2478話 さかなー
【天纏ナゴナ】の尻尾を切断することに成功したわけだが、さっきまで発動していた【生樹技能】がちょうど尻尾を使って攻撃してくるやつだったからその効果も失わせることが出来たのは二重でラッキーだったな!
もちろん、それを狙って尻尾に狙いを定めていたわけだが、ワンチャン【フィレオ】で切ったとしても切れた先で使ってくる可能性とかも考えていたから杞憂で済んでよかったぞ……
「部位破壊に成功したのは僕としてもありがたいよ。
ダメージを与えるよりも本来難しいからね。
お陰さまで【天纏ナゴナ】の攻撃力、防御力共に大きく下げられたよ」
【天纏ナゴナ】の美徳【生樹技能】は特に発動部位に起因するものが多い印象だった。
眼、爪、口……つまり尻尾による美徳【生樹技能】もあったはずだ。
それを使われる前に潰せたのは結構でかいかもしれないぞ!
「流石にここまで美徳【生樹技能】を見せていれば察せられるのも無理はないか。
だが、尾を失ったところでまだ朕には攻撃手段など幾らでも残されている。
この程度で調子に乗るのは愚者の行いであろうぞ」
「それはもちろん承知の上さ。
僕は【生樹技能】だけではなくて、身体の部位を失ったことによるバランス力の低下も大きいと見ているからね。
さっきよりも重心の維持が難しくなっているのを気づいていないとでも思ったのかな?」
【ランゼルート】は尻尾を失った【天纏ナゴナ】の動きが精密ではなくなっていることを指摘していた。
……言われてみれば、確かにたまにバランスを崩しているな。
凝視してようやく分かる程度の揺れくらいだが、【ランゼルート】がわざわざ指摘したということは重要なんだろうな。
「この程度、朕の力の前では誤差に過ぎぬ!
これを【包丁戦士】や【ランゼルート】が活用できる情報とは思わぬが……」
そう、多少バランスが崩れていたからといっても地上ならともかく、空中ならそのまま飛べるしな。
移動にも支障はないはずだ。
【ランゼルート】はここにいったい何を見出だしたんだ!?
「こういうことだよ。
スキル発動!【フィーレ】!」
【ランゼルート】は俺の【フィレオ】に似たカタカナスキルである【フィーレ】によって飛翔する斬撃を放っていった!
カタカナスキルなら今は通用しやすいということを俺が実践したからだろう。
そして、その斬撃は【ランゼルート】の聖剣はもちろんのこと、九本の大罪剣たちからも放たれていて……
「十本同時の飛翔斬撃か。
確かに厄介ではあるが、防げぬほどでは……」
そう言っている【天纏ナゴナ】だが、様子見していると……
「ま、間に合わぬ……っ!?
なぜっ!?」
「それはバランサーとしての尻尾を失ったからだと思うよ。
生物の尻尾は動きのために必要な重心をコントロールする部位だからね。
一つの動きをするにしても、まずその重心を戻し直す作業が無意識に発生しているんだよ。
だからこそ、僕の密度の濃い同時攻撃に反応するための行動がそれぞれ遅れたのさ!」
【ランゼルート】はそこまで考えていたのか。
ボトムダウンオンラインの中で動物型のレイドボスを含めたモンスターたちを相手にし続けているのもあって、知見が広いんだろうなぁ……
「部位破壊こそされなかったが、竜鱗を全体的に削がれた……か。
朕の弱点をさらに作り出そうとしおったな」
「今気づいても遅いよ。
ただでさえ消耗していた竜鱗は剥がれやすく痛んでいただろうからね。
他の部位破壊を狙うよりも手っ取り早く君に負荷をかけられると睨んでいたよ。
悪いけれど、僕が【フィーレ】というスキルを取得している以上、鱗というものを剥ぎやすいのさ」
俺の【フィレオ】と似たようなものだろうからな。
……いや、聖剣と包丁で同じことをやるなって話だけど!
「僕はドラゴンスレイヤーだからね。
竜の鱗を相手にするための練習として魚系モンスターの調理を一時期学んでいたのさ。
構造は違えど参考になるものがあると思ったからね。
そして深海種族のレイドボスと戦っている時に目覚めたスキルが【フィーレ】だったよ。
今としてみればもうかなり昔のことになるけれどね」
【ランゼルート】に意外な過去ありって感じだな。
本格的な料理をしていたわけでは無いけれどね。
あくまでも参考程度さ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




