2534話 深呼吸
【アイン=ソフ】個体のヘイト集中デバフによって継続ダメージを受けるということを知ったわけだが、だからと言ってここで攻撃の手を緩めるわけにもいかない。
継続ダメージ覚悟でどんどん攻めさせてもらうぞ!
スキル発動!【魚尾砲撃】!
俺はさっき中断させてしまったジェーライトの極太レーザーを再び放っていく。
レイドバトルではこれが一番使いやすくて助かる助かる!
そして、【虫眼鏡踊子】が危惧していたように攻撃を当て続けることによって俺の体力はより多く削られていくようになったのも確認した。
【虫眼鏡踊子】が言っていた内容は細部の違いはあるかもしれないが、この戦闘においては【アイン=ソフ】個体からのヘイト集約デバフを受ければ受けるほど不利になるのはほぼ確定だろうなぁ……
さて、その上でどう立ち向かっていくかだが、俺は【虫眼鏡踊子】のabilityによるバフの恩恵を受けられない身体になってしまっているからなぁ……
その理由は明白、【上位権限】持ちだからだ。
格下が格上に勝つためのabilityであり、俺はほぼ最上位にいるため格下という対象に入らないわけだな。
その理論で、【錆剣剣闘士】もあまりabilityのバフの量が少なめになってしまっているのもある。
つまり……【虫眼鏡踊子】は踊るのを止めてもいいんじゃないか?
【錆剣剣闘士】だけなら、確かに前衛を強化して無理やり戦線を維持する必要はあっただろうが、俺も追加されたんだし無理をして効果の薄いバフで【錆剣剣闘士】を補助し続けるメリットもかなり無くなったと思うんだが……
「【包丁戦士】ちゃん、グッドアイディアだわ!
【錆剣剣闘士】には悪いけど、休憩も兼ねて踊るのを止めさせてもらうわよ」
俺の提案に乗りかかる形でabilityの発動を止めた【虫眼鏡踊子】。
踊り疲れたからか、立ち止まった時に少しふらついてバランスを崩し倒れかけてしまった。
俺は慌てて駆け寄り、腕で抱えて一度戦線を離脱していく。
【錆剣剣闘士】には悪いが少しの間一人で耐えててくれよな!
俺の狐火トラップはまだ少し残っているし、有効活用してくれるとありがたいが……
「【包丁戦士】ちゃん、助けてくれてありがと~!
私も自分でも気づかないうちに無理をしちゃっていたのね……
ここまで少人数のレイドバトルも中々ないから知らず知らず緊張しちゃっていて、その緊張の糸が切れちゃったのかもしれないわ……」
そう言って自分で深呼吸をはじめていったが、ここで他から指摘される前に自ら深呼吸出来るのはかなり強かだな。
自己解決で身体を整えられているということは口で言うほど容易いことじゃない。
俯瞰的、客観的に自分を見れている人間くらいにしか出来ない芸当だ。
素直に【虫眼鏡踊子】の評価を一段階上げざるを得ないな……
「……とりあえず深呼吸をして回復したわ。
万全とは言い難いけど、ここからまた戦線復帰するわよ~!」
そう言って息を吹き替えした【虫眼鏡踊子】は虫眼鏡を片手に前傾姿勢となり、獣人特有の特殊能力である超加速で【アイン=ソフ】個体へと殴りかかっていった!
そして……
「スキル発動!【獣王無尽】!
いくわよー!」
【虫眼鏡踊子】はそのままオーラを纏い、身体能力を強化していく。
それにより虫眼鏡による打撃も威力が上昇し、不意をつかれた【アイン=ソフ】個体はそのままいい感じのダメージを受けてノックバックしていく。
よーし、お前ら!
このまま攻め倒すぞ!
「ギャハハハハ!!!!
もっと肉を食べ尽くしてやるぜ!!!!
バリバリバリバリ!!!」
「さらにラッシュをかけていくわよ!
スキル発動!【渡月伝心】!」
【虫眼鏡踊子】も【錆剣剣闘士】もここで止まらずきっちり攻めの前傾姿勢でダメージを蓄積させていっている。
これなら何とかなりそうだな!
優秀なプレイヤーですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




