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2523/2525

2523話 五月雨矢

 「ちょっwww

 キツすぎワロタwww

 やっぱり、abilityとか使うしかないンゴねぇwww 」



 【風船飛行士】は煩く笑いながら逃げ回っていた。

 明確に敵の居場所が分からないのもあってか、かなり上空から警戒しているようだな。

 だがそれだけでは埒が明かないということで……




 「ability【銀盃羽化】発動www

 さらに……スキル【竜鱗図冊】っ!」



 そう叫ぶと、腕に巻いていたシルバーを外し、口に運んだかと思うと、それをごくりと飲み込んだ。

 そして、肩から提げていたポシェットの中から巻物のようなものを取り出すと、それを勢いよく広げた。

 その巻物が鱗のように分解されたかと思うと、次の瞬間には【風船飛行士】の手元には銀色の杯が握られていた。




 これで機動力を増してさらには攻撃も追加して牽制していくわけだな。

 abilityによって生成された銀のオート照準の矢が透明な【生命の樹獣≠???】へと向かっていく。


 っ!?

 そうか、考えたな!

 オート照準の銀の矢なら【風船飛行士】が見えてなくても攻撃は出来るってわけか。

 


 「ちょっwww

 これを考慮してたんじゃないのかよwww 」



 いや、だってお前を俺と酌ませたのは【検証班長】だからな……

 詳しく意図を聞いていたわけじゃないから今になってなるほど……ってなったぞ!

 俺はてっきり風の流れで居場所を察知する要員かと思ってたんだがな……



 「お前も何とかして欲しいンゴねぇwww

 流石にレイドボス相手に銀の矢だけだと火力が足りなさスグルwww

 テラワロスwww 」



 まぁ、攻撃手段というよりは居場所探知の役割に近いだろうしな。

 それに使用されるリソース量も少ない低燃費攻撃だから火力不足は仕方ない。

 むしろ、性能の割には燃費がよくて効果もりもりなabilityだから充分すぎるくらいだ!



 そんな【風船飛行士】に対して、俺は見えない敵にどうするのかというと……




 これだ!

 スキル発動!【深淵纏縛PТ(エルル・タウラノ)】!


 俺はルル様とタウラノの深淵細胞を励起させていき、身体と衣装を作り替えていく。

 そして俺の頭には狐耳や狐面がつき、背中には漆黒の羽、そして服装はゴスロリ巫女服という中々属性過多な見た目に変化していったぞ!


 今回は合計三体のモンスターを相手にしないといけない以上、手札を多く使用できる深淵細胞を2つ同時に励起させてもらったわけだ!

 ルル様はいわずもがな、タウラノも9つの狐獣人スキルや呪術スキルへの補正が入る便利な深淵細胞だ。

 どちらも器用貧乏になる可能性は孕んでいるものの、今回はそれぞれそのミチのプロみたいなプレイヤーが多いから俺はあえて万能に立ち回る方向に決めたわけだな!



 そしてスキル発動!【一尾狐矢】!



 俺は【風船飛行士】の銀の矢に合わせる形で、狐火の矢を無造作に放っていく!

 このスキルは本当に狙いをつけにくく、射線がバラバラになってしまうという致命的な弱点はあるもののクールタイムも短く、さらには狙いが定まらないからこその攻撃範囲の広さが担保されているものだ。

 

 つまりどこかに向けて撃てば何かしら当たるだろうという雑な使い方が出来るってわけだ!

 これは微妙そうに見えてかなり俺にとって恩恵があるぞ!



 そして透明な【生命の樹獣≠???】は【風船飛行士】のオート照準銀の矢と俺の無造作狐火の矢を受けて少しだけ怯んだようだ。


 雑魚モンスターならそんな反応はしないんだろうが、レイドボスだからこそこんな簡単にダメージを与えられないという意識があったので逆に怯んでしまった……そんなところだろうよ。






 知能があるということは必ずしも良い方向に進むとは限りません。

 より高い知能と、それを余すことなく使いこなす精神力を伴わせることですね。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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