第156話 ちんすこう音頭
これ以上の醜態が出てくるのが怖い。だが昨日何があったのかを知らなければミランを見つけることは恐らくできない。そんな予感があった。
「あたしを誘拐した後にどうしたのかしらね?」
「あー。そのあとなんだけど、薄っすら覚えてる。ホヅミ君たちと私が飲んでたところにみんながやってきたの今思い出したわ」
ムーちゃんが微妙な顔をしている。きっとこの後にあるであろう自分自身の醜態を恐れている感じだ。だけど探らなければどうしようもない。とりあえずムーちゃんたちが飲んでいたという店に向かった。
そこは普通の居酒屋に見えた。まだ準備中だったけど暖簾をくぐって中に入る。
「すみませーん。まだ準備中なんですよーってあんたたちは?!」
店主が俺らの顔を見てぎょっとしたような顔をしている。あーこれなんかやらかしてるぅ。
「か、帰ってくれ!うちはまっとうな店なんだ!いかがわしい店なんかじゃないんだ!たのむ!」
なんかもうヤバそうな空気。
「とくにそこの赤毛の子!君は永遠に出禁だ!二度と来るな!」
「ちょっと待ってください!私一体何やったんですか?!」
「煩い!いいから出ていけ!」
俺たちは店主の勢いに飲まれて店を出ていかざるを得なかった。一体何をやったんだろうか?ヒントがなさすぎる。
「たしかね。伊角さんが持ってた古酒を私も飲んだの。美味しかったんだけど、そこから先の記憶が全くないの。あの酒大丈夫なの?」
ムーちゃんが焦っている。自分が何かをやらかして出禁になった。それは相当ヤバい気がしてならない。そんな時だ。
「お!あんたたち!いやー昨日はお疲れ!いやー最高の舞台だったぜ!」
俺たちに気軽に話しかけてくるおっさんがいた。ちょっと雰囲気がわるっぽいけど反社ではなさそう。
「舞台ってなんですか?」
俺はおっさんに問いかける。
「ん?覚えてないのか?うちのバーのステージを滅茶苦茶盛り上げてくれってたじゃないか!しかも客から稼いだ金をぽんと俺らに渡してくれたし!気前がいい上に盛り上げ上手!ぜひまたうちのステージに立ってくれよ!歓迎するぜ!」
何をやったんだマジで!?ステージと聞いて戦慄を隠せない。
「あそうそう。スマホ忘れてたろ。ほら。返すよ」
おっさんが俺たちにスマホを渡してきた。
「あ!それ私のスマホ!」
ムーちゃんはスマホを取って中を確かめる。
「傷はないけど、中身を見るのが怖い…!」
さっきの楪のスマホの中身もあれだったし、その気持ちはわかる。だけどミランを探すヒントはここにしかない。俺たちは全員でムーちゃんを見詰める。
「うう。やめてよその目…わかってるよぅ。ええ。わかってる。見てみましょう…」
そして中身の動画を俺たちは再生した。
(動画再生中)
ムーちゃん「ふぅおおお!ほづみぃいいいい!飲めよ!ほおおおおおお!」
ホヅミ「いやもう限界かなって」
ムーちゃん「元ホストのくせに何言ってんの!店主さん!どんぺりぃいいいい!」
--店主が嫌そうな顔でドンペリを持ってくる。そのドンペリをムーちゃんは太ももに挟んでホヅミの口に突っ込む。
ホヅミ「うぼぉおうおおおっぉおほほそおぞお!!」
ムーちゃん「そんな舌使いじゃイケなーい!私まだまだ出せるよ!あはあん!」
--ムーちゃん近くにいたおぢの口にドンペリの口を差し込む。
おぢ「うめぇいうめぇああほぼおのあお!!!!」
--おぢは畳んだ万札をムーちゃんのニーソに差し込む。さらに店内のおぢにそれらを繰り返す。
ムーちゃん「あはぁ!ううっ!もうでなーい!きゃは!」
--そしてムーちゃんはカウンターの上に立って腰をひねりながら踊り始める。パンツは見えそうで見ない。
店主「ちょっとお客さん!暴れるのやめてください!」
ムーちゃん「なによ!今日は無礼講よ!ひゃっはー!」
--ムーちゃんかき集めた札束を両手で持ってそれを天井に向かって投げる。それを拾おうと店の客たちが騒ぎを起こす。
ムーちゃん「ふふふ。なんて醜いのかしら!愚民ども!おぢから搾ったお金で相争うとよいわ!さらば!」
--そしてムーちゃんは店から堂々と出ていった。ミランを含めた俺たちもそのあとに続いていった。
「ぶぉうおおおおお!!」
ムーちゃんがショックを受けて道路に膝をついていた。
「これはまごうことなきパパ活ビッチですわ。ぷっ!」
楪がムーちゃんを見下ろしながらニチャニチャ笑っている。
「カナタくぅうん!私はパパ活ビッチなんかじゃないよぅうう!」
