第127話 お買い物
綾城が流石に憐れなのでスオウに電話をかけてみた。
「スオウ?今どこにいる?」
「今は吉祥寺だが、何か用か?」
「わかった。じゃあ今からそっちに行くわ」
「エ?今から?!だが私は今、り」
居場所はわかったので、電話を切る。吉祥寺にいるそうだ。
「綾城!吉祥寺にスオウいるって!会いに行こうぜ!」
「ときわぁ!ありがとうぅ!」
綾城は俺の首に抱き着いてくる。すごくうれしそうだ。これでぎくしゃくした関係をうまく直せるといいけど。
そして電車一本でやってきた吉祥寺。アーケード商店街の前で待つスオウがいた。デニムミニのスカートにタンクトップでいとせくしぃ。
「あ、常盤くんだぁ。やっほー」
そしてその隣にはなぜか五十嵐がいたのである。なぜ?あ、電話で『り』っていいかけてたけど『りりせ』の『り』だったのね。
「なんであなたが隣にいるのよ!!」
綾城がすごく悔しそうな顔で五十嵐に詰め寄る。
「え、何?綾城さんどうしたの?今日はスオウにお買い物に付き合ってもらってるんだけど」
「あたしだってそんなことしたことないのにぃいいいいいいいいいきぃいいいいいいいっぃいいい」
さめざめとギャン泣きし始める綾城のみっともなさと来たら…なんだろうこのヘラりかん。
「ときわぁあ”あ”あぁ”!エディレウザが五十嵐さんにNTRてるようぅびぇえええええええええええんん!うっ!?うごぉ」
汚ったねぇ涙声の上にユニコーンを拗らせてえづいていやがる…。もう綾城さんは手遅れなんだね…。
「カナタ…なぜここにヒメーナが?」
スオウがまさに汚いものを見るような目を綾城に向けている。
「綾城がスオウに会いたがって寂しそうにしているから会わしてやろうと思って」
「そ、そウか…」
なんかすごくスオウが戸惑っているのを感じる。
「というかなんで避けてるのさ?ちょっと可哀そうじゃない?」
「……だッてメンヘラなンだもン」
何その口調。なんかちょっと可愛い。
「とはいえ。この間はすごく尽力してくれたよ」
「わかッてイる。ワタシもヒメーナが憎かッたり嫌イなわけではなイ。苦手なだけだ」
なんだろう。相性とはまた違った何かがある感じがする。とりあえず様子見してみるか。
「とりあえず四人で買い物に行こうか。なそれでいいよな綾城、スオウ」
綾城はどことなくうれしそうに頷いた。逆にスオウはなんかげっそりしているように見える。
「じゃあ私の買い物からでいい?今度就活行くからスーツを買いに来たの!みんなの意見を聞かせてよ!楽しそう!ふふふ」
五十嵐は俺の左手を自然と取った。そしてそれに続いてスオウが俺の右手を取って。綾城がスオウの右手に抱き着いた。
「おいちょっと待て!なんだこのスクラム!?すごく周りに迷惑なんだけど!!」
五十嵐、俺、スオウ、綾城の横並び。周りから見たらスペース取りすぎだし、なんかこういろんな意味で周りから見ると威圧的なメンツに見える。自分でいうのは癪だけどぶっちゃけヤクザが並んで歩いているくらいには迷惑だと思う。
「え?でも私いつも通りじゃない?」
確かに君はいつも通りだよね。
「こウイウときは男にエスコートしてもらうものだ」
まあわからんでもない意見だ。両脇に美女を侍らせるなんて最高にエモい。
「だってエディレウザの開いてるところって右手しかないし」
はい!変な人見つけました!
「綾城。横に広がりすぎるのは流石に迷惑だよ」
俺たちはいったん組んだ手を解いた。
「何よ!あたしはエディレウザと腕を組んじゃいけないの?!」
「そうは言ってないよ。広がりすぎがよくないって言ってるの。じゃあさ。俺と五十嵐が腕組むから、スオウと綾城が腕を」
そう言いかけた瞬間だった。スオウが俺の左手に両手でがっしりと掴まってきた。しかもすごく強い力で。
「いたい!いたたたい!いたぁ!つよい!力強すぎ!折れるぅ!」
「絶対にこの手は離さなイ!」
なんか熱血物の主人公みたいなこと言ってるけど、綾城と手を組みたくないだけだよね?
