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嫁に浮気されたら、大学時代に戻ってきました!  作者: 万和彁了
シーズン・4  After 『誰よりも輝ける夏』

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第131話 仮装とコスプレはたぶん違う

 コミケの会場はとにかく広い。そして沢山の人間が行きかっている。ここよりも熱気に満ちた場所はないんじゃないだろうか?なんて思えるくらいに。


「しかしあちぃなまじで。つーかさっきからどこの自販機も全部売り切れなんだが?」


 自販機が全部売り切れ表示なってるのもしかしたら人生で初めて見たかもしれない。俺はTシャツに短パンだからまだましだけど、コスプレしてるツカサなんか大変そうに見える。


「たしかにすごいよね。同人誌コーナー行く前にコンビニ寄る?」


「そうするか」


 会場内のコンビニに寄ったが、ここもいろんな意味でヤバい。ドリンクがどんどん売れては補充されていくという超シュールな光景が広がっていた。


「うぁ。すげぇ。何でもいいから買うか」


 適当に目に入ったミネラルウォーターのボトルに手を伸ばした時だった。誰かの手が同時にボトルに触れた。


「あ、すみません。どうぞ。ってあれ?」


「いえ、こちらこそ。うん?」


 手が触れた相手に目を向けるとそれはなんと真柴だった。俺たちはお互いに顔を見合わせてしまう。


「とりあえず買ってく?」


「そうね。買ってきましょ」


 俺と真柴は10本くらいドリンクを籠に放り込んで、お会計を済ませて外に出た。


「なんであんたがここにいるの?全然顔と会場の雰囲気に合ってないよ?ふふふ」


「はは。それ超理解してるー」


 真柴が悪戯っ子みたいな笑みを浮かべてジョークを言ってきた。この間の旅行のお陰か俺たちは不思議と打ち解けあったようだ。


「友恵!ドリンク買えた?あと頼まれてたコスプレさんの写真とってきたよー」


「カナタ君!水頂戴!てか聞いてよ!神絵師のプライベートアドレスゲットできたー!」


 のほほんとした女の子の声と、チャラチャラした男の子の声が聞こえた。どっちも知ってる奴らだ。


「「あっ…」」


 五十嵐とツカサがお互いに顔を見合わせていた。そして二人同時に俺と真柴の方に顔を向けてくる。


「「「「………」」」」


 四人で顔を見合わせる。このメンツが顔を合わせるのはGWの旅行以来だ。戸惑う気持ちもわかる。とりあえず壁際の空いたスペースの方に俺たちは集まった。


「偶然ってすごいねー。あはは。こんなに広いお祭りなのに顔を合わせるなんてすごーい」


 五十嵐がお目目をキラキラさせてる。単純にこの偶然を楽しんでいるようだ。


「たしかにすごいよね。実は僕とカナタ君もさっき会場内で偶然会ったんだよね」


 そう考えると偶然がさらに偶然を呼び込んでるなぁ。


「まさか『際』が揺らいでる?…はっ?!ここって祷際場の条件満たしてるぅ!うごごご」


 なんか真柴がとてつもなく微妙な顔でなんかぼそぼそひとり言を言っている。俺は正直に言ってこの間のこともあって、真柴にシリアスモードをあんまりさせたくない。俺からとりあえず話を振った。


「お二人さんはどうしてこちらにいらっしゃったのかな?」


 真柴はノースリーブのシャツにホットパンツにサンダルの鯖い恰好をしている。よく見るとこいつって足綺麗なんだよな。


「特に五十嵐。お前その恰好どうしたの?」


 五十嵐は黒のミニスカワンピースを着ている。黒のヒールに網タイツを合わせていてエチチで鎖骨辺りはノースリーブでセクシーだし、背中からは黒い羽根が生えてた。あと黒い角の形のカチューシャを被ってる。


「小悪魔の仮装だよ!可愛いでしょ!がおー」


 五十嵐は両手を猫の手のようにして顔の前にかざす。無駄に可愛いポーズだ。

 

