第142話 スーパーホスト伝説~反社のカナタ~隣でオラオラとブラジルポルトガル語でイキってくるエディーニャさん編
マイクパフォーマンスでオラついたことに満足したのか、スオウはとてもご機嫌な様子だった。
「ふーふン♪これはイイなカラオケなどよりも遥かにストレスが飛ぶ。そうか女たちがホストクラブに来るのはこウイウ理由だッたンだな」
絶対に違うと思う。だけど楽しんでいるならそれに口を挟む気は俺にはない。スオウは俺の太ももの上に自分の足を乗せながらシャンパンを瓶から直接飲んでいる。
「そろそろ泡にも飽きたな。白のワイン系で高イの適当に持ッてこイ。ついでにマイクもだ!」
『ご注文ありがとうございます!どうぞマイクでイキって下さい!!』
店内のBGMが盛り上がり始める。そしてホストたちが集まって手拍子を打つ。その中でスオウはマイクを受け取りソファー席からわざわざテーブルの上に立ってイキリ始めた。
『Puta,puta,putas! Por que voces gastam dinheiro para esses vagabundos feios? Olha! olham bem. Bem direito! A magia sera quebrada quando amanhecer. Vagabundos feios que estam aqui não merecem nada por gastar dinheiro que voces ganharam fazendo programa. Ao contrario, aqui está o meu, lindo, forte, fiavel. Voces não escolhem homens feios que batem voces, escolhem homens scinceros,lindos e fortes! Ah! me desculpem. Voces putas não serao escolhidas por homen maravilho como o meu por que voces são feias! Desculpem!』
隣のエディーニャさんがブラジルポルトガル語でイキリまくりなんだけど?ボソッとした声でなくマイクでガンガン響かせてるんだけど?もちろんここでこいつの言った言葉の意味がわかるやつは俺しかいない。俺は両手で顔を覆ってしまった。
『…?えーっと。英語出来るのすごいですね!では王様より勅語を賜ります』
『…ラピュタはきっとどこかにあります。でもその言葉の意味を調べないでください…るーるーるー♪』
『…??王様からでした!ラピュタはきっとどこかにある!夢のようなお言葉ありがとうございます!』
ラピュタには絶対に行かない。俺はそう誓ったのだ。そしてスオウは俺の太ももの上に横座りして、首に手を回してくる。
「すごく楽しかッた!プータども煽るのサイコー!」
スオウはまるで子供のようにキラキラとお目目を輝かせている。だけど言ってることがひどすぎるんだけど!
「あはは。そっかー。楽しんでくれるなら良かったよー」
「カナタはドリンクバックで潤う。私はマイクで楽しい。ビジネス用語でいえばwin-winで共通のベネフィット!」
「呂律が回ってねー。なんか逆に可愛い気がするよ」
「yes!sim!枕!yes!sim!枕!」
「もう!すぐそっち行くー!綾城菌だぁ!アルコールで消毒してー!」
「はーイ!じャア注文するゥ!この限定飾りボトルのやつをくれ!」
『ご注文いただきましたー!当店限定のティアラ型飾りボトルでーす!』
俺はそれを店員から受け取ってスオウの頭に被せる。
「私。可愛イ?」
「とても綺麗で、何よりかわいいよ」
そしてスオウは美しく可憐な笑みを浮かべて、再びマイクを掴みまたもテーブルの上にジャンプして乗った。
『Sou princesa! Baixe sua cabeca.Digo a senhoritas do japao,Eu sempre duvidava.Porque voces comem tapioca fazendo chazuke e Serfie entrando em cio. Esculte bem! Tapioca e mais gostozo torrada que chazuke. Isso e verdade, verdade mesmo. eu gostava tapioca torrada colocando leite de coco em cima.Meu irmao gostava colocar presunto e ovo no maio. Quando vir para o Japao, esperava muito. Mas voces putas se satisfazem comendo chazuke de tapioca! Torre,terre,torre. torre tapioca. Tapioca e torrar!』
ホームシックの亜種かな?タピオカにうるさい女スオウさんのアピールにもの悲しさを感じたよ。