「常盤ぁ!なんでエディレウザの両手を奪うの!片方開けなさい!」
綾城さんがキーキーうるせぇ。ちっとも買い物に出られない。
「あらら。じゃあ綾城さんは私と組む?たまにはいいよね?」
そう言って五十嵐は綾城の右手を取って組んだ。
「…そうね。たまになら仕方ないわよね…常盤にNTRならまだましよね」
ぼっそと最後に言った言葉が怖いんですけど。でもやっとこれで買いものに行けるよ。始まりからしてケチがついた。というか綾城さんがすごくめんどくさい女になってるんですけど…!いつものいい女ムーブはいったいどこへ泣。
吉祥寺は買い物スポットが沢山ある。俺たちは五十嵐のスーツを見繕いに量販店に入った。
「しかし就活ってまだ一年だろ?何するのさ?」
「テレビ局がやってるアナウンサー向けのセミナー行くの。なんか一年生から行ってると本番の面接のときに加点してくれるって噂なんだよ」
「へぇ。そんなのあるのか。つうか就活戦線ってまじで複雑怪奇だな」
ていうか五十嵐の女子アナへの執念がよくわかんない。未来を知っている分、それやるの無駄じゃない?って気持ちになるんだけどなぁ。
「だよねー。ねぇねぇスーツってパンツとスカートどっちがいいかな?」
五十嵐はスカートとパンツを手に取って俺たちに見せてくる。
「そウだな。女子アナならスカートの方がイイのではなイか」
「そうね。エディレウザの言うとおりね。でもあたしは思うんだけどエディレウザみたいなバリキャリ志向ならここは敢えてパンツスーツなんてどうかしら?きっとかっこいいと思うわ」
「おいちょっと待て綾城」
綾城はきょとんとした顔をしている。
「なにかしら?あたし変なこと言った?」
「確かに変なことは言ってない。だけど会話の流れがすごく変なんだ。話題がすごくズレてるんだよ!」
「エディレウザにはパンツスーツが似合うと思うのだけど?ズレてないでしょ」
「五十嵐に似合うかどうかじゃないかなぁ?!これはスオウの買い物じゃないからね!」
普段は適切に空気を読む綾城さんがバカになってる。頭の中がスオウでいっぱいになってやがるのだ。
「あはは。綾城さんってスオウのことが大好きなんだね!」
五十嵐さんや、綾城の好きはきっとなにかヤバい何かだと思うよ。
「ところで常盤くんはどっちがいいと思う?」
「スカート。だがそこらへんの就活用スーツのスカートの形は好きじゃない。タイトスカートでもつま先に向かって幅がすぼまっていくやつがいい。あれは最高だ。くびれからお尻への線の出がすごく綺麗ななんだ。立体感っていうのかな?そこへ濃い目のパンストとか合わせて見ろ。それだけでもう満足だよ俺は」
「常盤くんがエッチマンだ!うーん。男の人がそういう風に考えちゃうスーツは就活には合わないよね。ここはパンツスーツにしておこうっと」
五十嵐さんは俺の希望に反してパンツスーツにすることにしたようだ。見たかったなぁ。タイトスカート越しのおすぃりー。
「エディレウザ。さっきの常盤の言ってるみたいな恰好をしては駄目よ!男なんてみんな野獣なのよ!視線だけで穢れてしまうわ!」
手遅れだ。むしろスオウのスーツは俺の好みドストレートのムチムチ黒パンストタイトスカートエチエチOLスタイルである。
「視線くらいどうでもイイのだが…。とイウか好きな服を着させて欲しイ…」
綾城さんがなんか彼女がミニスカ履くのを禁止するキモ彼氏みたいになってるぞ。俺は逆にエチチな服を着てほしい派だから相容れないなぁ。
「ふッ。わかッたろウ。これが綾城”メンヘラユニコーン”姫和なンだ…はは…」
スオウが綾城を避けていた気持ちがすごくわかりました。なんかこう執着心みたいなものはなんとかしないといけないなってすごく思いました。
***作者のひとり言***
実はリリセって絶対にカナタくんの左手を取るんですよ。これは作中の私のこだわりの一つです。
小ネタ 英語力
カナタ「喋れるぞ」
リリセ「喋れるよ!」
ユズリハ「日本語でさえろくに他人と喋れないわたしに英語なんて喋れるわけないじゃないですか(´・ω・`)」(←ただし読み書きとヒアリングなら海外の研究機関でもやっていけるレベル)
トモエ「喋れるわよ。海外の学会での研究プレゼンとかもあるし研究するなら必須スキルよね」(←ファーストオーサーの英語論文多数あり)
ムムミ「読み書きヒアリングは大丈夫だけど、話すのは片言になっちゃうし砕けた表現は出来ないかな」(←海外の大学でもオタサーや研究室の姫やれるレベルの英語力ある)
キリン「英語…?学生の頃は苦手だったねぇ。なんでI wereっていうの?なんで?」
ヒメーナ「英語?嫌い。超嫌いな言語の一つよ。ええ、ていうかなんで日本人って外国人=英語みたいな偏見を持っているの?英語人って呼ばれ勝たされても困るし、というか私の両親ともに英語は母国語じゃないんだから私が喋れなくても別におかしくないでしょ?」(←英語自体は喋れるが実はスペイン語の方が得意。というか英語そのものに対してトラウマがあるので地雷です。綾城さんの前では英語はミュートしよう!)
ミラン「英語だけは得意だよ!!イギリス英語!イギリス下町英語!キングズイングリッシュ!アメリカ英語!アメリカ南部訛り!オーストラリア英語!ニュージーランド英語!シェイクスピア時代の英語!古英語!何でもできるよ!Kanata-kun!I love thee!!」(二人称単数の目的格の活用ってtheeであってますよね?thouだっけ?指摘していただける方いたら嬉しいです)
スオウ「英語はそこまで得意ではなイ。意思疎通は出来るがポルトガル語の訛りが出てしまうのでアまり話したくなイ」
こんなかんじである。




