第159話 シーズン・0『クリスマス』後編
小ネタ「ヒメーナちゃん、サンタの正体を知る」
これはヒメーナがアメリカにいた頃のお話。
ヒメーナ「わぁ!おっきなプレゼント箱だぁ!まま!開けてもいい!?」
マルセラ「ええ。サンタさんは何をくれたのかしらねぇ」
ばさばさがさがさばりばり!
ヒメーナ「…何これ…?」
マルセラ「あら!すごいわ!ダニエル・ディフェンスの高級AR-15よ!しかもCQBスタイルの光学機器やフォアグリップもついてきて気が利いてるわね!」
ヒメーナ「…ママ…?(サンタさんって玩具をくれるんじゃないの…?!)」
マルセラ「じゃあ早速森に行って撃ってみましょうね!」
ヒメーナ「まま?!あ!まだ箱があるの!こっちあけてもいい!?(プレゼントが二つ…?ままとぱぱ?あっ…)」
マルセラ「…好きにすれば?」
ヒメーナ「わーい。わぁ!お人形さんだぁ!かわいい!(ぱぱありがとう!)」
マルセラ「じゃあ撃ちに行きましょうか。その人形を的にしてもいいわよ」
ヒメーナ「やめて?!大人しく銃撃つからこの子を的にするのはやめてよぅ!」
マルセラ「じゃあ行きましょうねぇ。アメリカ人なら銃を撃てなきゃだめよ!」
ヒメーナ「そ、そうね(大人になったらアメリカ人やめよう)」
以上綾城家の毒親エピソードでした。
クリスマス・後編やるぞ('Д')
俺の家についた。内心心臓バクバクだった。
「ど、どうぞ」
「おじゃましまーす」
理織世は楽し気に部屋に入ってきた。
「わーお風呂狭いね!」
廊下からお風呂場をのぞいてきゃきゃとしている。でもバカにしている感じはない。
「リビング兼ベットルームだよ」
「すごいすごい!せまーい!あはははは!」
理織世は部屋の中をキョロキョロしている。そしてちゃぶ台の前でぺたんと女の子座りする。
「もしかしてここに学生時代から住んでる?」
「おう。駒場のときからここに住んでる」
「そうなんだーへぇー」
理織世は穏やかな顔で笑っていた。
「学生時代に来てみたかったなぁ。ここでいっしょに勉強したり鍋突っついたりタコパしてみたり」
「勉強はともかく鍋やタコパはこんどやってもいいよ。真柴とか誘えばいい」
「そうだねぇ友恵呼んであげようっと。ふふふ。なんだか楽しいなぁ」
学生時代を俺と理織世は共に過ごしていない。その思い出がないことが悔やまれる。だけど今からでもこの部屋で理織世との思い出は作ることが出来る。そう思うと不思議と俺も笑顔になれた。
「じゃあチキンとケーキ食べるか?」
「ん。それもいいけど、その前に着替えたいなぁ。お風呂借りてもいい?」
「いいよ。でも着替えって」
「部屋着貸してよ。なんでもいいよ。うん。なんだっていいよ」
理織世はそう言ってお風呂場に行った。そして布の擦れる音が聞こえる。俺の部屋で女の子が服脱いでる!その事実がまだまだうぶい俺の心をグラグラ揺らすのだ。シャワーの音が響いているのを堪能しながら、俺はクローゼットから部屋着を漁る。
「こ、これは?!……サンタさん!気づかせてくれてありがとう!」
俺はその部屋着をお風呂場の方に置いておく。そして風呂から上がってきた理織世が出てきた。
「ねぇねぇこれって…?」
「ん?俺の高校の時のジャージだよ」
「そーなんだへぇ。やだこれぶかぶか。えいえい!」
ぶかぶかな袖でぺちぺちと頭や肩をはたかれる。ちっとも痛くない。とても柔らかくて撫でられているようだった。
「奏久くんもシャワー浴びてきなよ。チキンとケーキは私がちゃぶ台に並べておくよ。あと部屋着は私が見繕ってあげる!クリスマスっぽい奴を!」
なんか親指をぐっと立てている。可愛い。俺はそれを信じてお風呂場に行く。そしてシャワーを浴びてタオルだけ腰に巻いて部屋に戻るとチキンとケーキが可愛らしく盛られていた。
