2533話 集まるヘイト
俺が【虫眼鏡踊子】と【錆剣剣闘士】のいる【アイン=ソフ】個体との戦線に参戦することになりまず放ったスキル【狐根灯災】の中に組み込んでいたスキル【二尾狐片】で狐火トラップを仕掛けていった。
あまり使わないスキルだが、動き回る相手ならそれなりに当たってくれるし撒くだけ得ってわけだ。
幸いにもレイドチームを組んでいるから味方にはこの狐火トラップは見えるようになっているが、それ以外のプレイヤーには全く見えないからな。
……とはいえ、当たり判定自体は味方にもあるから、気をつけてもらわないと困るぞ!
「ギャハハハハ!!!!
周りに炎がメラメラ燃えてやがるぜ!
バリバリバリバリ!!!!」
錆剣で切り裂き柔らかくなった肉部分を狐火で炙り、口で食いちぎっていた。
流石は【暴食】の申し子!
……って、トラップを使ってレイドボスの肉を炙るなよ!?
考えることが食事に特化し過ぎてないか!?
レイドボスの肉をその場で切って食べるのも相当イカれてるが、狐火で……しかもトラップで炙るのはさらにイカれてるぞ!
自滅しても責任取れないからな!
「ギャハハハハ!!!!
自滅しても結構!
食べられるなら何でもいいぜ!
バリバリバリバリ!!!」
【風船飛行士】は鬱陶しいうるささがあったが、【錆剣剣闘士】は純粋に声が大きくてうるさいな……
なんでここに来た男連中はどいつもこいつもうるさいんだよ……
いや、うるさいからこそ主張が強くて実力を出しやすいという心理的な根拠はあるのかもだが、一緒に戦う俺としては普通に嫌すぎるんだが……
とはいえ、【錆剣剣闘士】が【アイン=ソフ】個体の気を引いてくれているので、俺が仕掛けた狐火トラップにどんどん引っ掛かってくれている。
肉壁タンクプレイヤーの鑑みたいな動きだな……
「私のabilityでバフかけてるのに【錆剣剣闘士】自身の身体スペックがやけに高いから他の人にバフをかけるより効果が薄くて困るわ……
だから【包丁戦士】ちゃん、トラップもいいけど攻撃もお願いしたいわ」
どうやら【虫眼鏡踊子】はこれでも攻めが欠けているように感じているようだな。
【錆剣剣闘士】もかなり頑張っているようだが、こればっかりは仕方ないだろう。
スキル発動!【魚尾砲撃】!
俺は極太レーザーを放っていく。
さっきの【アイン】個体との戦いではこれを使うのを途中から止めていたが、【アイン=ソフ】個体相手なら使って大丈夫なはずだ!
くらいやがれ!
【錆剣剣闘士】がその身体で相手を止めているからか、あっさりと俺の【魚尾砲撃】がヒットしていった。
しかも、クリーンヒットだ!
土手っ腹にデカイのを当てられたな!
「【包丁戦士】ちゃん、ナイスよ!
【錆剣剣闘士】はまともにスキルが使えないからこういうのを待ってたのよ!」
……【錆剣剣闘士】は俺の因子を取り込んだ影響でほとんどのスキルがシステム的に使えないようにさせられている。
身体スペックが上がっていて通常攻撃の一撃一撃がスキル相当の威力の上がってるとはいえ、小回りは利かないからな……
それに突破力も臨機応変さがないので困るよな。
とはいえ、そこに融通を利かせられる俺が来たからには安心しろ!
このまま【魚尾砲撃】を当て続けて倒してやる!
そう意気込んでいたが、【虫眼鏡踊子】が慌てて注意喚起をしてきた。
「【包丁戦士】ちゃん、攻撃を当て続けるのはまずいわ!?」
ちょっ!?
もう遅いって!
……ちなみに、何が起きるんだ?
「【包丁戦士】ちゃんも知っての通りヘイトの集中よ!
あと、【アイン=ソフ】個体の力でヘイトを集めてるプレイヤーに継続ダメージを与え続けてくるわ!
私もそれでかなり体力を削られたのよ……」
……ちっ、レンジ関係なしでダメージだと!?
インチキ甚だしいにも程がある!
ちなみに、ダメージを解除する方法は?
「無いわね。
【アイン=ソフ】個体を倒すか、死に戻りしないと解除されなさそうよ……
【包丁戦士】ちゃんも既にその対象になってそうね……」
うげっ!?
そうして確認してみると確かに体力が削られていっている。
これはよくない……本当に良くないぞ!?
「攻撃すればするほどヘイト集中を受けやすくなるから、その分ダメージも増えるわ!
【錆剣剣闘士】は肉を食べながら体力を回復しているらしいから生き延びてるわ」
だからあいつ肉を食べ続けてたのか!
……いや、それがなくても【錆剣剣闘士】なら食べ続けてそうではあるが、今回は理由になるものが一応あるってことだ。
さて、どうしたものか……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




