ている。それはこの祭犠の狂乱の祭祀服なのか。


「聞きたいことがあるんだよ。どうだい?この国は?」


「俺は好きだよ。多様なる人々が混ざり合い作った美しい国だった」


「では聞くがね。この国に秩序と進歩はあったかな?」


 そう言われた時、俺は静かに口をつぐんだ。Ordem e Progresso.このブラジルの標語。だけどどちらもこの国には……。


「ないから国旗に書いたのさ。ないものねだり。だからこそ今日、この時、この私がこの国に秩序と進歩を齎すのだ」


「御大層な目的はいいんだよ。それはこの国の人々が自分で決めることだ。あんたが一方的に与えるもんじゃねぇ」


 ミリシャの王は肩を竦めている。どうせこの問答に意味はない。お互いに王。そして王は共存できない。俺は銃を抜いて構える。ミリシャの王は地面に突き刺してあった輝く剣を引き抜いて悠然と構える。


「神の子は見ている。だれが地上の王に相応しいのかを」


「俺はそんなものには興味ない。返してもらうだけだ。大切なモノをすべて」


 そして俺たちはぶつかり合う。すべてはサウダージに飲まれて。
























【シーズン4.x Cidade do Rei】























 それは一本の電話からはじまった。


『常盤さん。社長が会社を辞めたんです!!どういうことなんですか?!』


「は?!え?なに?!はぁ?!」


 エディレウザの会社オビリガーダ者の副社長の女性からそんな連絡が俺に入った。今は現場が混乱しているらしい。


「ちょっと待って!すぐに確認する!」


 俺は電話を切って、すぐにエディレウザに電話した。だけど電話に出ない。無視されている?俺はすぐに弟のヒカルドに電話した。だけどこっちも出ない。一応綾城にも電話をかけた。エディレウザにべったりな彼女なら何か知ってるかもしれないと淡い希望を持った。


「綾城!お前のところにエディレウザはいるか?!」


『あたしのところにはいないけど。声からするとえらく緊迫してるわね。どうしたの?』


「エディレウザが会社を辞めたらしい!そんでヒカルドにも連絡がつかない!」


『うそ!?なにそれ?!え?彼女がそんなことするはずが!?』


「わかんねぇけど事実なんだよ!くそ!どうすれば?!」


『まずはエディレウザの家に行ってみましょう。あたしもすぐにそっちに行くわ。車で拾ってちょうだい』


「わかった!」


 そして綾城と車で合流していそいでエディレウザの住む団地に向かった。そして部屋を訪ねるとご両親だけが蒼い顔で出てきた。俺たちはポルトガル語で尋ねた。


「何があったんですか?エディレウザは何処に?」


「わからないんだ!まずいなくなったのはヒカルドだった。彼女たちの家にも居なくて警察に聞いたら、ブラジルに行ったと言われたんだ!」


「はぁ?!そんな?!」


「それを知ったエディレウザがヒカルドを探しにブラジルに行った。だけどあの子の様子も変だった。なにかに怯えているようだった」


「そんな。マジかよ……」


 ブラジルに二人は行ってしまったらしい。故郷だし里帰りはあると思うけど、そんな様子じゃない。ご両親だって日本に残しているわけだし。だけどこれは大問題が起きている。直感がヤバいと囁く。


「あたしが探しに行きます!」


 綾城がそう言った。


「なにかあったのよ!それもやばい何かが!常盤!あたしはブラジルに行くわ!」


「待て待て!まずは調査からする!葉桐が関わってるかもしれない。真柴に連絡してみる!」


 すぐにその場で真柴に連絡する。


『あんたが連絡とかなんかやばそうだけど?大丈夫?』


「すげぇ困ってる!エディレウザがいなくなった!ブラジルに行ったらしい!弟をブラジルに探しに行ったそうだ!」


『え?ええ?……そうなの……。今は関わらない方がいいんじゃないと思う』


「そんなこと言ってられるか!いや。それよりもお前何か知ってるのか?!」


『絶対に言わない。ごめん。これはエディレウザのためなの。承知して』


「なにかまだ地雷があるのか!くそ!わかった!俺と綾城がブラジルに行く!」


『ならうちも連れてって』


「真柴?何を言っている?本気か?」


『エディレウザはうちにも優しい女の子だったの。恩がある。うちは外国慣れしてるし、葉桐の裏の権力の一部を使えるから役に立てると思う。連れてって』


 俺は逡巡する。だけどすぐに決めた。


「わかった!お前も来い!すぐにブラジルに行く!チケットを手配するから空港に来い!」


『わかった。ありがとう』


 そして俺と綾城はお互いに頷き、すぐに準備をして空港に向かった。真柴と合流して、飛行機に乗りブラジルへと向かった。






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