「うん。すごく可愛いと思うよ。うん。可愛いんだよ。可愛いんだよ。だから解せないんだよなぁ…」


 俺は真柴の方に視線を送る。真柴は俺の意図に気づいたのだろう、気まずげにさっと目を反らした。


「この小悪魔の仮装はね。去年の渋谷のハロウィンで着た奴なんだぁ!お気に入りなの!」


 そっかーお気に入りかぁ。ツカサがすごく生暖かい目で五十嵐を見ている。


「真柴さんや」


「…何よ…」


「コミケってやつをちゃんと五十嵐に説明した?」


「…りりはほら。ゲームっていえば全部ファミコンっていう子だから…それに楽しそうなの水差すのも悪いし…はは…」


「ノットファミコン!」


 そう言うところだぞ。友達が明らかに間違っている行為をしているのに楽しそうなんて理由でスルーしちゃったらさばさば女になれないよ!


「五十嵐。コミケってどんなお祭りか知ってるかい?」


「うーん?お盆の仮装フェスティバルじゃないの?みんないろんな可愛い恰好してるもんね!」


「お盆関係ないぃ。それに仮装じゃないですぅ!コスプレですぅ!」


 コミケのコスプレって基本何でも自由だと思うんだ。でもやっぱり不文律ってやつはあると思うの。ここのコスプレはアニメ、マンガ、ラノベ、やゲームのキャラクターのコスプレかネットミーム的な面白枠だと思うの。今の五十嵐の格好はそのどれにも当てはまっていなかった。


「コミケってアニメとかマンガとかゲームのお祭りなんよ。だから仮装もそういうののキャラクターの恰好をするのが普通なんだよね」


「え?そうなの?あれ?じゃあ私の格好ってもしかして浮いてる?」


「うん。ちょっと浮いてると思う」


 五十嵐はちょっと不満そうに目を細めた。


「そっかー私ドレスコードずれちゃったんだ。恥ずかしいなぁ!あはは!」


 でもやっぱり能天気なんだなぁ。すぐにのほほんとした笑みに戻った。


「恥ずかしいなら着替えてくればいいんじゃない?」


 俺はそう提案した。まあ更衣室はきっと地獄のような惨状だろうけど。


「え?着替えなんてないよ。私は家からこの格好で来たし」


 小学生がプールの日に水着で学校に来てパンツ忘れちゃうやつー。だから俺は叫ぶ。地元が一緒で絶対に最寄駅から一緒だったやつの名前を。


「真柴ぁぁ嗚呼ああああ!!」


「だってリリ楽しそうなんだもん!じゃまなんかできないようぅ!」


 俺に弾劾された真柴は必死に言い訳している。


「そこはサバサバしてよぅ!今日のコミケで一番残念な子が爆誕しちゃったじゃん!監督責任!監督責任!」


「うちの方針は、ほら、自由放任だから…」


 まあ真柴に五十嵐の制御を頼むのも無理な話なのかもしれない。誰かに何とかできる女は五十嵐ではないのだろう。


「くそ。話がめちゃくちゃそれまくった。で、お二人はどうしてコミケに遊びに来たの?」


「私は友恵に誘われたから」


 五十嵐はまあそんな理由なんだろうなって納得できる。とくに漫画とかアニメに興味があるタイプではない。でも真柴ってオタクとか嫌いそうなイメージがある。医学部のテニサーで楽しむタイプだし(偏見)


「う、うちはそう。社会見学かな?」


「その言い訳は街コンとか相席居酒屋で童貞が使うやつだからね。下心隠すんじゃないよ」


 ミラン以外にも童貞女の素質を持つ女がいるとは…世の中は広い…!


