2530話 一挙両得
透明な【生命の樹獣≠???】の動きが激しくなり【虫眼鏡踊子】への被害を抑えつつ、俺たちは再び距離を置いて引き剥がすことに専念することになった。
本当はさっきみたいに蜘蛛糸や黒い茨を巻きつけたりして綱引きの要領で引っ張りたかったんだが、動きが激しすぎてまともに取りつけられない!
攻撃も中々ヒットしなくなってしまったので、ヘイトをこっちに回収し直すのもつらい。
「私にヘイトが集まるのは私と【錆剣剣闘士】が戦っている威圧感の強い【生命の樹獣≠???】の影響ね。
さらにもう一体の光輝いてる【生命の樹獣≠???】からも攻撃が私と【錆剣剣闘士】に来てるのよ。
戦っている相手にターゲットを合わせてヘイトを集中させる能力を持っている気がするわ」
おおぅ……
そんな能力持ちのやつがいたのか……
それはかなり厄介だぞ!?
つまり、俺とか【風船飛行士】が攻撃して俺たちに集まるはずだったヘイトが【虫眼鏡踊子】や【錆剣剣闘士】に加算されていくわけだ。
通りで全く関係ないところにいるはずの【虫眼鏡踊子】が唐突に狙われ始めるわけだな!?
それに、【虫眼鏡踊子】が狙われたタイミングも本来俺たちがかなりヘイトを集めるであろう戦術を繰り出したのとほぼ一致してるから、納得だ。
だが、それが分かったところで俺と【風船飛行士】が戦っていない場所で勝手に行われているから、対処するのはかなり難しいんじゃないか!?
【虫眼鏡踊子】と【錆剣剣闘士】でヘイトターゲットを受けないような戦いかたをしてくれないと困るぞ!
「それは気をつけるわよ。
だけど、とりあえず私に襲いかかってきてる透明な【生命の樹獣≠???】は引き離してほしいわよ」
「そこは任せておくンゴねぇwww
こいつはオレたちの相手だからなwww
獲物を引き渡すのはアリエナイwww 」
アリエナイのは分かってるんだが、さてどうやって引き離したものか……
とりあえずこれを試してみるか!
スキル発動!【三尾狐伏】!
俺は透明な【生命の樹獣≠???】の周りの空気を呪力で埋め尽くすことで、金縛りのような状態を擬似的に作り出していった。
俺の呪力量はそれほど多いわけでもないから、あんまり長くは持たないぞ!
今のうちに何とか【風船飛行士】で誘導してくれ!
俺はこのスキル【三尾狐伏】を維持するので精一杯なんだよなぁ……
だからなんとかしろ!
「横暴すぎてワロタwww
だが、動きを止めてくれたのは助かるンゴねぇwww
これならオレのこのスキルで何とか出来るはずwww
スキル発動!【覇道竜陣】www 」
ここで【風船飛行士】が使ったのは竜人系の奥義スキルに相当する【覇道竜陣】だ。
黒い炎を陣を敷くように広げていき、透明な【生命の樹獣≠???】に直接攻撃を当てつつも【虫眼鏡踊子】との間に黒い炎の壁を陣で作り出したことで危険の排除も同時にこなしたわけだ!
流石は並列思考に長けた【風船飛行士】ならではの作戦とも言えるな!
これでしばらくはまた【虫眼鏡踊子】と【錆剣剣闘士】に迷惑をかけることなく俺たちの戦いに集中出来るぞ!
「お前が動きを止めてくれたからこのスキル【覇道竜陣】を効果的に使えたンゴねぇwww
リソースの関係でおいそれと使えないからいつ使うか悩んでいたが、ここまで絶好の機会を作るのは流石【包丁戦士】ってところか……」
珍しくふざけた口調じゃなくて、真面目な口調で俺のことを称賛してくれた。
いつもそうしてくれるなら俺ももう少し歩み寄ってやってもいいんだが、よほどのことがないとその状態で人を誉めているのを見たことがない。
それくらいのレア物が出てきたわけだな!
「ちょっwww
リソースが枯れる枯れるwww
やっぱり覇道スキルは消耗がエグ過ぎるンゴねぇwww 」
格好よく締まりませんね……
全く、これだから底辺種族上がりのプレイヤーというものは……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