『やっぱり英語は難しいですね!それでは王様の勅語お願いしまーす!』
「個人的にはそば粉のガレットが好きです。他国の食文化に興味がつきません。これからもうまいものはガンガン食べていきたいと思いました」
そば粉を麺以外にするって発想がなかなか面白いよね。うん。そしてマイクパフォーマンスが終わってスオウは俺の隣に座り、首を肩に預けてくる。なお彼女の手は俺の太もものきわどいところをなでなでしている。
「私も憧れていたのかもしれない。多くの女の子がお姫様になりたがるように…。キラキラと輝いて。お城に連れていかれて…枕ァ!」
「はは!せめて舞踏会くらいはしたいものだけどね」
「そうだな。ならまずは格好から入るべきだな。これください!」
『オーダーありがとうございます!当店最高のお品がオーダーされました!王冠型の飾りボトルだぁ!王様万歳!』
『『『王様万歳!』』』
店内のすべてのホストと客が俺たちの席に集まってきた。スオウと俺はテーブルの上に立った。そしてスオウは王冠型の飾りボトルを俺の頭の上に乗せた。
「これで夢が叶った。愛する人を王様にする。そんな甘い夢」
スオウは楽し気に。だけど。どこか儚げに。俺の耳に囁いた。
「お願イだ。カナタ。…私を支配し続けて…」
その声にはどこか真摯で真剣なものを感じた。支配し続ける?それは一体どういう意味だろう。
『ではお姫様から』
「女王と呼べイ!」
『Yes!your majesty!ではクイーンからお言葉戴きます!3・2・1!』
『Não prescisa de palavra! Não quero saber a diferenca. Pode estar em qualquer local. Simpresmente quero ficar perto de você. Não quero nada mais. Amo você eternamente.』
そう言って、スオウはマイクを投げ捨てて俺に抱き着き、唇を奪ってきた。
『『『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』』』』』』
『『『『『『きゃああああああああああああああああああああ!!!!』』』』』』
店内に絶叫と歓声が響く。スオウの激しいキスにみんなが顔を赤くしている。俺自身も脳みその裏側が痺れるような甘さを感じた。余りにも情熱的な行為にクラクラドキドキする。だから俺はさっき言われたお願いを必ず果たそうと覚悟を決めたのだ。
『小ネタ』
スオウ「ぶちゅうううううううううううううううううううううううううう」
カナタ「(あれ。そろそろ離れてもよくないかな?ん?スオウの腕が剥がせない?!)」
スオウ「れろれろれろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
カナタ「(舌入れてきた?!ていうか離せない?!)」
スオウ「(*´з`)」
カナタ「(;´Д`)イキガツヅカネェ」
そして俺は気絶する寸前で開放されたのだった。
そしてラストオーダーが過ぎて、売り上げ集計が出た。勿論トップは…。
「ラスソンゲットー!!!」
俺だった。俺がガッツポーズをすると店内から拍手が響き渡る。
『えーひとえにこの勝利は俺の姫たちのお陰です。ありがとう。ミラン、ムーちゃん、真柴、スオウ』
ミランたちも嬉しそうに拍手をしてくれている。これが勝利の心地よさである。というわけでラスソンを入れる。
「ケーカイパイセン!ツカサ!ホヅミ!お前たちも来い!」
ここに俺が来れたのは一人の力じゃない。仲間たちがいたからだ。ていうか誘われなきゃホストなんてやることはなかっただろう。だからこの勝利は仲間たちと一緒に祝いたかった。四人で歌うラスソンは盛り上がった。そして店は閉店時間を迎え、俺たちは夜の街に放り出されることになった。
「アフターどうする?」
街に出たツカサが俺に尋ねてきた。
「そんなの決まってるだろ。みんなでカラオケ行こう。みんなで!!みんなで!!!」
俺は両脇にケーカイパイセンとホヅミをがっちりと掴んでホールドする。
「おいおいちょっといてぇよ。そんなことしなくても逃げねぇよ」
「そうだよ。どうしたのカナタ君」
こいつらはわかってないんだ。あの地球の裏側から来たモンスターの恐ろしさを!
「カナタァ!アフター枕ァしよ!!うりャァ!」
近くの量販店で買ったのだろうか?スオウは両手に枕を抱えていた。そしてそれをケーカイパイセンとホヅミの額に向かって投げる。
「「うぎゃあああああ!!!」」
二人は投げつけられた枕が額に当たった衝撃で身もだえて歩道の上でのたうち回っている。
「近くにホテルイッぱイアるぞ♡イッぱイ貢いだンだから、当然アフターは枕だよな?」
枕ゾンビと化したスオウの緑色の瞳がギラギラと輝いている。
「俺のホスト業は今日だけだから!もうホストじゃないから!枕は勘弁!さらば!!」
俺は脱兎のごとく新宿の街を奔る。後ろにスオウやミラン、真柴、ムーちゃん、それにツカサやホヅミやケーカイパイセンもついてくる。俺たちの夏と青春はまだ終わらない。
ホスト編・完