「はいこれ!部屋着とパンツ!」
「え?ん??」
パンツは俺のボクサーパンツだった。だけど部屋着は右前の女もの白いシャツ。っていうかさっきまで理織世が着てたビジネス用のブラウスだ。理織世は出勤するときはビジネススーツで出かけてTV局で衣装に着替えるそうだ。
「よく聞くよね。かれぴのシャツ着るって奴。私もそれやらせてみたいなってずっと思ってたんだぁ」
「俺がこれ着るの?!無理じゃない?!」
「何事もチャレンジだよ!がんばれ!がんばれ!」
俺は手拍子打つ理織世に煽られるままにブラウスを着てみる。だけど。ばりびりと嫌な音が響きまくる。
「ぶほぉ!あはは!」
まず破けたのは肩の袖だった。そしてさらに肘の方がボロボロに破れる。
「はい!ボタン付けないと乳首見えててエチチだからボタン付けようねぇ!」
理織世は楽しそうに囃し立てる。言われるがままに俺がボタンを止めるとその瞬間にぶちんと糸が切れてボタンが飛んでいく。
「きゃはは!奏久くんおっぱいおっきすぎてボタン飛んだー!えっちー!えっちまーん!」
自分のブラウスボロボロにされてんのに理織世はケラケラ笑っていた。その笑みに俺はとてつもない程に幸せを覚えたのだ。
「じゃあそろそろ食べようか」
「そうだな」
「「いただきます」」
二人だけのクリスマスのディナー。コンビニのチキンとケーキ。だけど理織世は美味しそうに食べていた。そして俺たちはたわいもない話をした。サンタをいつまで信じていたとか、子供の頃本当は欲しかった玩具のお話とか。
「そうだ。忘れてた」
「ん?どうしたの?」
俺はバックから小さい箱を取り出す。
「クリスマスプレゼント。受け取って」
「そうなの。そっかサンタさんは奏久くんだったんだ。じゃあいただきます」
「それじゃごはんみたいだよ」
「ふふふ。そうだね。ちょっと変だったね。でもありがとう」
舌をちょっとペロッと出しながら理織世は笑い、箱を開ける。
「わぁ綺麗…シルバーアクセのネックレス?これはティアラ?」
「ふふふ俺の手で作ってみた。さすがに頭に乗っけるアクセは作るのきつかったから、ネックレスにしてみた。でもよく見てそれはティアラじゃなくてクラウンだよ」
ティアラは半月状であり、クラウンは円形になっている。
「クラウン…」
「ちょっと変わってて良くない?」
「そうだね。うん。いいかもしれない。ねぇ。つけてよ」
理織世は左手を差し出してきた。俺は彼女の手首にネックレスを巻いた。そして理織世は巻かれたクラウンにキスをした。
「似合ってる?」
「うん。とてもすてきだ。かわいい。綺麗だよ」
「ありがとう。あなたが私を綺麗にしてくれた」
俺たちの顔は自然と近づいて、優しくキスをした。そして互いの身体に触れ合って、お互いに着ていたものを脱がせ合ってベットに入った。
朝になって俺が起きると隣の理織世は裸だったがもう起きていた。俺のあげた手首につけた王冠のネックレスをボケっとした笑みで眺めていた。彼女は俺が起きたことに気づいていないようだった。だから俺はしばらく彼女の横顔をそのまま堪能した。この時間が永遠に続けばいい。そう祈りながら。
---作者のひとり言---
アーサー王の王妃グィネヴィアの肩には王冠の形をした痣があったそうです。
それはすなわちブリテン島の大地の女王の支配権を示すシンボルだと言われております。
今回はそのエピソードにインスピレーションを受けてクリスマスプレゼントにしました。
でも個人的には手作りアクセはプレゼントとしては痛い気がする。カナタ君はヤンデレ…?
まあヨッメーはそういうのを貰うのが好きな女の子なので結果的にはベストでした。