「いや今のはパパ活ビッチとかそんなの通り越した邪悪な遊びだよ。ガチ酔いしててもマウント取るのに必死な辺りは普段と変わらないけどな!」
「ぴぇえええええええん!!」
ムーちゃんの醜態がなかなかえぐい。そりゃ出禁にもなるわ。
「ううっ。私はこんなんじゃないもん!わたしはお淑やかで清楚な理ケジョの姫なのぉ!!わあああああああん!」
ムーちゃんはびぃびぃと泣き出すが、まあ自業自得である。だがこの時点ではミランがいたのがわかったのは僥倖だ。だけどその後どうなったんだ。
「ねぇさっき会ったおじさんがステージがどうこう言ってたわよね。動画残ってないのかしら?」
綾城がムーちゃんのスマホを弄りだす。そしてそれっぽい動画を発見した。
(動画再生中)
ポールの立っているステージに上半身ビキニでミニスカートのミランが立っている。彼女は音楽に合わせてとてもセクシーな腰振りをしながら踊り始める。そしてボールに背中をつけながら腰を上下し始める。
『いいぞねーちゃん!』『ひゅー!』『魅せてくれぇ!』
ミランは声援に合わせてポールを掴むそしてくるくると回りながら登っていき、頂点で両足を大きく開いて見せた。よく見るとパンツじゃなくて水着だったけど、それでも十分エロい。そしてそのまま足を開いたままくるくると降りてきてステージの中心でセクシーなポーズを取る。拍手喝采だった。
「む!伊角さんがいつもと違ってカッコイイです!わたしも負けていられません!」
すると今度は楪がステージの上に上がった。客からは拍手や声援が飛び交ってくる。楪は音楽に合わせてぎこちなくだけど踊りだす。だけど動くたびに震えるおっぱいに客は十分満足しているのか声援はやまない。そして音楽は間奏に入った。すると楪はステージの真ん中で突然手拍子を撃ち始める。
「はい!ちん!ちん!ちんすこう!」
『『『ちん!ちん!ちん!ちん!ちんすこう!』』』
すると楪は客に背中を向けてブラ紐に手をかける。
『『『『『ほぉおおおおおおおおおおおお!!』』』』』
ステージに沢山のおひねりが投げられていく。ユズリハは腰を振りながらブラ紐を外す。そして水着のブラを外してそれを投げる。それはムーちゃんの頭に乗っかった。
「はい!ちん!ちん!ちんすこう!」
『『『ちん!ちん!ちん!ちん!ちんすこう!』』』
そして楪は振り向いた。両手で乳首を隠すようにしている。妖艶な笑みを浮かべてくねくねと踊り始める。
「はい!みんなさーん!じゃんけんしましょうねぇ!おっぱいじゃんけんいくよー!最初はパー!」
楪は両手をおっぱいの前で広げる。乳首はまだ隠れている。まごうことなきパーである。
『『『じゃんけん!』』』
「ぐー!!」
『『『『『うひょぉおおおおおおおおおお!!!』』』』』
楪は乳首を隠しながらも自分のおっぱいを揉んだ!
「ぐー!ぐー!ぐー!」
『『『GOOD!GOOD!GOOD!』』』
「うえ!した!うえ!した!ぐーぐーぐー!」
おっぱいを上下に揺さぶりながら客を煽っていく楪。
「じゃあさいごのじゃんけんいきますねー!」
『『『さいしょはーぐー!』』』
「じゃんけん!」
そして楪は両手を広げて、小指、薬指を閉じた。乳首は人差し指と中指だけで隠れている。そして運命の時来たれり。
「ちょき!」
楪はおっぱいの前でチョキをやった。客たちが一斉に唾を飲み込む音が響いた。そしてそこにはみんなが期待するピンク色の乳首が…なかった。あったのは右の乳首の上にシールで「ちんすこう」、左の乳首の上にシールで「ぷりーず」と書いてあったのだ。そして楪はチョキマークを顔の前に持っていって舌を大きく出して。
「騙されちゃいましたね!あはははは!!」
恍惚のドSピースだった。それでも乳首にシールだけでも十分エロいと思う。
『ふっ!あんたには完敗だよ』『ああ。いい夢を見させてもらった』『おっぱい』『シールだけってのもいいもんだ…』
客たちはしんみりと余韻に浸かっている。よく調教されている客たちだった。
(動画再生終了)
楪は近くの電柱に背中を預けて、空虚な目で何かをぶつぶつと呟いている。
「やーい!ばーかーばーかー!」
ムーちゃんがジブン以上の醜態をさらした楪に追い打ちをかけている。
「とりあえず美魁がこの時点まではいたということがわかってよかったわね」
「よかったのかなぁ?みんなの心の傷が取り返しのつかないレベルになっていってる気がするぞー」
まだミランは見つかっていない。俺たちの闇を巡る旅はまだ終わらない。




