2500話 惑星連動と天昇
俺、【霧咲朱芽】は【株式会社幽刻修験堂】の本社へと足を運んでいた。
毎度毎度のことだが、特別枠での会社勤めという扱いになっているので普段は出勤せず自由に行動していればいいのだが、召集がかかれば強制的に来なければいけないのだ!
「やあやあ、今日もご苦労様。
この【山伏権現】の召集に応じてくれて嬉しいよ」
俺たちの前に現れたのはゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】だ。
山伏のような姿とサラリーマンのような姿をまぜこぜにしたカオスな見た目のやつだ。
基本は山伏衣装なんだが、ネクタイをしていたり、キッチリメガネをキメて、髪は七三分の状態でワックスで固めている。
「ガーデンバトルには無事勝利してくれたようで何よりだよ。
【ランゼルート】だけでは勝つのが困難な相手だったけれど、【霧咲朱芽】君がいたことで勝利を掴み取れたよ。
あの子だけでは勝てないにしても、あの子がいないとスペック的に勝負に持ち込めないからこちらから送り込むメンバーの選出には悩まされ続けていたよ。
……結局のところ一位と二位の次元を組み合わせないと勝てないということが分かったけど、戦力的には勿体無い使い方だからこの【山伏権現】としても避けたかったよ。
とはいえ、一番大事な局面で勝てたのは大きいね。
これで【双真ナル】に挑戦できるようになったわけだからね」
【双真ナル】に挑めるって言ってもアンカー次元のMVPプレイヤー【夢魔たこす】と水流科のセクションリーダー【潮騒ローラ】を相手にすることも前提だろ?
「どういう構成で挑むことになるんだろうか?」
「そこは調整次第だろうね。
こちら側に有利な条件に持ち込められたらいいんだけれど、それには世界剣樹から【海溝剣アトラ】の影響を取り除く必要がある。
やらずとも挑めるのだけれど、この【山伏権現】がやるからには万全を機したいからね」
やっぱりそこに帰結するわけか……
「元々やる気になってたコンテンツだから挑むつもりだったんだが、俄然やる気が出てきたな!」
俺のやる気を見て満足そうに頷く【山伏権現】はそのまま言葉を紡いでいく。
「それなら頼もしい限りだよ。
ただ、懸念事項として惑星の並びが完成してしまったことだね。
天昇箱庭側ではあえてセクションの数を抑えて現界への影響やプレイヤーへの影響を適切に保っていたと聞いていたんだけど、そこに一つ増えてしまったことで完成してしまったんだよ」
「完成?惑星?
それっていったい何を言っているんだ……?」
俺がそう困惑していると【山伏権現】が仕方ないと言った表情を浮かべて俺に解説をはじめてきた。
「そうか、これだけでは伝わらないんだね。
それならこういう説明はどうかな?
惑星として、水金地火木土天海冥という並びは聞いたことあるよね。
水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星……これが天昇箱庭の軸になるコンセプトらしい。
天昇するためには既に多くが天にあるものをベースにしたようだね。
それぞれ該当するのが、水流科、金鉱科、灯火科、樹木科、土遁科、天界科、冥府科だ。
ただ、その秘めた力の大きさを懸念して海王星に該当する部分と、既に高さを越えている地球をあえて欠番にしていたようなんだよ」
えぇ……急にそんな設定開示されても理解できないんだが!?
「……だが、天昇箱庭っていう名前とコンセプトが一致しているのは何となくだが理解できた。
そして、その秘めたる制限を取っ払ってしまったのが【双真ナル】ってこともな」
深いところの理解は俺には出来ないが、とりあえずこれくらい分かってたら何とかなるだろ!(多分)
「その様子だと、この【山伏権現】が最低限理解してもらいたいと思っていた部分は理解できたようだね。
それで充分だよ。
【霧咲朱芽】君が役割を果たすにはそれ以上は蛇足でもあるから。
そして、天昇箱庭の惑星のうちの海王星……海溝科ともなった水流科と底下箱庭のカイコウ次元ともなったアンカー次元の連結を少なくとも邂逅箱庭から切除しないといけない。
その準備のための世界剣樹ダンジョンの攻略をしてもらうことが明確ならね」
あぁ、そこは任せておけ。
俺が何とかしてやろう!
「頼りにしているよ」
さて、現界でのアプローチもしておかないといけないね……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




