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嫁に浮気されたら、大学時代に戻ってきました!  作者: 万和彁了
シーズン・4  After 『誰よりも輝ける夏』

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第177話 光と影

ナイトプールとは魅惑のスポット。リア充の巣窟。もし陰キャがこんなところに来たらきっと一瞬で蒸発してしまうだろう。だけど今の俺は違う。隣にはスオウがいる。


「素晴らしイ眺めだな」


 俺とスオウは大きめのビーチチェアに座っている。スオウは俺の左手に絡まり胸に頭を預けている。視線の先には東京の摩天楼の明かりが広がっている。


「ああ。綺麗だな。でもお前の方がもっときれいだよ」


 気障な台詞がすらすら出てくる。一度は言ってみたかった!やっと言えた!スオウはそれを聞いて、艶やかに笑って俺の頬にキスをする。


「こンな景色ガ見れるのもカナタがいてくれたからだ」


 俺たちにムーディーな空気が流れる。ほんとドキドキする。テーブルに置いてあるチョコをスオウが一つまみして俺の口持ちに運ぶ。俺はそれを咥えた。甘く口の中で蕩けていく。よく見るとスオウの指先に肌の熱で溶けたチョコがついていた。俺はスオウの指を咥えてそれを舐める。


「きャ!もうぅ。ふふふ」


 スオウの指は甘く熱かった。かつてのいざこざも今は過去。俺たちには輝かしい未来しかない。そう信じられる。


「きゃー。ヒカルド君のえっち♡」


 春海の声が聞こえた。そっちへ視線を向けるとヒカルドの頭の上に水着のブラが乗っていた。そして春海がヒカルドの背中に自分のおっぱいを押し当てているのが見えた。当のヒカルドはクールな顔のままだ。


「おねぇさんおねぇさん。君の弟さんの風紀がすごく乱れてるよ」


「そウだな。モテモテで嬉しイぞ」


 これが修羅の国ブラジルの価値観なのだろうか?よくわかんねぇ!俺たちはしばらくヒカルドを観察していた。


「もう!駄目ですよぅ♡」


 今度は夏枝がヒカルドに首筋を吸われて雌顔を曝していた。


「あん!悪戯はめ♡」


 さらに秋奈がおっぱいを後ろからヒカルドに揉みしだかれていた。


「ん!もう……あっ♡」


 そして真冬がお尻を揉まれている。なにあれぇ?水の中でいちゃつくだけでもすごいのに四人同時だと?!


「私には弟が1人イる。そして嫁は4人だ!わはははははは!」


「数が合ってない!!!」


 ブラジルのノリがよくわかんないようぅ!


「ヒカルド集合!!スオウ!代わりにお嬢さんたちの相手してきて!男同士でお話しするから!」


「ン?わかッた!」


 スオウはプールに向かって走っていき、思い切りジャンプして空中で何回転もしてからプールに飛び込む。そしてヒカルドたちにすぃーと近づいていった。スオウに声をかけられてヒカルドが俺の方へと泳いでくる。プールから上がって、こちらに歩いてきて、隣のチェアにヒカルドは座った。


「何か御用ですか?」


「どうして君はあんなにモテるの?なんかコツでもあるの?」


「コツ?」


 ヒカルドは首を傾げている。だけど特に何も思い浮かばなかったらしく。


「すみません。特に思いつかないです」


「自然体かよ!」


「でも。日本人の男の子って女の子のことちゃんと可愛いとか好きって言わないですよね。僕はちゃんと言います。だからだと思います」


「そうなのかぁ?!」


 コツが真似できそうにない。だけど参考にはしよう。そう思った。


「姉さんがすごく笑顔で嬉しいです。あなたの御陰なんですよね。感謝してます」


 ヒカルドは遊んでいるスオウたちを見て優しく微笑んでいる。その顔はとても美しい。でも頭の上に春海のブラが乗ったままじゃなきゃすごく絵になるのに……。


「昔はそうじゃなかった?」


「はい。ずっとピリピリしてました。ブラジルにいた時から。僕が心臓の病気になってからずっと」


 ヒカルドは胸の手術跡を撫でる。今はもう完治したそうであり、ドナーとの適正も合っていたから免疫抑制剤も飲まなくて良かったらしい。


「スオウはお前を助けるために必死だったんだろうね。いいお姉さんだよ。俺はそう思う」


 俺はスオウの頑張りを素直に尊敬している。彼女は家族のために頑張り続けていた。だけどヒカルドの顔は冴えない。どこか暗い影があった。


「頑張らなくても良かったんです。僕の病気は神様の御意思です。それに抗うことなんてなかった。ボクも両親も受け入れていたんです。僕は生まれてきただけで幸福でした。だからあのまま死んでしまっても別に構わなかった」


「そんなこと言うもんじゃないよ。スオウはお前に生きていて欲しかったんだから」


 俺はそう言った。だけどヒカルドははかなげに笑うだけだった。


「神の意思に反して罪を負った。その罪はいずれ罰になる。もう姉さんは苦しんだんです。だから罰は受けるべきじゃない」


「何を言っている?当たり前のことだろうそれは。もうスオウには借金もない。後ろ暗いことは何もないんだ」


 ヒカルドは何も言わなかった。ただ俺を真剣な目で見詰めている。


「お願いします。姉さんを幸せにしてあげてください。もう姉さんが泣くところはみたくない」


 そう言ってヒカルドはプールの方へと歩いていく。俺は首を傾げた。もう罪も罰も終わった。葉桐は黙らせたしミリシャの王とやらもスオウに手を出してくることはないそうだ。なのになんでヒカルドはあんなにも苦しそうなんだ?
























 そして俺は後にブラジルの地で知る。










 スオウの本当の罪と贖えないほどの罰とを。













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