「ううっ…笑わない?」


 真柴は恥ずかしそうにもじもじしている。


「メッチャ笑いたいけど我慢してやるよ」


「実はずっと追っかけてるネット小説家さんがいて、その人が同人誌出すって活動報告ノートに載ってて…。買いに来ました」


「最初から素直に言えば可愛い可愛いって言ってやったのに。普通じゃん全然。いいんじゃんコミケっぽくて。お前が楽しそうにしてるならそれでいいよ」


 俺は笑みを浮かべた。真柴も恥ずかしながらもはにかんだ。


「…そうだね。うん。すごくその同人誌が楽しみなの」


 本当にその作家さんの同人誌を楽しみにしているのだろう。真柴の笑顔は明るくて素敵なものだった。


「じゃあ同人誌コーナー行こうぜ。俺のいつものメンツもいるし楽しいと思うよ」


「え?美魁来てるの?わーい!」


 五十嵐が満面の笑みを浮かべる。本当にミラン好きだな。コスプレしてるミラン見たら、どんな顔をするのか楽しみだな。そして俺たちは同人誌コーナーに向かった。












 同人誌コーナーは俺が遭難したころに比べて人の流れが落ち着いていた。壁サークルがもう撤退の準備はじめてるのを見るとさもありなん。


「今年の壁サークルはけっこう熱かったんだよね。ネットで話題になってたよ。ベストセラーラノベ作家さんが自作の同人誌出した上に、顔出しで自キャラのコスプレ売り子やってたって話」


「へぇ。俺らと似たようなことやってる奴がいるもんだな。世界は広いね」


「しかも可愛かったらしいよ。クリエイターの才能もあって美人さんとかチートだよねチート。転生者かな?あはは」


 最近流行りのネタをぶちこんでくるあたりツカサもなんだかんだとオタ系だよね。チャラさとオタを両立させてるあたりは邪悪すぎるけど。


「あっ!見つけた!あのブース!」


 真柴が目的のブースを見つけたらしい、それを指さしてニコニコ笑顔で笑っている。


「書籍化されそうでなぜかされないことから古参ファンをやきもきさせているネット小説家!」


 その指先には女性の行列ができていた。1セット500円の立て看板が立っている。ブースには三人の女性がいた。うち二人はコスプレをしている。もう一人はコスプレしてないけどおっぱいがコスプレで盛ってそうなくらいでかい。そしてみんな美人だった。そう。中身はともかく見た目は超S級。


「たまにヘラるのがウザいことで有名な『乳袋チェスト』先生!!」


 俺はその場で頭を抱えてしまった。


「世界が狭すぎるぅ…?!」


 そう。真柴のお目当てのブースは楪の同人誌ブースだったのだ。






次回予告!!



「あの人が『親友のカノジョが俺にだけエロい』でネット小説界のブラックホールテンプレの一つ、NTRざまぁ系ラブコメ戦国時代を征した『またたび・ニーソ・シュレーディンガー』先生!?」


 そしてついに現れる最強の敵!


テンプレ(宇宙の法則)だけあればいいのよ。私はそれだけで永遠にヒット作を出し続けてみせる!」


「それはラノベの可能性を閉ざす行為です!流行のテンプレではなく、神話論理に支えられた王道こそ絶体正義!」


 二人の小説家は互いを理解し合い、そして拒絶し合う道を選んだ。


「ずるーい!綾城さんのコスプレ私もやりたい!この服とそのドレス交換してよ!常盤くんと美魁に私も挟まれたい!」


「そうだそうだ!ボクだってカナタ君と女キャラで絡みたい!綾城さんのドレスボクにも着させてよ!」


「令嬢キャラの座はあなたたちのような精神的非処女には絶対に渡さないわ!!ゆにこおおおおおおおおおんん!」


 バカがバカを呼ぶカオス!


「あいつって写真写りいいんだ…ちょっとドキッとしちゃった」


 買った同人誌の写真集を見て一人だけきゅんとしてる乙女な鯖ちゃん!


「てか俺が主人公だよね?そうだよね?なんか最近影薄くね?」


 頑張れカナタ君!バカどもを何とかできるのは君だけだ!!



次回


『企業ブースでタイトスカートが映えてる意識高い女社長』




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